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▼ 1度は登ってみたい



珍しい事に次の日も朝から依頼が入り、今回は私も一緒に立ち会わせて貰って話を聞くと屋根の修理の依頼だった

屋根かぁ
屋上とか屋根って1度は登ってみたいと思ってしまう
そうゆう依頼もあるんだなぁって思いながら何気なく銀さんを見ると目が合って直ぐに逸らされた。

朝からずっとそう。
私と目を合わせようとしない
昨日の事怒ってるのかな?
でも先にやったのは銀さんだよね、


「屋根なら名前さん着物じゃ登れないですね。」

新八くんに言われて気付いた
確かにそうだ、着物しか持ってなかった
これで屋根登るなんて無理だ

「だね、私は下で掃除でもしてるよ!」

「私の服着れば良いアル。」

「え?神楽ちゃんの服? んー、嬉しいけど、でも流石にサイズが合わないから私着れないと思うな 」

「大丈夫ヨ−!名前細いから着れるアル! 」

早速着替えるアル!と神楽ちゃんに手を引かれるがまま足を動かした





「……え?マジか? チャイナ服着んの?名前が?」

「着れたら屋根登れますね。」

「何言ってるんだよ新八くんよ−。スリットで屋根登ったりしたら丸見えじゃねーか、色々と。」

「いや、アンタが何言ってるんですか。神楽ちゃんだってちゃんと下に穿いてるでしょうが。」







うん、何とか着れちゃった
丈少し上がっちゃうけどズボンも穿けた

「ありがとう神楽ちゃん!着れたよ!」

「似合うアル! 髪もお団子お揃いにしようヨ!」

「うん!待ってて、お団子にしてくる!」


年齢的にチャイナ服着て大丈夫か?とも思うけど、ここ色んな人が居るから誰も私なんか見ないよね。
そう思うと楽しくなる
だって、普段チャイナ服着ること無いもん
見たのだって神楽ちゃんが初めてだし


お団子を完成させて新八くん達の元へ戻った

「ごめんね待たせちゃって! 神楽ちゃんの服貸して貰って来たよ−!行こうかっ!」

「名前さん可愛いですね、チャイナ服似合ってます!」

「わ−!新八くんありがとう!」

行きますか、と進む新八くんを追い掛けようとしたら、銀さんに見られている事に気付いた


「……何、銀さん。もしかして年齢的にチャイナ服痛いとか思ってる?」

そんなの自分でも思ったし……
この服だって神楽ちゃんに着て欲しかろう
ごめんね、今日だけ私に着させてね。

心の中で服に謝っておいた
それにしても銀さんはさっきから何も言わない。
なのに目線は逸らされる事なくじっとこちらを見ている
服って言うか、足?

何見てるのかな?と自分の太腿辺りを見ても特に変わった事はない

「ねぇ、ほんとに何見てるの?」


「……いや、下穿いてなかったらどんなんかなって思って。 お前結構イイ太腿してっから、その赤いスリットから映えそうだなって。しかも丈短けーから際どい所まで見えんな。」


ようやく口を開いた銀さんはさっきまで全然目を合わせなかったくせに、私の足からゆっくり目線を上げニヤリと笑った


「……へ、変態じゃないの!?何なの!? 信じられない!何考えてんの!?」


何言ってるのこの人!?
じっと黙ってそんな事考えて見てたの!?
だったらとんでもない変態だよ!怖い!

ドン引き通り越して恐怖すら感じ顔を青くしながら一歩下がったら

「そーゆー顔も駄目だわ。 脱がせたくなんじゃん」

うっわ、もうやだこの人

置いて行こう。そう思い玄関に身体を向けた瞬間に、いつの間に近くに来てたのか、いきなり腕を引かれソファーに座らされた

座った私の正面に立つ銀さん
さっきの発言が頭に残って顔を見ることが出来ず下を向いていると
私の顔の横からソファーの背もたれに片手を置き、もう片方の手でスリットの裾を軽く捲ってズボンの上から太腿に手を置いてきた


え!?なに!?なにする気!?


びっくりして手首を掴んで止めるけど、特にこれ以上何かしてくる気配はない

下を向きっぱなしだった顔をそっと上げると、いつものニヤニヤした顔ではなく笑いを堪えたような顔をした銀さんが目に入った

ぽかんとして見ていると「くくっ」と笑い声が聞こえてハッとなる


何、これ……もしかして


「昨日の仕返しな。 焦った?」


してやったりって顔をしながら体勢を戻し私に手を差し出してきた

納得いかない所もあるけど、大人しく差し出された手を掴むとそのまま引っ張られてソファーから腰を上げさせられた


「……根に持ってたんだ。」

「ん−まぁ少しィ? 」


どこが少しだ、どこが
そもそも

「昨日のあれは、先にやってきたの銀さんじゃん」

「俺は倒しただけじゃん? 触ってねぇもん。手出すのはずりィだろ−」

「ずるいって何、触って倒して来たでしょ」

「触ってねぇもん、押しただけ。」


同じだろ!と叫びたくなる
いやそれ以前に無理矢理泣き顔見てきた仕返し的な意味も込めたわけで、これがその仕返しとなると、私の昨日の仕返しは何処へ行ったんだ?

無意識に眉間に皺を寄せてしまう


「悔しそうな顔しちゃって。」

笑いながら言ってくるのでムッとしながら顔を背けて玄関に向かった

もうとっくに新八くん達行っちゃったよ

靴も神楽ちゃんに借りた物を履きながら後ろからついてきてた銀さんに話掛ける

「にしても最初のセリフ、ヤバかったね。ドン引き通り越してたよ、仕返しの為とはいえ良くあんなセリフ思い付いたね?」

本当にとんでもない変態かと思ったし、いっそ感心するわ

靴を履いて振り向くとキョトンとこちらを見ている銀さんと目が合って首を傾げる

「太腿の話? 本気で言ったけど? 」

あっけらかんと答えて銀さんは座ってブーツを手に取る


本気で言った?
……え、
寧ろ恐怖したのは最初のセリフ何だけど……
待って何どうゆう事?

ぐるぐる考えながらブーツを履いている頭を見つめる。
履き終わった銀さんは立ち上がる途中、前髪のすき間から目が合った瞬間に軽く舌を出して笑った

歩き進む背中を呆然と見つめると
「次の仕返し期待してまーす」と一言


……このやろう、
どんだけ根に持ってるんだろうと呆れながらも子供が悪戯したみたいな顔に笑ってしまった









「2人とも遅いアル!!」

依頼場所に着くと既に2人は作業を始めていた

「ごめんね−!直ぐ手伝うね!」

銀さんは瓦取りに行ってくると向かったので先に梯子を使って屋根に登ると思ったより高さのある家だった

「うっわ、高っ−!」

「名前さん高い所駄目ですか?」

「ううん! 寧ろ大好き!」

凄−い!!屋根登ったの初めて!
空近いし気持ち良いっ!

「あんまり端に立ったら危ないので気を付けて下さいね。」

新八くんの注意に、「はーい!」と返事をして振り返った時強めの風が吹いて片足を屋根から落としてしまった。
一気にぐらつき2人が私の名前を叫ぶのを耳にしながら体が宙に浮いた

落ちるのは一瞬な筈なのに、これは痛いだろうなと冷静に脳が考えていると予想していた痛みはなく、暖かい衝撃

「っ!とに、お前は!!!! 何やってんだよ!危ねぇだろ!!」

衝撃は銀さんが下で私をキャッチしてくれた物だったらしく、肩で息をしながら私を見下ろし怒鳴っているのをポカンとしながら見つめた。


「……おい、大丈夫か? どっか打った?」

「……どこも打ってない。びっくりし過ぎた。」


びっくりし過ぎて声を出す所か目も瞑れなかった


「……私、お姫様抱っこ初めてされてる。」

能天気にそんな事を口走る私に、銀さんはため息を吐いた

屋根から新八くんと神楽ちゃんが顔を出し心配してくれてるのに気付いて、大丈夫と言う意味を込めて手を振る。


「あ、ごめんね銀さんいつまでも持たせて!降ろして!」

言うと銀さんはゆっくり降ろしてくれた

「本当ありがとう!ごめんね、少しはしゃぎ過ぎたわ、」

「ガキかよ」

「ごめんって、何か楽しくって。普段着ない服着せて貰って、初めて屋根登ったり猫探したり、皆で何かするの楽しいね。」

屋根から落ちて迷惑かけたのに、ふふっと笑って銀さんに言った

「でもまた落ちたら困るし、後は下で掃き掃除でもしてるね!」

そう伝えてホウキを取りに走ろうとすると、ペシっと軽く頭を叩かれた

「ばーか、オメーのせいで瓦落としたんだぞ。責任取って上まで運べや。」

「え、でも私落ちるし。」

「近くに居りゃ落ちねーよ。屋根の修理で楽しいなんて言うやつァお前くらいじゃねーの? 」

安上がりなやつ。そう言って落とした瓦を拾いに行った銀さん

自分の近くに居れば落ちないから登って良いってこと?

不器用な優しさに頬が緩み急いで背中を追い掛けて瓦を拾いに集めた

結局重いからって銀さんが運んでくれたけど……






朝から取り組んだ甲斐あってお昼過ぎには修理が終わった
昼食食べて行ってと言うご厚意に甘えてご馳走になり家を後にした


「思ったより早く終わりましたね! 」

「だな−疲れたし帰って寝るか。」

「私買い物行ってきて良い? 」

昨日お登勢さんから頂いたお給料で化粧品買いに行かねば。

「おー、1人で行けんの? 迷子になるなら付いてってやるけど。」

「ならないよ! 神楽ちゃんも一緒に行かない? すこんぶ買ってあげるよ。」

「ヒャッホイ!行くアル!」

「結局お供連れてくんだな。」

「っ迷子の為じゃないから!何でいちいち突っ掛かってくるかな!?」

何なんだ!
いちいち嫌みったらしい
でもそれが銀さんなんだってもう分かってきたけど
それでもニヤニヤしながら言われると、イラっとしてしまう

「ちょっと銀さん、名前さんだってそんな何回も迷子になりませんよ。知らない土地なんだから仕方無いじゃないですか。」

新八くん……!
ありがとう新八くん。
いつも優しくフォローしてくれる
新八くんにもお土産買って帰ろう


「知らない土地でも普通あそこまで遠くには行かねぇよ」

まだ何か言っている銀さんはスルーして歩いていると、周りがガヤガヤと騒がしくなってきた

何だろう?と騒がしい方に目を向けると4人の覆面被った人が見える

「何あの覆面? 強盗って感じ。」

「いやあれ強盗ですよ!」

私の呟きに即座に新八くんの突っ込みが入った


え?強盗なの?
まだ昼間なのに?
しかも走ってるよ?
普通車とか使うんじゃないの?
めちゃめちゃ目立ってるけど逃げ切れるの?

「ちょっと名前さん疑問持ち過ぎですから! 」

「え!? 何で心で思った事にまで突っ込み!?」

「いや声に出てたから!!」

えぇ!?マジか!
恥ずかしい……!


「オイオイ、こっち向かって来たんじゃね?」

「本当だ! ちょっ、どうすんですか!? 4人共走ってきてますけど!!」

しかもナイフ持ってますよ!と言う新八くんの声に全員ナイフを片手に走って来るのが見えた

「面倒くせーなぁ、名前ちょっと避けてろ。」

分かった。と言って銀さん達から少し離れた

この世界は物騒だって言ってたけど、皆大丈夫なのかな。

走って突っ込んできた4人を、銀さんはナイフをかわして殴り飛ばし、神楽ちゃんは飛び切り、新八くんも近くにあった木の棒で叩き倒していた
そんな中もう1人の覆面が輪から離れ子供に向かって走ったのが見えた

まだ3人が各々と向き合ってる状況で気付いていない

ヤバっ!

私は子供の元に走り出した。









覆面野郎を殴り飛ばすとあっけなく吹っ飛んでった、
神楽と新八もこれくらいじゃやられねーが、名前は危ねぇなと思って離れさせた
これ謝礼とか貰えんのかな−と呑気に思ってたら、前からあいつの名前を叫ぶ新八が目に映り俺も勢い良く振り返った
そうだ、覆面は4人いた
目の前は3人しか居なくて1人横に走って行ったのを思い出す

無意識に舌打ちをし、振り向くと同時に走り出そうと地面を蹴ると

名前が覆面野郎に回し蹴りを食らわせていた


……え?ちょ、マジか?
スゲー綺麗に入ったなアレ


「……え? あれ名前さんですよね? もしかして神楽ちゃん?回し蹴りしてるの見えたんですけど。」

「名前やるアルな!」

神楽じゃない事は分かってるであろう新八も信じがたいんだろう
俺だって思ったさ、あれは本当に名前かと。


走って名前の元に行った神楽を目で追いながら俺達も歩き出した









覆面と子供の間に入ると、ナイフを向けて走って来たので腕を軽めに蹴ってナイフを反らた後そのまま勢い付けて回し蹴した

こんな所でキックボクシングが役に立つとは

神楽ちゃんが興奮しながら走って来るのが見えた

「名前凄いアルな!」

「ありがとうっ、このチャイナ服凄く動きやすいね、足上げやすかった!」

足を上に上げて伸ばしていると後から新八くんと銀さんもやって来た
2人とも若干顔が引きつっている


「……名前さん、回し蹴りとか出来るんですね……。」

「あ、うん。キックボクシングしてたから、でもこんな風に人蹴ったの初めてだから加減が分からなかったや。大丈夫かな?」

一応手加減して蹴ったけど意外と飛んでった、と付け足すと更に新八くんは引きつった顔をした。

「キックボクシングってお前。何でそんな物騒な事やってたワケ? 人蹴るの好きなの? SMプレイにしたって激しすぎんだろ。」

「ちょっと何言ってるの!? そんな訳無いでしょうが! 友達に一緒にやろうって誘われてやってたの! トレーナーさん目当てだったみたいでその人が結婚して辞めたら友達も通うの止めたけど、私は楽しかったから続けてただけ!」

「楽しかったって人蹴るのが?」

「だから違うって! 人は蹴らないから! ミット打ちだから!! 普段あまり運動しないから体動かすのが楽しかったの!」

「今度それ下脱いでやってみてくんね?」

「馬鹿じゃないの!?」


やっぱり変態かよ!



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