03
「ねえ、聞きたいんだけれどアンタってオカマなの?」

「え?どうして?」


転校初日。学校の場所がわからないという理由でミサトさんに道案内をお願いしたのだけれど、業務があるらしく代わりにアスカが迎えに来てくれた。

まあ、学校どころか来たばかりの第三新東京市なのでどこもわからないのだけれど。

その道案内の途中で問いかけられたコレ。

私的には普通にしゃべっているだけなのだ。
ただ、身体が男なため結論からいうと本人はそう思ってなくても見た目はオカマになってしまうのだ。

……それもそれでキャラがたって面白そうだ。


「別に私はオカマって感じじゃないんだけれどねー……。」

「なんかさ、アンタと話してると男子と話してるっていうより、女子同士で話してるみたいなのよね。イントネーションみたいな、そんな感じの作ってないし。」


そりゃもともと女を何十年もやってきましたからね。
というかアスカはこういうキャラを毛嫌いするかと思ってたや。


「そう?じゃあ仲良く出来る?私たち」

「さあね、アンタ次第じゃない?」


そうやって学校についた私たち。
これは明日もお願いしないといけないなぁ。一回では覚えれなさそうな道のりだった。

なんでこんな不便なところに住んでるんだろう。


教室に入り、自己紹介も済ませ、よく見たことのある景色になった。
つまり、転校生への質問攻め。ちなみに質問されているのは私なわけで。


「ねえねえ!苗字くんってどこらへんに住んでるの?」

「名前くんってなんだか女の子っぽい名前だね!」

「部活とかどこにしようとか決めてる?」

「えっと、私の事も教えたいけれど、み、皆のことも知りたいなぁ……なんて」


少し、空気が固まる。ちょっと、どうしようって空気になってる。
あれ、もしかしてみんなは「私」とかダメな人?
オカマキャラ受け入れてもらえない感じ?


「ねェ、名前、ちょっとトイレ行かない?ついでに校舎案内するわよ。」


そう声をかけてくれたのはアスカだった。
返事をして急いで既にドアに向かっているアスカを追いかける。

今、名前よんでくれた……!


「ありがと、優しいのね。」

「なんのことよ。そんなことより校舎案内するわよ。昼休みは限られてるんだから。」

「さっき、名前呼んでくれたね。」

「……調子に乗ると蹴るから。」

「ぼ、暴力反対……!」


アスカは私が思った以上にいい子だった。もっと気が強くて、
跳ねっ返り娘だと思っていたけれど、しっかりとしていて面倒見がいい。

なんだかんだで今日朝から私を迎えにきた時に愚痴も言わなかったし。


「そういやアンタに言わなきゃいけないことがあったんだ。アンタ、オカマだから範囲外かもしれないけれど、ここの生徒会長はホモ」「僕がどうかしたのかな?アスカ。」


おお、カヲルくんだ。というかアスカと呼んでいるんだ……!すごい新鮮!
生徒会長をやっているという事は、ここはぷちえう゛ぁに近いのかな?

アスカは後ろを振り向きたくないのか、まるで錆び付いたロボットかのような動きをして後ろを振り返った。


「いいえー、別になにもー。」

「ひどいよ、僕の悪い噂を流すなんて。」

「ホントの事よ!ていうか話しかけるな!あっちいけ!」


そこまで毛嫌いしているのか……、と思ってアスカを見たら、
……あれ、顔、赤くないですか……?

まさか……。


「僕、実は君に用があったんだ、苗字名前さん。少し話しがあるんだ。放課後、生徒会室に来てくれないかい?」

「ロックオンされてんじゃないの?」

「まさか。」

「ちなみに二人っきりだから遠慮はいらないからさ。」

「アウトー!!手を出すこと確定じゃないの!!」

「手を出す?どっちの意味でだい?」

「いやいやどっちの意味でも怖いから、やめてね!」


なんだ、この夢は……。楽しいじゃないか……!
カヲルくんはアスカに背中を押されて退場した。

さて、……腰に手をあてて、ふん!といっているアスカに聞いてみよう。


「生徒会長好きなの?」

「ぶは!!!!」


アスカがこちらに顔を向けると、返事は必要ないくらい顔が赤くなっていた。
これは原作にないことだったから、ちょっと嬉しい。


「バレバレ。」

「嘘……そんなにわかりやすいかしら……。」

「どうだろう?わからないと思うけれど……、かっこいいね、生徒会長。」

「え、そ、そっか、アンタ、中身は女だもんね……ていうかそれもホモよね……?」

「私どっちもいける口よ?」

「?!」


そう、実は男になったのも女子に惚れてみたいとか守ってみたいと思ってたからなのだ。
前はカヲルくんもシンジくんも好きだったけれど、女子も可愛いと思えてきた。

だから、男に。


「やだ、アスカ、そんなに離れないでよ。もっとくっつきましょ。」

「アンタ、アタシをからかってるわね……!この!」


そして、放課後になりました。


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