待ち受けの写メ/京流




あんまソレ自身は気にせぇへんかってんけどな。
いやでも同居人が携帯眺めながらニヤついとったら何かキモくて気になるやん。
何しとんって話やん。

深夜。
風呂上がりに髪の毛を乱暴にタオルで拭きながらリビングに戻ると、やたらニヤつくるきの横顔が目に入ったん。
もうそんな仕草されるだけで心底キモいと思う。
普通に出来んのかアイツ。

まぁ話し掛けるんも嫌やから、その携帯に何があるんやろってちょっとソファの後ろに立って覗いてみた。


…うん。


「何待ち受けにして笑っとんねんお前。消せや」
「ぁ"だッ!?…京さんいつ風呂から出たんですか」
「んな事どうでもえぇやん。何なんそれ」
「え?」


うん、会話なかなか進まん事にいつもやけどイラッとするわ。

画面覗き見ると、海外から僕が送ったファンメに添付した、最近の僕の写メが待ち受けやったから思わずはたいてもた。
バンギャみたいな事すんな。
寧ろ100歩譲ってしてもえぇとして、画面見て笑うなキショい。


「ちょぉ、お前、待ち受け消せキモい」
「えッ、嫌ですよこの京さんお気に入りですから」
「僕が嫌や。えぇやん家に実物おるんやからキモい事すんなファンかお前」
「京虜です」
「きっしょ…」
「や、だって朝っぱらからこんな写メ見たら待ち受けにもしますって。かわ…」
「あ"ぁ"!?」
「…いえ、何でも無いです」


もうコイツって何なん。
呆れながら隣に座ったら、携帯を守るようにガッチリ握っとった。
今取らへんて。
お前おらん時に消すから。

テーブルに置いとる煙草を取って、火ぃ点けて一服しよると、るきがじっとこっち見て来た。


「…京さんの」
「あ?」
「京さんの待ち受けって何ですか?」
「別に最初っから入っとるヤツ」
「えー、俺にして下さいよ」
「嫌やキモい無いわ。お前こそ自分待ち受けにした方がえぇんちゃう?」
「何でですか。俺そんなナルシストじゃ無いんですけど」
「や、スッピン写メって待ち受けにして、携帯開く度に現実を見つめて改善してったらえぇやん」
「………俺そんな酷くねぇっす」
「はッ」


煙を吐き出して笑うと、顔歪めたるきが目に入って可笑しかった。
その顔が不細工やねん。

…と、何やるきが思い付いた様に目ぇ輝かせて来た。

うん、ロクな事考え付かんコイツの事やしな。
何か聞くんも嫌やけど喋るんやろなコイツ。

「京ーさん」
「……」
「一緒に写メって下さい」
「嫌」
「何でですか」
「お前それ待ち受けにするとか、そんなんやろ」
「わかってるなら撮りましょうよー」
「無理」
「えー…一緒に写真撮りたいです」


しつこい奴やなぁ…。
若干こっち寄って来よるし。
煙草の灰を灰皿で弾き、無視しとると身体を密着させて来た。


「お願いします京さん」
「嫌やってしつこいでお前」
「だって2人での写真て無いじゃないですか。仕事では絶対ありえないし」
「あー…」


まぁ確かにそうかもな。

そう思いながらボーッと明後日の方向向いて煙草吸いよると、肩ら辺にるきの頭が寄って来た。
何、と言葉を発する間も無く携帯から発せられたその音。


「…おいボケ。今勝手に撮ったやろ!」
「痛ッ、や、だって」
「だってや無いわ!消せ。そんで死ね」
「うぅ、やです。初写メなんで!京さんにも送るんで待ち受けにして下さい」
「嫌じゃボケふざけんな」


勝手に撮るとか、お前も偉くなったなオイ。
そう思っとると、るきが僕の携帯に今撮った写メ送ったかんか知らん、メール着信音が流れた。

そのメールを開いて、添付画像を見ると煙草吸って違う方向向いた風呂上がりの僕と、るきがカメラ目線のるき。
ちょ、キメ顔すんなキモい。

もう…何かコイツ呆れる。


「京さん待ち受けにして下さい」
「絶対嫌。無理。不細工。キモいわ」
「俺もするんで!」
「……待ち受けにすんなら、ハメ撮りすんで」
「…え…」
「あぁ、ハメ撮りなら、るきの画像待ち受けにしたってもえぇわ」
「えぇえぇ!?や…ッ、冗談、ですよね…?」
「本気やし」


えぇな、ハメ撮り。
またしたろ。


取り敢えず送られて来た写メは保存するけど。




20090208


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