世界はこんなにも色とりどりですね
「こんぺいとう?」
「そう、漢字でかくと『金平糖』ってかくやつだね。」
碇くんは自分のノートの端に見やすい字で書いた。
でもそれでどうして金平糖なんだろう?
「私、碇くんになにかした?」
「どうしてそうなるの?というか寧ろ褒めたつもりなんだけれど。」
金平糖、といえば甘いとかそんなイメージがあったからてっきり
「苗字は何かと甘い」と遠まわしに怒られているのだと思ってしまった。
私のイメージって、金平糖なのかぁ。
……コロコロしてるとか……?!
「でもどうして金平糖なの?甘いとか、角があるとか?」
「見た目とか、色じゃない、気がする。」
「気がする?」
「……言うの恥ずかしくなってきたんだけれど……。」
口を尖らせて私の方から視線を外す。その顔は少し照れているともとれるような表情だった。
「でも、気になるし……。」
「……、そのキラキラしてて、毎日楽しそうで、……まあ、そんなとこ。」
「う、能天気って事ですか……。」
でも確かに碇くんの言うとおり、私毎日楽しく生きてる。
特に最近はすごく楽しい。恋をしてると世界が変わったかのようになる。
悲しければブルーに、楽しければオレンジに。
カヲルくんと一緒にいれば、パステルピンク。
「今、何考えてたか手に取るようにわかったんだけれど。」
「ひい!なんでなんで?!碇くんってエスパーなのかな?!」
「そうそう、そういうところもやっぱり金平糖だよ。」
私、顔に出てたかなぁと頬を上下にあげたりさげたりしていると碇くんは口元を押さえながら喉を揺らして笑っていた。
碇くんから視線を外してカヲルくんの方を見るとバチっと目があう。碇くんの事見ていたのかもしれない。
カヲルくんも私の事、金平糖みたいって思ってくれる?
そういえば碇くんって金平糖は作れるのかな?
「ねえねえ、碇くんの事、少しだけ聞いてもいい?」
(でもそんなキラキラしてる金平糖の甘さにたまにクラクラする時があるんだよね。ちょっとだけね。)
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