お題 | ナノ


  絡み酒プリンセス


お城と言われてもいいくらいの大きさで豪華さがあるこのお屋敷。
そんなお屋敷に叫び声に近いくらいの声が上がった。

私の声である。


「誰か助けてええええ!!!」


悲惨な庭師の叫び声だった。
今、お屋敷の中は酷い有様。目を覆えるならば覆いたい。
その手も今メイドのマリさんに羽交い絞めによって押さえつけられてる。


「ねぇねぇ、覚悟しちゃいなよ。楽に、楽しくなるよん。」

「いやだ!やだ!ていうか姫、ジリジリ近づいてこないでください!」

「あーん?アタシの酒が飲めないっていうなら無理やり飲ませるわよ?!」

「それどっちにしろ飲ませられる!!」


マリさんが持ってきたワインはかなり普通のワインより度数が高かったらしく、
数時間もしないうちにすべての人が酔っ払いとなっていた。
……ていうか単純に皆お酒に弱いのかもしれない。


「ほら、一緒に気持ちよくなろーよ。」

「あっ、マリさん、耳に息吹きかけながら言わないでくださいいい!」

「だいたいアンタなんなのよ!枯れた花を復活させたり、庭綺麗にしたり、働きすぎなんじゃない!?」

「褒められてる!」

「いいからそこに座んなさいッ!!」

「はいいっ!」


私は姫、つまりアスカさんに怒鳴られ正座で座る。
マリさんは羽交い絞めを外してくれてニヤニヤと笑いながら見ている。
ひいい、助けて!


「まったく!アンタは女子なんだから女子らしく着飾んなさいよ!」

「はい、全くその通りです。」

「そんなんじゃカヲルも振り向かないわよ!」

「はい、全くその通りです。……って、へ?!どうしてそうなるんですか!」

「なによ!逆ギレ!?」


何故か私が声を荒げた瞬間、ビクッと身体を後ろに反らし防御の体勢をとる姫。
いや、そもそも誰もキレてないですよ、姫も声が大きいだけでキレてないし。
言っている事は普通だし。


「プリンスはそんなん気にしないと思うけれどにゃー。」

「うっさい、マリは黙ってなさい!」

「へいへーい。」

「いい、女は度胸・愛嬌、坊主はお経よ!」

「男が度胸です……。」

「シャーラップ!!!」


ああ、ていうかご主人……カヲルさんに聞こえてないだろうか、と目線を向けてみたけれど、彼はおいおいと泣いているコックの世話で忙しいみたいだ。
頭を撫でてもらったり……いいな。

そして顔を掴まれグキッと90度回された。
首から変な音がなった気がする。


「アタシの話を聞きなさいーッ!!」

「はい〜…」


この屋敷のプリンセスは酔うと絡み酒になるみたいです。


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