dream
19 「所変われば品変わる」
全員入浴が済んだ時――私は今回の寝床の割り振りに頭を抱えていた。
布団は全部で3セット。あとは大きなこたつ布団が1つ。
5人じゃとてもとても足りないラインナップだ。
とりあえずはお客様が先だろうと思い、自分のベッドから布団を剥がしてリビングへ持っていき、お客様布団2つを自分の部屋に敷く。
ベッドは…使わない方がいいだろう。慣れてないだろうし。
「とりあえず伊達政宗さんと片倉さんは私の部屋で寝てください。布団は敷いておきましたから。」
「ああ、すまねぇな。」
「名前、full nameで呼ぶな。First nameで呼びやがれ。」
「はいはい、政宗さんは片倉さんと一緒に寝てくださいね。お休みなさい。」
不満そうな政宗さんを連れて、片倉さんは私の部屋に向かっていく。
あの2人は大丈夫だろう。何となくそう思った。
今度はこちらの番だ。
敷布団と布団は幸村さんに譲ることにして、隣にこたつ布団だけを敷く。
「…幸村さん、これは試練です。今日は私も一緒にこの部屋で眠ります。ここの布団を使ってください。破廉恥判定ありかもしれませんが、我慢してください。」
「うぬ…分かった。我慢しまする。それより名前殿の方が心配でござる。…この1つのこたつの布団を佐助と共に使うつもりであろう?」
「旦那、大丈夫だから。いつも名前ちゃんと俺、一緒に1つの布団で寝てるんだからさ。」
「佐助、破廉「幸村さん、声抑えて!今日はお客様いるんだから!」…すまぬ。」
注意が間に合ったのか、幸村さんは声を抑えてくれる。
「佐助さんとちゃんと一緒に暮らす時の約束をしたので大丈夫です。」
「そうそう。だから旦那は安心して寝てなよ。明日は御館様がいらっしゃるんだから、万全の状態でなきゃ。」
佐助さんの一言が利いたのか、幸村さんはすぐ寝る態勢に入る。
私もこたつ布団に入って寝ようとした時、ふと背中に温もりを感じる。
どうやら佐助さんが私を抱きしめているようだ。
幸村さんに見られたら、破廉恥扱いになっちゃう。
そう思って、引き剥がそうとしたものの、佐助さんが耳元で囁いた。
「名前ちゃん、約束忘れてないよね?接吻は我慢したんだから、これくらいはさせてもらわなきゃ。じゃないと…名前ちゃんとの約束破っちゃうかも。」
佐助さんの声を聞いた時、背筋がぞくっとした。
この人…本気だわ。
仕方なく佐助さんを剥がすのは諦めてそのまま寝ることにした。
――「所変われば品変わる(伊達さん、いどまじんに会う)」
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