「…あんたが、第二位なの?」
「おう、俺が第二位の垣根帝督」

誇らしげに、しかしどこか自嘲気味に垣根は言い張った。
楓は信じられない、と青ざめた顔で、震えながら口を開く。

「…わたしは、確かに第八位だけど、あんたみたいのが…」
「随分な口じゃねえか、第八位の檸絽さん?」
「っ、別に第二位って言ったって最強じゃないでしょ」
「ああ?テメエより強いってのは変わんねえよ」
「…試してみる?」

垣根は鼻で笑い、

「止めとけよ、知ってるか?二位と三位にゃ絶対的な隔たりがあるって」
「その第三位から聞いたわよ、…あんたみたいな奴が御坂ちゃんより強いなんて」
「常盤台の超電磁砲だっけか、御大層なネーミングだな」
「あんたの能力が何だか知らないけど、わたしの邪魔するなら倒さなきゃいけないのよ」
「こっちも同感だな、まあお前が俺に勝てるとは思えないが」

お互い不敵な笑みを浮かべた。
音はなく、緊張状態が続く。
先に動いたのは楓の方だった。
楓は傘を垣根に向け振り下ろす。
バチン!と傘が床に叩きつけられる衝撃と同時に、描いた放物線に沿ってカッターのような鋭い衝撃波となって垣根に襲い掛かる。

「…ふーん」
「何、で…」

対する垣根の方はと言うと全く動かなかった。
力を量っているのだろうか、しかし彼に傷は一つもなく、実力の差は言うまでもなかった。

「まあこんなもんか、…そうだ、女ってのは3倍返しとか好きだよな。いいぜ、10倍にしてやるよ」
「(…来る!)」

楓は攻撃に備え、いつでも前後左右に跳び避けるような準備が出来ていた。
しかし垣根の攻撃に方向はなかった。

「ひ、ィッ!」
「へえ、なかなか良い眺めじゃねえか、さっきまでの威勢はどうした?」

見れば垣根の背中からは真っ白な羽根が生えていた。
その様子はさながら天使のようだが、彼の形相は悪魔そのものだ。

「随分、馬鹿みたいな能力、ね!」
「自覚はあるから安心しろよ」
「げほっ、はあ…!!」
「…っと危なぇな、当たるわけねえけど」

垣根の羽根はまるで異世界の物質のように謎めいていた。
彼の持つ羽根は彼の意思通りに動いているようで、羽根は楓の腹部に刺さりじわじわと色を赤く染めていく。

「俺の能力は『未元物質』、この世に存在しない物質を操る能力だ」
「…っ、ご、御丁寧な説明をありがとう」
「お前は今不可解な攻撃を受けてる、既存の生物学は効かねえからやばいんじゃねえの?」

垣根は倒れ込んだ楓に手を差し延べる。
楓は苦痛に満ちた顔でその手を弾く。

「どうやらそのようね、全く、何でわたしの周りって超能力者が次々現れるのかしら…」
「知らねえよ、まあ俺の気分も悪くはねえし」
「…わたしを、見逃すの?」
「そんだけ気分がいいのかもな、情報もゲットしたし」

楓は悔しそうに下唇をを噛みながら忌々しそうに呟く。

「っ、もうそれは諦めるわ」
「良い判断だな、連絡係には『垣根帝督』に会ったって言えばどーにかなるんじゃねえの?」
「…じゃあ有り難く、そうさせていただくわよ」
「じゃあ俺は行くわ、じゃあな、第八位のお嬢さん」


DarkMatter
(圧倒的な実力差)

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03/04
垣根さんマジイケメルヘン

01/13
訂正




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