11月11日の遊び/敏京




「京君、お菓子食べよ」
「うん?どしたんソレ」
「さっきコンビニで一緒に買ったの。食べよ?」
「ポッキー?美味いよなソレ」
「うん」


仕事終わって、食べに行くんもめんどかったからコンビニで食うモン買って敏弥んち。

飯も食ったし敏弥んちにあるゲーム漁りよったら敏弥が何か箱の菓子を取り出した。


敏弥が菓子買うんとか珍しい。
僕の為に買ったりはするけど。


あ、このゲームしよ。

敏弥が僕の後ろに座ってゴソゴソとポッキーの箱を開けとって。


決めたゲームをゲーム機にセットしてから。
コントローラーを持って敏弥が座っとる位置まで戻ると敏弥が当たり前のように僕の腕を掴んで引き寄せて。

当然の様に敏弥の足の間に座らされて腹んトコに腕が回って来た。


別にいつもの事やし、拒否る理由もないからそのままズルズルと身体をずらして敏弥の身体に凭れかかる。


したら敏弥が片手で柔らかく僕の髪を撫でて、唇を押し当てた。


「あんまゲームしちゃダメだよ?明日も早いんだから」
「うーん」
「もう。わかってんの?」
「えぇやん。昼寝するし」
「薫君に怒られちゃうよ」
「はは、薫君オカンみたいやもんなぁ」
「だよね。あ、京君ポッキー食べる?」
「うん」
「あーん」
「……」


ゲームの画面が始まって、僕がテレビ画面をガン見しながらコントローラーを操作しよると。
僕の身体から手を離した敏弥はポッキーを1本僕の口元に差し出して来た。


口開けると、敏弥が口ん中に入れて来て。
口だけ動かして、ポリポリと食べて行く。


うん。
普通にポッキーの味。
美味い。


僕がゲームしよる間、食べ終わった時を見計らって敏弥がポッキーを持って来た。


「…ふふ、京君可愛い」
「……」
「餌付けしてるみたい」
「……」
「あーん」
「…あー…」
「可愛いなぁ…」
「…もう煩い集中出来ひんやろ」


ポッキーを寄越しながら、敏弥が耳元で笑う。

その声を聞くとむず痒い気持ちになる。


眉を寄せてアホな事ばっか言う敏弥の足をペシッと叩いて、また画面に視線を戻す。


「京君ゲーム好きだねー」
「敏弥もやろ」
「うん。じゃ、俺とゲームしようよ」
「はぁ?今僕やっとるやん」
「今日ってねー11月11日じゃん?1が並んでるからポッキーの日なんだって」
「ふーん。えぇから、早よ」
「はい、あーん」


敏弥が差し出して来たポッキーに口を開けて食べる、と。


「ん゛!?」


敏弥の手が顎を掴んで無理矢理上向かされる。

ポッキー咥えたままやったから、その反対側を敏弥が咥えて食べていきよった。


いきなりの事で、ゲームん事忘れて固まっとったら。
敏弥がポリポリ食って来て、ちゅっとキスして離された。


「…何するんお前。アホか」
「ポッキーの日だし、ポッキーゲームしようよ」
「…嫌やし。僕ゲームしと…ッ」
「もうゲームはダァメ。俺としよ?」


敏弥が僕の手からコントローラーを奪って。


取り返そうとしても敏弥が手を伸ばして取れへんようにされて。


ムカついて、敏弥の顔を見上げて睨むと敏弥はニコニコしとった。


はぁ。

もうえぇわ。
RPGやから動かさんかったら死ぬって事ないし。


ポッキーの日か何か知らんけど、僕とそんな事がしたくてわざわざ買ったんか。


アホか。
ホンマに。


「なん、お前そんなに僕の事好きなん」
「当たり前じゃん。大好き」
「ほーか」
「京君!まだまだポッキーあるからね!全部一緒に食べようね!」
「はぁ?普通に食った方が早いやん」
「それじゃ意味ねーの。あーん」
「……、あー」


上向いて、敏弥が差し出したポッキーを咥えたら。
また敏弥が反対側を咥えて。

今回は僕もかじってく。


やって僕がポッキー食べれんやん、じっとしとったら。


短くなって、キスをして、敏弥の顔が離れてった。


ヘラヘラ笑って、だらしない顔。


男前が台無しやで。


「んっふふ」
「キモ」
「だって楽しいんだもーん」
「はいはい」


でも、しゃーない。
敏弥のそう言うトコが、僕も好きやったりするから。




20101111



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