……性格の悪い彼は年下の彼/裏
「ちなみに聞きますけれど、ここの電球が切れたわけではないですよね?」


真っ暗になったのは私のいる部屋もだった。突然すべてが停電になったのだ。
私はプールで冷えたからと言って私の部屋にシャワーを浴びにきたカヲルくんの着替えを渡す為に風呂場の隣にある個室に入ったんだけれど……。
キュッと蛇口がひねられる音がしたあとに冷静なカヲルくんの声がした。


「大丈夫、全部真っ暗。おかしいわね…ブレーカーは施設内だし落ちることなんてないはずなんだけれど」

「もしかしたらネルフ全体の主電源が落ちたかもしれないですね。」


後ろでがちゃりと何かが開く音が聞こえると同時に、湯気のせいで湿度があがり、顔の横をなにかが過ぎていった。

多分、これ腕だ。


「邪魔だよ?それともわざと服やタオルをとらせないようにしてるのかな?」


真後ろに全裸のハダカヲル。

いや、ボケてる場合じゃない……!

カニのように横移動し、場所を移動する。早くこの部屋をでなきゃ!!という使命感に駆られ、がちゃがちゃとドアを探していろんなところに手をぶつける。


「手、傷つけますよ。」


そう言って私の手が掴まれた。よくこの暗闇で見えたなぁ。
……そしてもしかしてだけれど、今、カヲルくん背後に立ってる?なんか、む、胸板みたいなのが背中に当たっているんですが……!カヲルくん今全裸だよね?!
ごめん、といって急いで出ようとしたけれどその掴まれた手はビクともしなかった。
不思議に思ってカヲルくんの方を向いたけれど、彼の顔は見えず。
その代わりに私の太ももに何かが這う感触が。


「え、ちょっ……なにやってるの?!」

「……。」


カヲルくんの手は形を確かめるように上下へとなぞり、後ろにいるであろう彼の息は少しだけ上がっている。まるでその動きは痴漢をされているような感覚に陥る。
湯気の暑さと、好きな人に触られているという感情で徐々に頭がクラクラとしてきた。


「触れててもいいですか?」

「……っ!」


ここで答えなきゃダメだ。答えはノーと。
彼と私は大人と子供。監視役と監視される人間。
……でもどうしてもノーともイエスとも言えなかった。


「それでいいんですよ。貴方は触っていいと言わなかった。いざ保身をする時に了承していないと言えますからね。まあ、停電中なんで、監視カメラには残りはしないですけれど。」

「カヲ……っんぁ!」

「黙っていてください。僕、今いい気分なんです。」


口に彼の指が入ってきて舌を二本の指で挟まれる。
カヲルくんのその指はまるで私の舌を弄ぶかのように押したり揉んだりと動き回っていた。
口の端から唾液が流れ顎を伝う。


「は……っ、」


後ろから少しだけ荒く、艶やかな吐息が首元をかすめる。
そんな声を聞かされて自分のお腹の下あたりが熱をもつ。カヲルくんの手は私の太ももをなぞるだけで触れて欲しいところには一切ふれなかった。
よかったと思うと同時にもどかしい気持ちになる。
彼の親指が中心にちょっとでも触ろうものならヒクンヒクンと中が痙攣を起こしてしまう。


「すいません、……、ちょっとだ、け、我慢しててください。」

「……は、ぁっ?」


後ろを振り向けないので彼が何をするか見えなかったけれど、なにかが太ももにあたる。
それと同時にカヲルくんが腰を前後させる。
見えなくてもソレが何かわかった。彼のだ。そう認識してしまうと更に顔に熱があつまる。


「布、擦れて気持ちいいです……!」


実況するな!恥ずかしくなる!と言いたいところだけれど、もう既に恥ずかしいし、カヲルくんを何故か止めたくないし、その顔が見たいと思うのはもうダメなんだろうな……。

たまに加減がわからなくなるのか彼のが自分の気持ちいいところを擦り、何度か声を出してしまう。
挿れてもいないのに、まるで彼から突き上げられているかの感覚に意識が飛びそうになる。


「あ、……っ、ん……」

「声、可愛いね。ゾクゾクするよ。」


そんな上ずった声が耳元で囁かれる。カヲルくんの少し上がった息が耳にかかり、私までゾクゾクとしてくる。
もういっそのこと身体を許してこのまま関係をもってしまおうか、甘い快感に身を任せようか、そう考えた瞬間に「イっていいですか?」と声をかけられる。
何も考えられずコクコクと頷くと彼は腰のスピードを早めた。
そのたびにお尻から陰核にかけてグイグイと押されてもどかしかった快感が明確になって私に押し寄せる。


「ん、あ、あっ、あむ……っ」

「……ぁ、くっ」


切なそうな声を上げた瞬間、口の中にあった指を引き抜き、胸のあたりと太ももを強く掴まれ、キツく抱きしめられる。
……、ああ、イったんだ……。足になにか液体のようなものがパタパタと落ちてきた。
彼がイったと同時に私も何故か絶頂にいったような感覚になり、その後気だるくなった。暗いはずなのに目の前がチカチカする。
お互いの荒い息しか聞こえない。カヲルくんの手も少し緩まってはいるけれど、依然胸にあるままだし、私の肩に頭を置いたまま動かない。

どうしよう……、なんていえばいいんだろう。
頭は冷静さを取り戻してきて、息を整えながら思考を巡らせる。
相手の出方を伺おうと肩に置いてある頭の方を振り向くとカヲルくんがバッと顔を上げた。


「っ、すみません……、あの、弁解をいうつもりはないんですが、……ちょっとだけ言っていいですか……!」

「ど、どうぞ。」

「わ、若気の至りだと思ってください……。」


思わず真顔で吹き出してしまった。
いや、真っ暗だから相手にどんな顔をしているかは伝わらないだろうけれど。
えっと、つまり、暴走しちゃったと。

……どうしてだろう、怒る気になれないのは好きだからなのだろうか。

実際、身体を合わせたわけでもないし私も、その、気持ちよくてそのまましてもいいかななんて思ってたし……。


「……あの、カヲルくん?」

「はい。」

「……今後こんな事しないっていうなら今回の件は目を瞑る。」

「すみません。」


謝られたけれど、うん……、なんか私こそごめん。気持ちよかったです。


「じゃあ、着替えてね。私出て行くから、外で待ってるから。その、ここまで停電が続いてるってことは何かあったって事だし、三課に行こうと思ってるから。」

「わかりました、僕も着替えたら司令室に行こうと思いますので。」

「うん、りょうかい。」


多分ここだろうと思うところに手を伸ばしたらドアノブのようなものが小指にあたり、掴んで回すとドアは開いた。
後ろ手にドアを閉めて自分の足を見る。

しゃがんで違和感があるところに指でなぞってみる。
……彼の精液が自分の足についていた。

そう認識した瞬間、私の思考がショートを起こしてしばらくは動けなかった。


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