冬の鍋in薫くんち/敏京+薫




「ほら京君、野菜も食べなアカンで」
「ちょぉ、なして入れるん!肉入れぇや」
「駄目だよ京君、野菜も食べなきゃ大きくなれないよー?」
「うっさいわ敏弥。あ、薫君その肉も入れて」
「はいはい」
「薫くーん、ビールはー?」
「冷蔵庫にまだ入っとるやろ」
「はーい」


仕事帰りに京君と敏弥と3人でスーパー行って、京君が食べたい言う具材購入。

その他に京君はお菓子選んどって、敏弥に買ってもらっとったけど。


先月出した炬燵の上にガスコンロを置いて鍋をセットして、3人でちゃんこ鍋を囲む。


京君の小皿にいそいそと出来た野菜を入れよると、作りよる間も買ったビール飲んどった敏弥が、また缶ビールを取りに冷蔵庫に向かった。


何や一気に部屋が騒がしいになった感じ。

コイツ等2人ガキみたいやし。


京君が指した肉を入れて、小皿を京君の前に置く。


京君は冷ましながら食べて、その隣にビールを何本か持って来た敏弥が炬燵に入る。


よう飲むなコイツ。
俺の分残しとけよ。


自分の小皿にもよそって、切った野菜をまた鍋の中に入れる。


「薫君ー俺にもよそってよー」
「嫌やし自分で好きなん取れや」
「ケチー。京君美味しい?」
「美味い」
「京君、ぎょーさんあるからいっぱい食べやー?」
「うん」
「ちょっと!何でそんなに京君に甘いの!?俺にも優しくしてよー」
「嫌やし。キショい。俺の分のビールは」
「はーい」
「ん」


敏弥が食べる京君の方を見て、軽く頭を撫でる。

極自然にやっとる事やけど、普段のコイツ等が想像出来そうな瞬間。


敏弥から受け取ったビールを開けて。
「カンパーイ」とテンション高く言う敏弥と缶を合わせて、一口。


うん、やっぱ美味い。


敏弥は鍋を作りよる時から飲みよって、何本目かわからんビールを飲んで。

菜箸を手に適当に具材を皿によそった。


「あ、敏弥そこら辺の今さっき入れたばっかやから煮えてへんで。そっちの方食え」
「えー?何処ー?」
「ここら辺。あー、ホラちゃうって」
「もう!薫君細かいよー」
「アレやな、薫君て鍋奉行やな」
「どうせなら美味いモン食いたいやんかー。京君いるか?」
「うん、入れて。あ、肉な肉」
「やから野菜も食べぇって」


敏弥がブツブツ言いながらも皿によそって食べ始めると京君の皿が空いとんが目について。

京君から皿を受け取ってまたよそう。


「あー!何で京君にはやってあげんのさぁ!」
「は?当たり前やん」
「もう、京君は俺のなんだからね!?」
「敏弥煩いキモい」
「ホンマやなー。京君よう付き合えるわー」
「やろ?誉めてくれてえぇで」
「ちょ、京君酷ーい」
「あ、薫君うどんは?」
「ん?もう入れる?」
「入れる。食いたい」
「はいはい」
「無視かよー」
「何やねん寂しいんか敏弥君はぁー」
「ちょー寂しいから京君構って」
「アホか。早よ食ったら。あ!また野菜入っとるやん」
「野菜も食うモンやって」


皿を受け取って文句言う京君に苦笑いしながら、他の野菜を端に寄せて用意しとったうどんを入れる。


大人しく食べ始めた京君。


敏弥と付き合ってから、ほとんど京君とご飯食べに行く事も無くなったし。
前みたいに世話焼く事もかなり減って。


やから、こう言う風にするんて何か懐かしい気ぃするわ。


まぁ、俺は京君と付き合いたいどうこうは思ってへんかったけど、敏弥に役割りを取って変わられた感じ。


「あ、京君、ちゃんと椎茸食べなよ。俺んトコ入れんなって」
「入れてへんし。最初っから入っとったんちゃう?」
「もうー」


さっさと敏弥の皿に椎茸を入れて笑う京君。

そんな京君を、目を細めて愛しくてしゃーないって言う様な視線で見つめる敏弥。


ホンマ、見よったらこっちが恥ずかしくなる程なんやけど。


でも、こっちまで嬉しくなる。
そんな2人の関係性。


「あー酔っ払っちゃったー」
「飲み過ぎやアホ」
「薫君泊まらせてー」
「えぇけどヤんなよバカップル」
「あっはは」
「薫君覗くなやー」
「…やっぱ帰れお前等」




20101202



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