「…へえ、楓と諷が歩いてら」
「あるべき姉妹の姿ってやつねえ、…最も、あるべき兄妹の姿にはならないようだけど?」
「何を意味わかんねえことを」

暗闇には二人の姿。
成人済みの女性と、それにはまだ満たない青年の姿。
彼らが覗き込むものは、学園都市に無数の存在する防犯カメラの映像。
勿論彼らは風紀委員でもなければ警備員でもない。
ともすればその情報はハッキングによるものだと用意に想像ができる訳で。

「…お前の願いを、叶えてやるよ」

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「…にしても、諷が学園都市に来てるなんてねえ」
「わたしだって、学園都市興味あったんですよ」
「あっ敬語とかいらないわよ、妹なのにそれは変じゃない?」
「確かにそう、…だね。じゃあ普通に喋る」

恐らく元々敬語癖があるのだろう、普通に喋るとどことなく不自然な気がした。
そういや姉さまなんて呼ばれ方もしていたし。
どこかのクローンの妹のような呼ばれ方に、少しだけ昔のことを思い出してくすりと微笑を漏らした。

「…あ、ていうかあんたその制服さ」
「ええ、あ…多分姉さまの学校の付属中学かと」
「世間狭っ…何で今まで気づかなかったのかしら…」

胸元に光る校章が、同じ学校ということを証明する。
こんなに自分を追いかけてきた妹に、密かな感謝をしてたくさん話をしようと思った。

Siblings
(闇に紛れし血族)


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