▽ 02
今日はハーモニクステストの日。
シンジくんとカヲルくんとアスカちゃんが調整しに来ている。
レイちゃんは先日の使徒戦により負傷してるため、中央病院に搬送されている。
「失礼します。総務局三課から参りました。室長から赤木博士よりハーモニクステストの結果を受け取るようにと令がでましたので」
「ああ、連絡は受けてるわ。マヤに用意させてるから受け取って頂戴」
「すみません、プリントアウトがまだなんですよね…あと少し待っていただけますか?」
「あ、いいですよ、急がなくて。私ももう少し後でくれば良かったですね」
伊吹二尉と話していたら後ろの方で赤木博士の声で「もういいわよ」と終了を告げる声がした。
そちらを向くとシンジくんは下を向き、アスカちゃんは背伸びをし、
カヲルくんはこちらを向いていた。
あ、あれ?こっち見えてないよね?サウンドのみだよね。
え、なに、ずっとカメラ目線なの?とモニター越しに見つめ合う。
『やーっと終われるわー。きっつー。』
『はは、何もやることないと暇だよね……。あ、カヲルくん、このあとどうするの?』
『少しシャワー浴びようかな。どうだい、シンジくん、一緒に』
『えっと、じゃあそうしようかな…?』
『うわ、ホモがいるわ。アタシ一抜け〜』
というとアスカちゃんが映っていたモニターがプツンと消える。
それと同時に伊吹二尉が書類を渡してくれた。
「それ、信じられます?ホント、彼、渚くん化物ですよね。
だって、途中で基準の数字を変えてもそれに合わせてくるんですよ?まるでこちらが見えてるみたいに……」
確かに信じられない数値をたたき出してる結果をいただいた。
でも、なんだか、彼ならやれそうな気もするのはなんでだろう。
苦笑いをしているといつの間にか二人のモニターも真っ暗になっていた。
「あ、じゃあ課に戻ります。ありがとうございました。」
頭を下げて部屋を抜ける。
・
・
・
「全く室長も人が悪い……。『この書類調査局六課にも持って行って』って、私は雑用か!雑用だけれどさ…」
「ブッ」
何故か吹き出すような声が聞こえた。まさか……
歩みを進めると道の途中にあった自販機スペースにシンジくんとカヲルくんがいた。
「き、聞こえていたのかね。」
「う、うん、独り言が大きい人が近づいてくるなと思ってたら突然のモノマネが入ったから思わず…、ていうかカヲルくん笑いすぎだよ…」
渚カヲルはお腹を押さえて声を押し殺しながら笑ってる。
珍しい笑い方だけれど、正直複雑。
「大変だね、ハーモニクスの書類を取りにいったり、運んだり。名前さんが扱いやすい…いや、頼みやすいんだろうね」
「前者が君の本音だろう」
「あれ?名前さん、シンクロテストの時いたんですか?」
「うん、終わったくらいに来てたんだよ。(……あれ?どうしてシンジくんは知らなかったのにカヲルくんは知ってたんだろう?ま、いっか)」
「そんなことより、社会の犬さん、その書類届けなくていいのかい?」
「どんな呼び方?!お姉さんのハートはブレイクだよ!」
「リリンの心はガラスのように繊細だね」
「その次の言葉を待ってます」
「早く行けば?」
「酷い!じゃあ行きますよーだ。あとはお若い二人で〜。なによー、シンジくんへの優しさをちょっとわけてくれたっていいじゃない…もー……」
・
・
・
「カヲルくんと名前さんってなんだか仲良しだよね」
シンジくんが彼女がさったあとに僕の方を向き直し言ってきた言葉。
……君にはそう見えるのかい?
「仲がいいか…嬉しいことだね。こうやって君や彼女のように話してくれる相手がいるということは平和な時間が流れているということだしね」
「ううん、僕が言いたいのは、カヲルくんは名前さんに気を許してるねって言いたかったんだ。なんというか、姉弟みたいだよね。二人は。」
「……僕なりに彼女に甘えれてるのかもしれないね。ただ…」
思わず苦笑じみた笑みが出てしまった。そこ数日話しただけの彼女にそんなに気を許してしまったんだな、と。
彼女は確かに話しやすいし、欲しいところに手の届く…そう
「彼女は僕にとって孫の手みたいな存在かな?」
「それは僕が聞いても酷い!」
立ち上がり、手を伸ばし「シャワー一緒に浴びに行こう」とさそうと
少し目をそらしながらシンジくんは手をとってくれた。