お風呂/敏京




「京君、起きて。風呂入ったよー?」
「んー…」
「ほーら、寝ないで。風呂入ってから寝ようよ。ね?」
「あー…うん」


仕事終わってご飯食べて、俺んちに京君と帰って来た。

京君が寒いから風呂入りたいって言って、風呂掃除して湯入れてる間に京君はソファで寝ちゃった。

丸まって寝てて、かーわいい。


ちょっと揺さ振っても眠いのか薄く目を開けてまた閉じた。


「もー、まだ寝てるし。風呂入れろって言ったの京君だろ。ホラホラ起きた起きた」
「…眠、」
「俺も眠い。はい、脱ぎ脱ぎしましょーねー」
「…キショい」


のっそりと起き上がって頭を掻いた京君の上着に手を掛ける。

着たまま寝たらシワになっちゃうよ。


ライダースを脱がせてソファの背もたれに引っ掛ける。


眠くてされるがままの京君が可愛い。


「…ニヤニヤすんなきっしょい」
「酷ーい」
「あー、ねむ…早よ風呂入って寝る」
「俺も俺も」


京君は顔を歪めてそう言うと、服を脱がせる俺の手を払って。
ソファから立ち上がり、自分で服を脱いで浴室へ向かった。

その後ろを、自分も服を脱いで追いかける。


「ちょ、お前も来るんかウザい」
「俺も早く風呂入って寝たいのー。明日仕事だし」
「狭い」
「京君がちっちゃいから問題無いよ」
「…ムカつく。来んな」
「行きますー」


笑いながら脱衣所で全裸になって、京君と2人、そんな広くない浴室に入る。

湯をはったから、室内は湯気でちょっと温かい。


「敏弥ー。髪の毛洗って」
「はいはい。じゃ、京君は俺の洗ってね」
「や、風呂入るし」
「けちー」
「敏弥にやられる方が気持ちえぇし」
「……それは性的な意味でしょうか」
「違うわボケ。自分どんだけ変態なん」
「京君には負けますー」


そんな事を言い合いながら、何だかんだで京君の頭を洗う。
京君の世話するの大好きなんだもん。


俺が髪洗ってあげてる間、京君は自分で身体を洗って。

終わったらさっさと一人湯船に浸かってリラックスしちゃってるから。
かーわいいなぁって、思う。

自己中なトコとかね。

京君だから、全部が好きって思えるんだよね。

















「…狭い」
「狭くない」
「ウザい」
「ウザくない」
「……何が悲しくて男2人」
「恋人だからでしょ」
「あー…」


俺も髪と身体を洗って、京君が入ってる湯船に浸かる。

広くないから、男2人で入ると超狭い。

マジ。

その狭さがいい。

こうして、京君を胸元に抱っこ出来るからね!

足の間に京君の身体を入れて、腹に手を回す。

そうしなきゃ2人ちゃんと入れないし。


口では嫌がってるけど、背中向けた京君は俺の肩口に濡れた頭を擦り寄せて来て。

眠いのか目を瞑った。


「…なーんかなー」
「んー?」
「恋人同士言うてもなー」
「うんー」
「僕ここまでした事ないねんけどー」
「京君はいざって時にしか感情表現してくんないしねー」
「…そうかー?」
「普段はね、オーラが出てるよ。好きーって」
「何やそれ。キショ」
「もー今日キショいキショい言い過ぎ!」
「やってホンマの事やん」


肩に擦り寄せた頭が、こっちを向いて。
至近距離で目が合った。


京君は子供っぽく笑う。


可愛いなって思ったから、軽く唇にキスをした。
つっても、角度的に届かなかったから唇の端に。


「…で?」
「…え、で?……あぁ、でな、こう言うのめんどいし、嫌やしウザいーって思うんやけど、敏弥やからえぇかって思うねん」
「…何か京君が嬉しい事言ってくれるー」
「煩い。眠いからや。あー眠ー」
「もっと寝ぼけててもいいよ?」
「アホか」
「あは。俺もねー京君だからこう、ぎゅーってしてちゅーってしたくなんの」


そう言って、京君の身体をぎゅぅっと抱き締めて。
何度か軽く頬にキスをする。


熱くなって来た。
でもまだこうしてたいな。


ラブラブな俺らなんだから、熱いぐらいがちょうどいいしね。


「あっつー…ねむー…」
「もうちょっとー」
「何でやねん…」




20110122



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