Attempt/敏京
今日は京君が俺の家に泊まりに来て。
一緒にゲームしよって事で2人でしてたけど、俺眠くなって来ちゃって先に風呂に入った。
出てからも、京君はゲームをしてて。
その隣に腰を下ろす。
「京君寝ないの?」
「んー。もうちょっと」
「そ」
隣でゲームしてる京君をじっと見つめる。
付き合ってから数週間しか経ってなくて。
よく一緒にいるし、お互いの家泊まったりして。
仕事場も一緒だから、ホント四六時中一緒にいる感じ。
俺が他の女は切ってって言った時も。
『…ホンマ独占欲つよーてしゃーない奴やなぁ』
そう笑いながら言った京君は、俺に自分の携帯を差し出して来た。
グループ分けされた、女の番号しか入ってないのは全部消した。
俺も。
だっていらないもん。
京君が他の子に会うのも嫌だし。
でも、好きって言うのもキスするのも抱き締めんのも、ほとんど俺からだし。
そう言う雰囲気にあんまなんねーの。
ヤッちゃダメかなー…。
俺も男と付き合うの初めてだし、どうしたらいいかあんまわかんねーけど。
「あ゛ー…ずっとゲームしとったら怠い」
頭ん中でそんな事を考えながら、京君をじっと見てると。
ゲーム画面を消してコントローラーを投げ出した京君は胡座をかいたまま思い切り伸びをした。
「…なん敏弥。じっと見すぎやろー」
「…京君」
「ん?」
俺の方を見てヘラッと笑った京君が可愛くて。
床に手を付いて身体を近づけて京君の唇にキスをした。
京君は一瞬固まって、すぐに首に手が回って来た。
柔らかい唇に何度かキスしてたら、京君の舌がゆっくり俺の唇を舐めて来て。
それに俺も舌をくっつけて絡めた。
キスしながら京君の身体を抱き締める。
密着する小さい身体。
ライブでの存在感はあんなにデカいのに、腕の中の京君はホント小さい。
可愛い。
「ん…っ、とし、」
「京君…」
「え…ッ」
力を入れて京君の身体を抱き締めたまま、ゆっくりと床に押し倒す。
後ろに倒された京君は咄嗟に俺の首に腕を回して、唇を離して凄い驚いた顔で俺を見上げた。
そうだよね。
今まで、そう言う行為をした事は無かったから。
瞳が揺れる京君の顔に近づいて、唇に吸い付く。
何度かキスをして、京君の首筋に顔を埋めてゆっくり舐め上げる。
抱き締めてた手を滑らせて、京君の服の中に手を入れた。
素肌を撫でると、京君がビクッと震えて俺の身体を手で押し返そうとして来た。
「ちょぉ…、待っ、敏弥…!」
「…駄目?」
「駄目って言うか、ホンマ、待って」
やっぱ嫌なのかな。
焦る京君の声に顔を上げて見下ろすと、京君は床を擦り上がって。
半分、俺の身体から抜け出して肘を付いて上体を起こした。
「…僕が下?」
「え?うん」
「…ホンマに?」
「うん…そのつもりだったんだ、けど…」
そう答えると、京君は視線を落として何かぶつぶつ言ってて。
体格的なモノとか、京君に対する想いとかで。
俺は京君を抱きたいって思ってたんだけど。
京君も男だし、そこはやっぱ嫌なのかな…。
あ、ちょっとヘコんで来た。
「…痛いん?」
「…わかんない」
「………」
「………」
「………」
「…やっぱ嫌?」
「や、嫌って言うか…」
「………」
「ちょぉ待って、心の準備さして」
「………」
「…ほんな顔すんなって。僕も敏弥と付き合っとんやし、いつかはするかなって思っとったし」
「…うん」
「けど、やっぱいざってなると…まぁ僕が女役なんやって複雑やし…御免、ちょっと待ってや。…嫌とかやなくて、ちゃんと好きやし、ちゃんとしたいと思っとるから」
「…うん、わかった」
京君の言葉を聞いて、上から退くと。
京君も身体を起こして床に座った。
何となく、服の乱れもただして。
拒絶されたワケじゃないから、よかった。
「…いきなり御免ね」
「ホンマやで。めっちゃビビッたわー」
そう言って笑った京君は、近寄って来て俺にキスをした。
好きだな。
愛しい。
ぎゅってしたくなる感じ。
そう思って、抱き締めた。
京君が耳元で笑った気配がして、背中に腕が回る。
「敏弥えぇ匂いする」
「京君も風呂入って来なよ。一緒に寝よ?」
「うん」
そう言ってもまだ京君の身体を離したくなくて、抱き締めたまま。
好き。
心も身体も、全部俺の物にしたい。
終
20101207
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