恋人とラブラブで/敏京+堕
「堕威君、誕生日おめでと」
「ん?あぁ、ありがとなー」
「今日飯でも食いに行く?奢るよー」
「あー…今日はえぇわ。また奢って」
「え、何なに。彼女?」
「うん」
「うーわ、ラブラブだねムカつくー」
「何でやねん」
集合時間より少し早よスタジオに着いた。
したら、先に来とった敏弥が俺に気付いて。
敏弥の近くの椅子に座ると、律儀におめでとう言うて来て。
夜中にメールも貰ったけど。
何や敏弥ってイベント事好きなんか知らん、マメなよな。
敏弥しかおらんくて、視線で京君を探す。
あ、おった。
薫君と何や話しとった。
コイツ等ってほぼ一緒におるよな。
ずーっと一緒な気がする。
「お前等のがラブラブやろ」
「え?うん、それはそうだけど」
「うわ」
「ふふっ、前言ってた子?」
「うん」
「何だかんだで長いよね。昔とか打ち上げでよく見たし」
「あー…、な。敏弥のも見たりしたなぁ」
「今は毎日見てるでしょ」
「うん。毎日、京君は敏弥でえぇんかって疑問に思いながら見とる」
「ちょ、何か薫君にも言われんだけど。そんなに俺ってダメ!?」
「ダメっつーか」
チラッと京君の方を見て、敏弥を見る。
友達付き合いするんやったら敏弥楽しいしえぇんやけど。
人ん事言えんけど、敏弥も決して誠実とは言える男では無かった筈やのに。
今は京君京君て。
「人前でイチャつくからアカンのちゃうん」
「えー。だってさ、狙われたら嫌じゃん京君。あと四六時中くっついてたいの」
「はいはい。ゴチソーサマ」
「…何の話」
「あ、京君」
「はよ、堕威君。あとおめでと」
「ありがとなぁ」
敏弥と話しよったら、京君がこっち来て敏弥の後ろに立った。
訝しげな視線を敏弥に向けながら、俺におめでとう言うてくれて。
でも京君も、敏弥の事好きって言うとったし。
何だかんだで好き合っとんやなぁって、不思議な感じ。
付き合うってそうやけど。
「あ、京君。お互いの彼女の話ー」
「…彼女…?」
あ、今京君の眉間にシワが寄った。
で、すぐに平静を装う様に戻る。
けど、不機嫌そう。
俺が気付くぐらいやから、敏弥なんかすぐ気付くやろ。
「ま、俺は彼女っつーより彼氏だけどねー。堕威君が彼女とのラブっぷり見せつけるから、俺も京君とのラブっぷり自慢してたの」
「ふーん」
にこって笑って、敏弥は京君の手を取って自分に引き寄せてた。
京君は立ったままやから、敏弥の頭がぴったりくっついてるのは京君の胸元ぐらい。
うわ。
恥ずかしい奴。
敏弥、京君見る目んなったら格段に変わる。
こっちが目を逸らしたなるぐらいの表情。
京君はムッとして敏弥から身体を離そうと突っぱねた。
嫌がられとるやん。
「自慢て何やねん。キモいなホンマに」
「ね、可愛いでしょ俺の彼氏」
「死ね」
「やぁーだぁー」
「…敏弥ってマゾなん?」
「え、違うよ?」
「あ?敏弥はマゾやで。虐められるん大好きなん」
京君に対して甘えた声出して。
嫌がられても嬉しそう。
いつもの事やろから、敏弥にとったら可愛いって思う事なんやろけど。
「今日は堕威君、彼女とラブラブらしいからまた今度ご飯一緒に行こうね。京君も。ね?5人で」
「あー、うん」
「早よ帰れたらえぇなぁ」
「だよね。堕威君の誕生日なんだから早く帰してくんねーかなー」
「なん、俺をダシかい」
「あははっ」
楽しそうに笑う敏弥。
を、見とる京君。
何や意外と好きなんやなぁ。
むず痒いって。
可愛いって、敏弥が言うんもわかる気ぃする。
京君は言葉に出さへん分、行動が顕著やから。
人って変わるんやな。
お互いが、えぇ方向に。
終
20101220
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