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――「破廉恥でござる!」
…眠っている意識の裏側で確かにそう聞こえた。
ゆるゆると意識を呼び起こし、目を覚ます。
目を開けると、真っ赤になった幸村さんの顔が目の前にあった。
…可愛い。
本能の赴くままに幸村さんの頭を撫でる。
もう一度幸村さんの声が耳を劈いた。
気が付くと、幸村さんの声で起きてきた片倉さんと政宗さんが視界に映る。
あ、これはやばい。片倉さん、巷で言う極殺モードだ。
対する政宗さんはどこか愉快そうな表情を浮かべている。
ちなみに今の状態は私の前に真っ赤な顔の幸村さんが横たわっている。
幸村さんの頭に撫でていた手を置いたまま青ざめる私とそんな私を依然、抱きしめたまま眠っているふりをしている佐助さん。
怒られるのは私…かな。
こんなことなら、早めに起きておくべきだった。
そんな後悔は後にも先にも立たず。片倉さんの低い声が頭に響いた。
「おい、テメェら。そこに直れ。正座だ。猿飛!テメェもだ。狸寝入りするんじゃねぇ。」