それぞれの…。
「姫!?どうして勝手に病室抜け出したの!?いい加減にしないと…「ごめんねサクラ。でも、ナルトとシカマルが一緒だから大丈夫だよ。」
私はほんの30分お散歩のつもり不がどうやらたっぷり4時間は経っていたらしく……
病室で待っていたのは鬼以上に怖い顔をしたサクラだった。
……サクラを怒らせるのは本当にこれで最後にしておこう。
「そういう問題じゃ……って、ナルトとシカマルの事思い出したの!?」
「えっ!?…あ、うん。修行した場所とか町並みとか見てたらふいに……。皆にも心配かけちゃってごめんね。」
自分が記憶を失ってる間の記憶もばっちりあるだけに申し訳なさでいっぱいだ。
……って言うか私2人に随分ひどいこといいまくってたような……。
「ナルト、シカマル。」
「「あ?」」
「改めて忘れちゃっててごめんなさい。…それと、助けてくれて本当にありがとう。」
「……何の話?」
「俺は何もしてねーよ。感謝するならナルトに…「シカマルのあの言葉。嬉しかったよ。」
「お前、自分に告白してきてくれた奴が自分の事忘れちまったらどう思う?」
それは、私の事で。
「貴女はその方の告白を受けたんですか?」
「……断った。でも、それから数日しないでまた会ったら俺の存在がまるでなかったかのように忘れてたんだ。」
傷ついたのは私だけじゃなかったんだ……そう気付いたのは記憶が戻ってからで……。
「あの秘密、忘れてないからね。」
「…あぁ。」
「何よー、あんたたち何時の間にそんな良い感じになったのー?」
「もぅ!シカマルとそんなんじゃないから!…ただ、前よりは仲良くなった気がするけどね。」
「……。」
「…ナルト?どうかした?」
「……なんでもねぇ、…ってばよ。」
「…あ、そうだ私サクラにちょっと話があるんだよね。」
「何よ話って。」
「ちょっとね…。だから悪いんだけどナルトとシカマルは外に出てもらってていいかな?」
「ん?あぁ分かった。行くぞナルト。」
「……あぁ。」
パタン
まぁ丁度いいか。
「シカマル。」
「あ?」
俺も……
「お前に話がある。」
シカマルに用事があったからな。
*
「あのね「どうせシカマルの事でしょ。」
…うぅ、さっきのでバレたとは思ったけど…やっぱサクラは勘が良いなぁ。
「あはっ、振られちゃったんだよね。私の気持ちにはこたえられない、って。」
「そう…。」
「あ、でもさっきの見て分かるとおり全然気にしてないから!ダメ元だったしね。
それに、ショックだけどショックじゃないって言うか……今はそれよりも気になる人ができたと言うか…。」
「それってナルトの事?」
……サクラってエスパーなのかな?それともただ単に私がわかりやすいだけなのか……?
「どうして…。」
「最近のあんたたちを見てたら何となく、ね。ナルトはアカデミーから知ってて班も一緒だったから誰よりも知ってるつもりだったけど……
どうやら、姫しからないナルトがいるみたいね。」
あぁ、どうやら先ほどの問いは前者のようだ。サクラは気付いている。
ナルトがどこか違うということに。
でも、それを気付いていながら私に問い詰めたり本人に聞いたりしないということは……ナルトの口から話すのを待っているのだろう。
やっぱり、サクラはすごい。
「ほんのちょっと前までは何とも思ってなかったんだよ?」
ボソッと呟いたその言葉の後に感じる……暖かな感触。
「……それが、"恋"なのよ。」
*
「話って何だ?姫のことか?」
「…告られたんだろ、あいつに。」
「……あぁ。」
…ムカつく、だなんてガキみたいなこと言いたくはないが……やっぱりムカつく。
あいつ…姫がシカマルを好きなことには気付いていた。けど、その時はさして気にも留めていなかった。
いつからだろう……姫に俺を好きになってほしいと思うようになったのは。
「ナルト。」
「……何だ。」
「姫は本当は俺じゃなくてお前を見てた。俺に対する気持ちが嘘だとは思わねぇが、あいつは…「はっ、今更そんな言葉いらねーよ。」
ずっと俺を見てた?姫が?
……ありえねぇだろ、そんなわけがねぇ。
「気付いてねぇのは当人たちだけ、か。」
「あ?」
「行けよ、姫んところ。言って伝えて来いよ。」
「!」
「本当は俺に話すことなんてないんだろ。」
あぁ、俺もやっぱりまだまだだ。
こういうところだけは、シカマルにかなわない。
「……さんきゅ。」
*
「……恋…。」
5年もシカマルに片想いしておきながらいざサクラから"それが恋よ"なんて言われてもピンとこない。
「姫のシカマルに対する気持ちが恋じゃなかったとは思わないわよ。ただ……それはきっと"憧れ"だったんじゃないの?」
「……憧れ。」
「ねぇ、姫。」
あ、……何だろこの感じ。
この気配………私、知ってる。
「…何?」
ここ最近、ずっと私の傍にある気配。
私の―――……
「今、誰の事考えてる?」
大好きな 気配。
「私……今――……。」
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