トリップ 番外編B | ナノ
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▼ 【横腹】



何で毎回毎回変なお願いして来るんだろう。
特訓の勝負に負けたのは私、だから文句なんて言える立場じゃないけれど、でももっと他に無いのかな、舐める以外に私としたい事無いの?


「俺捲っていーの?」

「……」

「何だその目は。」


だって何でそんな楽しそうに笑ってるの、意味が分からない。普通の人ってこんな事するのかな、一般の恋人達は…………、あぁ、違った、銀さんは一般に入らないんだった。他の人とは違うんだったね、だから人の横腹舐めたいなんて耳を疑うような事言ってくるんだ。


「何?文句あんなら聞くけど」

「……ありません、負けたのは私なので。」

「その通り。ならほら、自分で捲って見せて。」


変っ態め!意味が分からない!全くもって意味が分からない……! 何が楽しいのかも全く分からない。何故舐めたいと思うのかも分からない、触りたいなら分かるよ、抱き付きたいのも分かる。だけど舐めたいって何?何で舐めるの??


ソファーに座らせられて銀さんは床に座り見上げて来てる、羞恥心なのか負けて悔しいからなのか分からないけど寝間着の裾を握って躊躇してたら、楽しそーに喉で笑う声が聞こえるし、……悔しいよやっぱり、全然勝てないんだから。


「ダメ、もうちょい捲って、下着ギリギリまで。」

「っ、……」


変っっ態ぃ……! ねぇおかしいよね何これ!? 何で自分で服捲って横腹見せないとならないの!? いや知ってるよ私が負けたからだよ……!! 変な事言われるなんて最早分かっていたけれど全力で頑張っても負けたんだよ!だから仕方無い、勝負に負けたんだから潔く従うべきだ。

意を決して捲り上げれば満足そうに「良い子」と言われる、いつか絶対勝つ、意地悪そうな顔して自分の唇舐めてる変態に私は絶対勝つんだ。


「ひゃっ!」

「こら逃げんな、お前負けたんだから大人しく言う事聞いてろよ」


聞いてるじゃん! 聞いてるからここに座って自分で服捲って持ってるんじゃんか! 銀さん横腹舐められた事あるの!? 擽ったい、物凄く擽ったい上に何か変な感じするの知ってるの!? 勝手に身体逃げちゃうくらい反射の域でしょうよ。


「……っ、」

「くくっ、あんまりにも悔しそーな顔すっから悪戯してるみてぇになってんじゃん」

「他に何だって言うの」

「俺は一緒に戯れてぇの」

「私にこれを楽しめって言ってるの?」

「反抗しねーで素直に受け入れてって事」

「別に反抗なんてしてない」

「そ?じゃあ確かめて見る?」


急に腰を浮かせて隣に座った銀さんに驚いていると、両手を広げてガバッと身体で覆い被さるように抱き締められた。持ってた裾は手から離れるし何事かと困惑しながらも、こんなに力一杯ぎゅうぎゅうに腕を回されたらホカホカするし何だろうねこの嬉しい気持ちは。
そっと背中に腕を回したら後頭部を2回程ポンポンと撫でられて腕の力が弱まり、見上げると満足そうな笑顔を向けられる。


「そんままな?」


身体に回ってた腕が離れ、1度両手で私の頬を包み顔を向かい合わせながらそう言われたけど、そのままの意味はちょっと良く分からないな。隣からまた床に移動する銀さんを眺めてると、今度は自分で私の寝間着の裾を軽く捲り唇を近付けて来た


「……んっ、……うぅ、」

「舌触りすげぇイイ」

「……舐める物じゃないよ」

「んー? じゃ唇でする?」

「……っ、ん、……んー、くすぐったぃ」


舌先が離れ唇で軽くスライドするだけの動きに変わったけどこれはこれで擽ったい、時折触れる息も笑う声も何もかもが擽ったいよ。


「んんっ、……銀さんっ、」

「ほら、さっきと全然違ェじゃん」

「っ、ぅぅ、くすぐった……っ」


腰に抱き付くように腕を回して引き寄せられる。
チロっと舐めては軽く唇で触れて来るのを繰り返し、上目遣いで見上げる銀さんと目が合うと笑って余計に顔が寄って来た。


「痕も付けていー?」

「……ちょっと?」

「ん、ちょっと見えるくれェのやつ」

「……ん。」


唇がピッタリ肌にくっ付いて、チクリと小さな痛みの後に触れる熱い息が、怖いようなピリピリ身体が痺れるような何とも言い知れない感覚。さっきまで舌先で擽るように舐めてたのに、ねっとりと這う濡れた銀さんの舌にビクッと身体が跳ねるけど、何故かくすぐったいのとは違う気がして恥ずかしくなってきた。

口元だけ服に潜り込んで目線を私に送って来たりしてたけど、どうにも見れなくなってソファーに置いてた自分の手で、ぐっと拳を作ってもまだ落ち着かないから変な声出ないように唇触ってちゃんと閉じてるか確認してると暫くして銀さんの動きが止まった


「……ん、……? 終わった?」

「終わった」


終わったらしい銀さんが隣に来て私の拳を上から握り、唇を触ってた手も大きな手の平に覆われ目尻に優しくちゅーされた。
見上げたらとってもご機嫌そうな顔してるから、楽しかったんだろうね、良かったね。


「良い手応え。」

「……、何で、なでる、……眠くなっちゃう、」

「いーよ寝て、運んどくから」


抱き締めてくれるのは嬉しいけど、そんな優しく頭撫でられたら眠くなる。
隣の部屋に布団あるんだから、歩けば直ぐなのに、でも気持ちいから離れてなんて言えない。
最後の力を振り絞ってちょっとだけ動き、ベストポジション見付けて止まったら上から笑い声聞こえたけど、一定のリズムで聞こえる心地好い響きが更に眠気を誘うの。赤ちゃんがお母さんの心音で眠っちゃう理由ってこれだよね


……あ、もうダメだ、おやすみなさい。





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