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「だあああ!やっと解放された!!!」

「老人達の君への執着っぷりは凄かったねェ……。」


カヲルの部屋であろう場所に連れられ、先に敷いてあった布団に倒れこむ。
うう、お日様の匂いがいい匂い。
癒しを求めるかのようにグリグリと顔を布団に押し付けると顔の横に何かがのった感じがした。

顔をあげると真っ白な手が。

寝返りをうち、その手の持ち主であろうやつを睨みつける。


「カヲル、何?」

「ふふ、僕がこっちに寝ようかなと思っていたんだけれど先約がいてね。僕もここに寝る予定だったし、じゃあ一緒に寝ようかなって。」

「カヲルはあっちのベッドでしょ?!何でこっちに寝ようとしてんのよ!」

「だってほら、お客様をこんな下で寝せるなんて悪いしさ。さ、そんな格好だと服にシワが寄るよ。着替えようか。」

「脱がしにかかるなああ!」


ていうか渚くんの視線がすげえ痛いんだけれど!シンジも苦笑いしてないで助けてよ!
絶対次は君の番なんだから!
未だに視線を送る渚くんに、こんなお兄ちゃんになったらダメよなんて言おうとしたらドアがバアンと大きな音を立てて開かれた。


「あああああアンタたち、何やってるのよ!」

「薄い本的な事は何もやってないからね!!」


顔を真っ赤にしたアスカが登場。
最近同人誌読みすぎでそういう要らない知識をつけたんじゃない?!
そんなモザイクがかかりそうな事はなかったからね!ホントに!


「やっぱりホモが攻めだったのね……。普段は名前の方が攻めっぽいのに……。」

「しっかりどっぷり腐女子になってるじゃない!」

「そっか、母と兄はそういう行為をしようとしていたの?てっきりホントに着替えをするのかと思ってたけれど。」

「ぎゃー!誤解が誤解を生んどる!」

「そんな事よりアスカ、どうしたんだい?何かあったのかな?」


私の渚くん光源氏計画が崩れてしまう……、と考えていたらカヲルがアスカにそう尋ねていた。
あれ、そういえば何でだ?


「アンタたちをトランプに誘いにきたのよ。さっきの大広間で。どうせ寝るには少しだけ早いでしょ?そしたらこの状況だし……。」

「おお、トランプいいねえ!」

「アンタ、寝るときこっちに来る?むしろこっち側だと思うんだけれど。」

「いや、私がそっちにいったらシンジが確実にカヲルの毒牙にかかる。」

「……それもそうね。」

「えっ、な、何を言ってるのさ!」

「君たちは僕をなんだと思ってるのさ……。」


苦笑いしてるけれど、アンタは私たちが思っている人間で間違いないからね?
カヲルもその気が無くても、そういう雰囲気になりそうだし
シンジもこのカヲルだし、断るなんてこと、出来ないだろうなあ。
実際私ともじゃれてる時も本気の抵抗はしてこないし……。


「シンジは可愛いとおもう。」

「と、突然何を言ってるの?!」

「ここはホモしかいないわね……、さ、女子を待たせるんじゃないわよ。さっさとトランプしに行くわよ!」


二階に部屋があったので一階に降りて皆の場所へといく。
ふすまを開けると女子たちは寝巻き姿で、ちょっと眩しかった。
うん、女子はこうでなくちゃ。


「揃ったねん。じゃあまずは何からしよっか。」

「レイ、トランプで何か知っているのある?」


レイは私に話しかけられるとは思っても見なかったらしく、びくりと肩を震わせたあと、私の方を驚きながら見た。
私の方を見たのは一瞬で口元に手を持っていき下を向くとしばらく考える。

こういうのは皆で楽しみたいからね。レイでもしっているものをやれば楽しいだろうし。

考えがまとまったのか顔をあげて言葉を待っていた皆にレイは言った。


「ババ抜き、ポーカー、七並べ、……あとぶたのしっぽ。」

「マイナーなところがきたな!」


レイの口からまさかぶたのしっぽなんて聞くとは思わなかったよ!
ていうか誰とやってたの?!ゲンドウ?!

ちょっとその想像をしてしまって、口元が緩んでしまった。


「この人数だし、まずはババ抜きでしょうね。」

「はいはーい♪姫の仰せのままに。」

「ねえ、これって何か賭けるのかい?」

「カヲルくんはいつも何かかけてたの?」

「賭け?!いいねえ!そういうの燃えンじゃない!私賛成!」


私がいうと確かに面白そうだと思ってくれたのか皆も口々に賛成と言ってくれた。
……ちなみに幸運だったのか一度も負けることなくトランプ勝負が終わった。
神が味方したのね。あ、私がカミサマだった。

結局一番負けが多かったシンジに明日の昼ご飯を作ってもらうという罰ゲームを言い渡して寝ることになったんだけれど……。


「渚くん、寝ちゃったね。」

「無理もない。もうこんな時間だしね。」


言われて気づいたけれど、柱にかかっている時計はもう2時を針が指している。
私の服をしっかりと握りしめてすやすや眠る渚くんを見た。
これ、動かすと起こしちゃうかもしれないなぁ……、可哀想だし……。


「あ、私このままここで寝るよ。カヲル良ければ布団持ってきてくれるかな?」

「ラジャー、ちょっと待っててね。」


カヲルが立ち上がり部屋を出て行く。それに続いてシンジも手伝うと出て行ってしまった。
女子たちと一緒に片付けをしていると何故か大量に布団を抱えたカヲルとシンジがふすまを開けて入ってきた。


「せっかく泊まりに来てもらってるのになんだか寂しいよねってシンジくんと話してさ。」

「僕らもここで寝させてよ。」

「カヲル……、シンジ……。」

「ずるい、じゃあアタシたちもここで寝るわ!」

「お、いいねえ!賛成。」

「問題ない。」

「皆……。」


ちょっと目頭が熱くなってきてしまった。
なんだろう、この暖かさ。皆いい子たちすぎる……。

そのあと敷布団はなかったので、各自の布団だけを被り、口々におやすみなさいと言ったあとに誰かが電気を消した。
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