やめちまえ。
「じゃあシカマル。日が落ちる前には帰ってきてね。外出時間の門限を過ぎちゃうから。」
「大丈夫だよ、ちょっと話聞いてもらうだけだから。
シカマルも…本当ごめんね。」
「別に。…で、何処行きたいんだ?」
おぉ…何かこういうか祝ってカップルみたい!
一度こういうやり取りしてみたかったけど、まさかシカマルと出来るとは……!!
神様、ありがとう!
「んー…あんま人に聞かれたくないから人がいなさそうなところ?」
って、こんな事言うと何か誤解されそうな……。
「じゃああそこだな。」
*
「おー、空がきれー。」
結局やってきたのはシカマルがお気に入りの屋上。
確かにここなら滅多な事がない限り人は来ないし……何より風が心地よい。
「だな。…せかすようで悪いが時間もねねぇから聞かせてもらえるか?」
もー…もう少し位のってよねー。
まぁ、そういうクールなところも好きだけど。
「あー…ナルトの事でね。」
「ナルト?」
「ほら…ケンカしたって言ったじゃん?ってかいつもか。
で、今回怪我したらナルトに言われちゃって…。
"弱いくせにでしゃばるんじゃねぇ"って。
バカでアホでドベのナルトに言われなくたってそんなこと分かってるの。
私が他人より優れてるのは感知能力だけ。けど、バカだから上手く指示が出せない…。
だからあえて前線に出て敵の居場所を知らせようとしてるの。
でも最近すごい思うんだ…私、忍向いてないのかな、って。」
って言うか、私がシカマルに相談したかったことってこれじゃないよね?
この手の悩みはシカマルよりどっちかって言うとカカシさんの方が良いんじゃ……。
こんな重たいことただの"ともだち"に相談されても困るよね。
「…やめるのか?」
「え?」
「だから、忍。…やめるのか?」
すごく…真剣な目。
「やめたく…はない。木の葉をこの手で守りたいって思ったから忍になったんだし……約束を果たさなくちゃいけないから。
でも…「なら、周りのやつらの言葉なんて気にするひつようねぇんじゃねーの?」
……シカマル。
「姫みたいに感知に優れてる忍は戦闘においてとても重宝される。一早く敵を感知することでこちらが有利になるからだ。
…めんどくせーけど、弱い自分が嫌なら強くなるしかない。
ナルトに言われたぐらいで諦めちまうならその程度の覚悟って事だ。
そんな程度の覚悟なら…それこそ忍やめろ。」
キツイ言葉……でもその端端から伝わる痛いくらいのシカマルの優しさ……。
そんな覚悟で火の意志を継げるわけがない、って言ってる。
「…そんな程度の覚悟なら、はじめから忍なんて目指さないわよ!
でもっ…弱いのは事実だしどんなにつらい修行をしても実践じゃ役に立ってないし……
なら、身体張ってでも強くなるために前線出るしかないじゃんっ。敵の居場所教えるしかないじゃん…っ!
そうでなきゃ……私のいる意味がないっ。」
「…強いだけが忍なのか?姫は確かにバカだ。頭の回転もよくないし要領も悪い。
けど、そんな姫だからこそ出来ることもきっとあるはずだろ?」
私にしか……出来ないこと?
「それって一体…「さぁ?そこは姫自信が自分で答えを見つけなきゃダメだろ。」
自分で……答えを、見つける?
「それを見つけられれば姫は変われるぜ。
…光がないわけじゃない、活路があるなら死ぬ気で探せ。…俺に言えるのはそれだけだ。」
きっとシカマルには私がどうすれば活きるかが分かっている。
分かっているからこそあえて何も教えてくれないんだ。
…そういえば今思うと、シカマルと一緒の任務のときは怪我したことないな…。
「……つまり、自分で答えを見つけられないようなら私はそれまで…ってことか。
ありがとね、シカマル!何か頭スッキリしたっ。
…おかげで答えが見つけられそうな気がするよ!」
「そりゃ良かったな。…ま、そろそろ時間だし、戻るか。」
もうそんなに時間がたってたんだ……本当、あっという間だったなー。
でも、本当に相談したいことも相談できたし……
良い答えももらえたからいっか!
「ぁ…告白。」
「あ?」
「…ううんっ、何でもない!」
告白なんて、今はそんなこと言ってる場合じゃない。
折角シカマルが私にヒントをくれたんだ。
告白は、活路を自分んで見出せたとき。
そのときまで…
この気持ちは取っておこう…。
*
シカマルside
ついてみれば姫は準備万端で心なしか楽しそうだ。
こっちはこの後任務で気が重いのに…。
まぁ、相談ごとってのが俺の聞きたかったナルトとのケンカの事だったから良いとして……
いや、俺にそんなこと相談されてもしらねーよ。
…まぁ、でもかなり本気で悩んでるみたいだから俺も一応それなりに本気で答えるが……。
まさかナルトが姫にそんなことを言ったなんてな。
裏の姿と一瞬混ざってねぇか、ナルトの奴。
そこまでして姫が前線に出て戦われるのが嫌なのか……
それともただ単にうざいからなのか…。
ったくめんどくせー。
姫に至っては自分がバカだからって理由だけで諦めてやがる。
お前はどうして自分の可能性に気付かないんだ。
こいつを駒として使えと言われたら俺は上手く使いこなす自信がある。
…言い方は悪いが姫は理解能力は悪いが指示を的確に分かりやすく出せればある意味最強だ。
まっ、こいつの本当にすごいのはそんなものじゃないけどな。
でもそれは最終的に姫自身が気付かなきゃならないことだ。
俺がこれ以上口出ししたら姫はまた壁にぶつかったときまた俺を頼ってしまう。
でかくて大きな壁にぶつかったとき、一人で乗り越えなきゃならないときもある。
「その扉を開かせたのがナルトとのケンカってわけか?」
とりあえず、あとは姫しだい、だな。
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