「…んでさ、あんたがなんかの情報知ってる?」
「ひッ、な、何の事だ!わ、私は何も知らないッ!」
「んー、まあそれならそれでもわたしは構わないんだけど?仕事的に考えると喋ってもらわなきゃいけないっていうか」

電話で得た情報として、取っ捕まえる奴は意外と近くにいることがわかった。
研究所には電子ロックやら対侵入者用システムが山のようだったが、要は来た人間全員を沈めればいいのだ。
早い話が研究所内の全ての人間から話を聞けばいい。
少し効率が悪いが、手持ちの情報ではこの程度のことしかできない。

「またはずれか…ったくこの研究所はどんだけ人数いんのよ…」

能力を使い続けると体力、気力の両方が消耗する。
そこで楓は少し休憩を取ろうとしたのだが、そこには麦野とはまた違った、金にも近い、明るい茶髪をした青年が立っていた。

「…あんたもこの研究所の人間かしら」
「俺か?俺は違うね、っつーかお前も誰?研究所の人間じゃねえよな」

飄々とした態度で話し掛けてくる、茶髪の青年に楓は怪訝な目を向ける。
すると茶髪の青年は鼻で笑ったように言う。

「そう警戒すんじゃねえよ、俺は別にお前みたいな奴を殺そうとしてる訳じゃねえ」
「何て物騒な人、まあわたしもあんたには興味ないわ」
「ふーん、そーいやお前は何しにこんなとこに来たんだよ」
「…」

言うべきか言わないべきか迷ったが、別に仕事の内容をバラしてはいけないという義理もなければ、少し連絡係が困ればいいな、と軽い気持ちだった。

「別に、ちょっとしたお仕事で情報を盗むだけよ」
「…!お前、もしかして『アイテム』の構成員か」
「…っ、さあ?大体『アイテム』って何かしら」
「とぼけんなよ、どうせ連絡係辺りに情報狙ってる奴他にもいる的なこと言ってたろ」
「……えー」

楓の顔から一滴の冷汗が落ちる。

「いや、てっきり麦野の野郎あたりが来んのかと思ってたんだが…新入りか」
「…だったら何よ」
「悪ぃな、この情報をお前らに渡すわけにはいかねえんだ、どうせアレイスターの差し金で俺に情報を渡さないようにしてたんだろ」
「…アレイスターまで関わってくるのかしら、とりあえずわたしはそのみんなが欲しがってる情報とやらを持ち帰らなきゃいけないの、あんたが知るのは避けたいかもねえ…」

言い終わると同時に、#名前#は傘を青年へと向ける。
青年の持つICチップを奪うため、持っている傘を剣のように振るえば、そこから発生した烈風が青年の手首を捉え、チップを落とす、はずだった。

「そういや事件起こして暗部入りしたのは第八位って聞いたな」
「そうよ、…なんであんたに能力が効かないのかしら」
「いや、俺第二位だし」
「…!?」

Over My Ability
(火蓋は切って落とされた)

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03/04
どうも垣根さんです

01/13
垣根って動かしやすいですよね、改めてそう思います



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