片思い  






チュンチュン…


「あー、目覚めの悪い朝だなー。」

いや、ただ単にふて寝し過ぎただけな気がするけど…。
もう昼になる頃かー……暇だ。


ガラッ


「お、やっと起きたんだな。」

「シ…シカマル!?…つぅ!?」

あー…シカマルが来てくれた嬉しさにテンションあげすぎて足痛めてんの忘れてたー!

「おい大丈夫か?足思いっきり刺されて暫くは絶対安静なんだろ?」


…そんな話は聞いてないけど、言われなくても動けないから大丈夫。

それにしてもシカマルはやっぱり紳士だなー。ナルトならこうはいかないよ、ガキだから。
大人な対応が出来るシカマルはこういうとき滅茶苦茶かっこいいよなぁー。

「兵器へいき!ってか、何でシカマルが見舞いに?」

「来ちゃわりーか?昨日ナルトに会ったときに姫が入院したって聞いたんだよ。
差し入れ持ってきてやったのにそんな風に言うならやらねーぞ。
姫が前に好きって騒いでたフルーツ盛り。」



ズキュウウウウン!!!!



はい、大好きです!

実は私はシカマルにずっと片想いをしている。
この気持ちに気付いたのが10歳のときだからかれこれ6年も片想いをしている。

…我ながら6年もよく片想いしているなぁと思う。
チキンだから告白なんて絶対出来ないけどね!!


「ありがとー。よく私の好きなもの覚えててくれたね。
ってか、シカマルって本当紳士だよね!ナルトとは大違い!」

「…ナルトとケンカしたんだろ?あいつ、珍しく落ち込んでたぜ。」

昨日会ったんだからそりゃ必然的に聞くわなー。
……落ち込んでたとか言われてもまだ私の中でナルトを許す気にはなれない。

子供だ、なんて言われたら何も言い返せないけど…どうしても許せないのだ。


「いや……そのぉ。」

「お前ら飽きもせず毎回ケンカばっかだから気にしねーけど。」


やっぱりシカマルは紳士だ。あえてそんな風に言ってくれる。

でも訂正するならこっちだって好きで毎回ケンカしてるわけじゃない。
ナルトが突っかかってくるから悪いのだ。

…なんてことを好きな人の前で堂々と言えるわけもない。
相手にしなきゃ言いだけなのに……子供のままじゃきっとシカマルに振り向いてもらえない。

「まぁ、私とナルトは火と油の関係だからさ!お互い近づきすぎるとダメなんだよ。」

「そうか?俺はどっちかって言うと似たもの同士なだけだと思うぞ。」

「ないない!それは断じてない!」

「まっ、めんどくせーからどっちでもいいけどよ。」

…こういうところもシカマルらしい。
任務の時にはどんなことも万度くさがってやるくせに……。

「あ…あのさ、シカマルに相談したいことがあるんだけど今日暇?」


そうだ、考えてみたらシカマルは頭が切れるんだ。
だったら、今の私の悩み事も相談したら解決の糸口が見えるかもしれない…!

「この後やらなきゃ何ねーことが歩けどその後なら暇だぜ。
つーか、相談なら今ここで…「病院だとちょっと話づらいって言うか…。」

そもそも、まだ相談したいことも上手くまとまってないんだから!!


「ふーん?でも病院じゃ話せないとなると外だろ?
足動かせねーのに…「それはサクラに掛け合って車椅子出してもらうから。」


…あ、班が一緒なわけでも、まして彼女でもない女の子の車椅子を押して欲しいなんて図々しいかな…?


「姫がそんなに言うなら分かったよ。
なるべく早めに終わらせるけど俺も夜はちょっと用事があるから2時間くらいしか相談乗れないけどいいか?」

「そんだけもらえれば十分だよ!じゃあ待ってるね、ありがとうっ!」

「じゃ、またな。」


やばい……今日は幸せすぎる…!!

って言うか私の事、シカマルはどう思ってるんだろ…。
ちょっとは脈ありとか思っていいのかな?!

あー…でもただ単に優しいだけってことも……。

とにかく!!
今日これから頑張って脈あり名雰囲気だったら勢いのまま告白しちゃおう!!









*

シカマルside

昨日の夕方、俺はナルトと暗部の任務が入っていたから火影室に向かったらすごい不機嫌なナルト……もとい、狐にあった。


「今日はえらく機嫌悪いな。何かあったのか?」

「…影鹿。いや、姫とケンカしただけだ。」

またケンカか…、表の姿だと短気なナルトだがそれにしても姫とのケンカの回数は尋常じゃない。
正直、ナルトが姫相手によくあそこまでケンカできると感心するくらいだ。

「またか。…今回はどっちが悪いんだ?」

大概くだらないけんかだからどっちも悪いと言うものでもないが。

「…いや、今回は俺が悪いのかもな。
影鹿、姫はこの間の任務で足を負傷して暫く任務に就けない。
俺は暫くあいつと顔合わせられないから明日様子を見て来い。」



それが俺が姫を見舞いに来た本当の理由。
もちろん、あいつの状態がどんななのかを知り語ったって言うのもあるが……


一番はナルトが俺に頼み事をすること自体が珍しいからだ。
いくら仲間だからといっても暗部の任務前にナルトがそんなことを言うことは今まで一度もなかった。


おそらく、今回のケンカとやらに関係しているのだろう。

それを探るつもりでもあったが……いかんせん、姫もそのことには触れて欲しくないらしい。


そろいもそろってめんどくせぇ。


だが幸運なことに姫の方から相談したいことがあるといわれたからそれに乗ることにした。

本当はめんどくさいし、女の相談にはロクなものがないから引き受けたくないが
もしかしたらナルトのことかもしれないから一応引き受けておく。



「にしても…何か変だな、姫の奴。」



その理由を知るのに、そうは時間がかからないことを



このときの俺はまだ知らなかった。







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