性格悪年下彼 | ナノ


▽ 13


いつ切ったんだろう?と首をかしげながら指や手を見た。
結構深く切っていたみたいで、くっと患部を押さえると血の塊がぷくっとでてくる。


「ちょうど病院だし、絆創膏でももらおっかな。」


カヲルくんの病室からトイレに行こうと思って部屋をでた。
部屋にもトイレがあったのだけれど、なんだか一緒のトイレを使うとなると
どうにも座れなくなるので。

まあ、そんなこと言ったら外のトイレなんかみんなと…ってなるけれど。


「はー、すっきり。」


トイレにいって、絆創膏もいただいてカヲルくんの部屋に戻ると
加持一尉が私の座っていた椅子に座っていた。


「あれ?加持一尉?」

「よっす、昨日ぶりだな、名前ちゃん。
そういえば昨日は怪我してたみたいだけれど大丈夫か?」

「え?ああ、これですか?なんで知ってるんですか?」

「俺の服に血がついていたからね。もしかしてと思って気になってな。」


あいたぁ…抱きついた時か。
血って確か洗濯じゃ取れないんだっけ……?


「すいません、弁償します」

「名前さん、怪我してたんですか?」

「うい、いつの間にか。どこで切ったんだろう。」


手を持ち上げると真新しかった絆創膏が少し黒ずんでいた。
さっき、血を出したからか…

二人ともに苦い顔をされてしまった。


「そうそう、渚くん、明日の退院の件で来たんだけれど、体調は大丈夫そうかい?」

「万全、とは言えませんが、ほぼ回復してますね。」

「そうか、それは十全。じゃあ、明日、昼頃職員が迎えに来る手はずになっている。
ああ、そうだ。あと明日、君の恋人は借りていくよ。」

「了解……え?」


私も「え?」と同時に聞きたかったが、声が出ず、加持一尉をただ驚いた顔で見るだけだった。

ん?私のことか?恋人って。そういえば、そういう勘違いさせてたっけ?


「よし、決まりだ。さて俺はここで「いやいやいやいや、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!本人の了承なし?!」」

「何言ってんだ?俺の腕の中で散々ないていた時に聞いてただろう?
渚くんが退院したときにでも少し俺とデートでもしないかって。お前頷いてたぞ?」

「アンタ、人が悲しんでる時に何聞いてるんだ!ていうかその言い方卑猥だから!
子供の前で何言ってるんだ!」


病院だということを忘れて大声を出してしまった。反省。
いや、そもそもこの男が悪い。

カヲルくんの冷ややかな目線がとても痛く突き刺さっています。
違うよ…!私は健全よ……っ!


「二人ともに了承得たんだからいいだろ?たまには上司の俺の愚痴にも付き合えよ。
なんなら渚くんとデートでもいいが?」

「病人になんて酷な!」

「シンジくんでもいいな」「名前さんを連れてってください。」

「酷い!売られた!!即答すぎるだろカヲルくんよぉ!」


これで逃げ道がなくなり、私は加持一尉とデートすることとなった。
まあ、この前の一件もあるし、なんだかんだで
加持一尉は彼氏(というデマ情報)がいる私には手を出さなさそうな気がするし。


「はあ、しょうがないですね……」


ため息混じりで返すと少し嬉しそうにして、加持一尉は帰っていった。

残された私とカヲルくん。すっげえ気まずい。


「明日、加持主席監査官とデートなんですね。先日は僕との森林デートで……君はなんといえばいいのか……とっかえひっかえ?」

「悪い言葉だ、悪意しか感じない。」


大体了承したのカヲルくんじゃん。この前は偽恋人になってくれるという
かなりカッコイイ助け方をしてくれたのに、
シンジくんの名前が出た途端、これだ。

お前の頭はシンジくん一色か。確かにシンジくん、女装したら似合いそうだよね。
メイド服とか。


「妄想してないで帰って明日の準備したらどうだい?」

「なぜバレたし。ていうかシンジくんの妄想してたから気づいたんだろう?」

「次はシンジくんかい?名前さんは浮気性なんだね。」

「ああああ、また不名誉な評判が増えた!」


ため息をカヲルくんがついた。ため息つきたいのはこっちだ!


「御飯のあと、お風呂なんですよ。もう帰ったらどうですか?」

「ぐう、機嫌悪くなってる…!いいよ、お姉さんは帰るよ…!」


自分の荷物を持って部屋のドアを開ける。
ぐるっと振り返って年甲斐もなく、べーっと舌をだす。


「ふーんだ、また明日!」

「はいはい。また明日。」


ふっと笑ったのが見えて、ドアをゆっくり閉める。
とりあえず、加持一尉とのデートで退院祝いを買って、彼に渡そうと決めた。







「ああ、セカンド?いま大丈夫かい?」


渚カヲルは携帯を片手に誰かと話していた。
話し相手はセカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーだった。


「ふふ、僕から電話なんてそんなに珍しいかい?……そうそう、用件だね。」


彼は手元にあった彼女の忘れ物を手にとる。
その手に握られたのは彼女の携帯だった。

液晶に出ているのは『メール一件:加持一尉』の表示。
それを開き、明日の場所と時間を確認する。


「明日、デートでもしないかい?僕の退院祝いでさ。君じゃなきゃダメなんだ。」


そういって、彼は微笑みを浮かべた。

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