▽ 01
突然ですが、自己紹介をしましょう。
私、名前はネルフの職員として働いております。
とはいっても戦闘とか先頭とかではない。ただの雑用です。
んふふ、戦闘と先頭、言葉にしたら一緒なのに。
「何をほくそ笑んでいるんですか、立ち止まらず進んでください」
にっこりと微笑みながらそんな顔とは裏腹な言葉をはく彼は
つい先日この特務機関ネルフに配属された汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン専用パイロット、フィフスチルドレン、渚カヲル。
容姿端麗、成績優秀、ハーモニクスも化物なみのシンクロ率を叩き出し、
王子様のような顔立ちに、囁かれたら腰が砕けそうな声をして
足腰細く、足は長く、非の打ち所が無いってくらいの人物
なのに、
「渚カヲル、君が私の靴のかかとを踏んでいるから前に進めないんだよ」
「おや、気づかなかった。」
この男の性格ときたら…ッ!!
しかも私以外には猫をかぶり性格が180度回転して良い子ちゃんになるという。
……だがしかし、こんな彼だが、実は私は彼に恋心をよせていたりします。
「どうしたんですか?そんなに見つめて。僕に惚れ直したのかな?」
そしてこの男は私の恋心もばっちりご存知です。
「いや、カヲルくんもご飯なのかなって」
「ええ、今からですね。随分遅いんですね、名前さんも」
「ちょーっとキリのいいところがなくてズルズルと作業してたら。むしろ間食の時間だよ……」
「ふふ、仕事できないんでしょうね。手伝い、いります?」
だからこうやって構ってもらえると多少意地悪でも嬉しいと感じてしまうのが辛いところ。
「けっこーです。中学生は中学生らしく勉強でもしてなさい。あ、カヲルくんは何食べる?せっかくだしおごらせなさいよ。」
「え、僕より安月給のヒトに奢らせるなんて悪いですよ」
うるせえええ!!そりゃ戦闘員にくらべたら安いよ!むしろアンタたちの方は命かかってんだから高いの当然じゃねーか!!
「いいから子供は黙って大人に甘えときなさい…!」
「その子どもに茶化されてる大人には甘えれないなァ」
そんなこといって私を追い越し食券を買う。
「どれにするの、名前さん。大きいのしかなかったんで、ついでに買ってあげますよ。」
「ぐう…!A定食…!」
「ラジャー」
こういう意地悪されながら実は優しさを含ませるっていう感じの事をされると、ますます好きになるだろ…!
大人だから気づいちゃう事もあるんだよね……。さりげなく手伝ってくれたり、
こうやって話しかけてくるのだって彼からだし。ちょっとだけ、お姉さんは君は私を好いてくれてるんじゃって、思ってたり。
「あ、間違えてカツ丼定食大盛り押しちゃったや。頑張って食べてくださいね。」
「私を太らせる気か、この野郎…ッ!」
……単にからかうのが楽しいからかもしれない。