2人の朝/敏京
「……う、ん…?…んー…?」
「………」
何となく、蒸し暑くなって目を開けたら、目の前が薄暗い…って言うか、布?
蒸し暑い原因の布団を手探りで剥ぎ取って顔を出すと、自分の体勢を理解する。
「んー…きょーくーん…」
「……」
京君の胸元に顔を埋めて、背中に腕を回して身体を丸めて抱き付いてる状態の自分。
京君の匂いが鼻腔を擽り、更に抱き付いて擦り寄った。
寝てる京君も俺の身体に回ってて。
寝る前は京君を後ろから抱き締める状態だったのに、起きたら俺が抱き付いてるこの状況に苦笑い。
どんだけ京君の事好きなんだよ俺って思いながら、胸元に寄せた顔をもぞもぞ上げて。
見える首筋に鼻先を埋めた。
いつもの京君の匂い。
すげー安心する。
「…んー…」
京君は擽ったいのか少し身を捩って。
それに笑みを浮かべて、布団の中でもぞもぞと身体を動かして。
枕に頭を沈める京君の隣に頭を置く。
俺の身体に回した腕の位置を変えて抱き締めさせる。
今日は俺の方が先に起きたから、京君の寝顔を堪能。
可愛いなぁ。
好き。
好き過ぎる。
「…京君好きー…」
「………」
あ。
唇を親指でぷにぷにしてたら超嫌な顔された。
京君の手が俺の手を払って寝返り打っちゃって反対側向いたから追い掛けて抱き締める。
いつも寝る時の体勢。
俺が京君を抱き締めて、みたいな。
京君の肩口に顔を埋めて、ぎゅぅっと抱き締めるとさすがに起きたのか俺の腕をペシッと叩かれた。
「…ちょぉ、じゃま…」
「だって京君あったかいんだもん」
「…いまなんじ…」
「わかんねー。オフだし、いいじゃん」
「んー…」
京君の寝起きの掠れた声。
起きたすぐで頭が回らないのか、甘えた声に聞こえて来る感じが堪らなくイイ。
後頭部にちゅっとキスをして腹の辺りを撫でる。
京君は俺に抱っこされたまま伸びをして、腕の中で移動してこっちを向いた。
向かい合う形になって。
「珍しいやん。敏弥が起きとんとか」
「えー?俺の方がよく先に起きるでしょ?」
「そうやったっけー?つーか寒い…暖房つけて」
「こうしたらあったかいって」
「ちょぉ、苦しいって」
「だって京君抱っこするのにちょうどいいんだもん。可愛いんだもん」
「もん、とかキモい。何言うとん敏弥なんかガキみたいに僕に抱き付いて寝とった癖に」
「…え?最初から起きてたの?」
「夜中にトイレに行ってまたベッド戻ったら敏弥が胸元に擦り寄って抱き付いて来た」
「……うわー」
「かわえぇよ、敏弥ちゃん」
「もー!京君!」
「ははッ」
もう完璧に覚醒したらしい京君は、目を細めて笑って。
俺の髪の毛をわしゃわしゃ撫でた。
「デカい図体して敏弥って甘えたやんな」
「…そんな事ありませーん。京君にだけでーす」
「当たり前やろ誰にすんねん」
「…んふふー」
俺の頭を撫でてる京君の手を取って、指を絡めて恋人繋ぎ。
京君の言葉に嬉しさに笑みを浮かべて京君の顔をじっと見つめる。
何だかんだで、京君も甘えさせてくれんじゃんね。
大好きだよ。
そう言うトコ。
こう言う風に、オフの日にまったり過ごす時間とか。
本当に好き。
京君と、だから。
「なーぁ、今日オフやんなぁ?」
「うん。ってコラ擽ったいって」
間延びした京君の声が聞こえたと思ったら、京君の片手が俺のスウェットの中に入り込んで来て。
腰の辺りを撫でて来る手。
「…あ、敏弥の勃っとるやん」
「ッ、朝勃ちじゃん。生理現象だろ」
「はは、僕も」
俺の足に京君の足が絡んで来て。
肌を撫でてた手が、俺自身をゆっくりと撫でて。
朝のまったりとした時間が、途端に色めいた物に変化する。
「敏弥が可愛いからヤリたなってもうた」
「もー。そんな京君が可愛いっつの」
京君が口の端を吊り上げで笑って。
その顔も、エロくて好き。
朝からって、いつもと違う感じでまたいいね。
結局、京君とだったらどんな時間でも好きって言う事だよね。
終
20101106
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