真実。  


"あいつの両親はあいつが3歳のときに死んだ。…とは言っても0歳のときに九尾事件に巻き込まれて意識不明のままだったんだけどな。"


「!?」

姫の両親が九尾事件に巻き込まれていた!?
綱手のやつ、そんなこと一言も……っ。

"俺はあいつの家系にて先祖代々受け継がれていく守り神。
あの馬鹿はずっと口寄せだと思っていたみたいだがな。その前の主はあいつの母親……サキだった。

サキは優秀な忍だったが九尾事件の際に旦那と共に負傷した。
そしてその際、自分は長くないと悟ったのだろう……俺に生まれたばかりの赤ん坊を守るよう命じた。
……それがこいつだ。"

カルーが淡々と話していく中、俺は自分の中である矛盾が生まれていた。


「…姫については俺も人から様々な話しを聞いているが全く違うな。
姫は3つの性質変化を生まれながらにもっていて、両親はあいつが幼い頃病死したって…。」

"性質変化を3つ…か。あながち間違ってはいないな。むしろよくそこまでたどり着いた。
だが両親の事に関しては世間的にばれたらまずいから事実を隠蔽したんだ。"


「隠蔽?」

"あいつの父親…つまりサキの旦那だな。そいつはうずまき一族の末裔だ。"


「!!?」

"その中でもかなり偉い身分の人間でな。サキ自体も出身は木の葉だが身分は高かったし、
何より忍になることを身内全員から反対されていたんだ。
それを押し切って忍になって挙句勝手に結婚して子供までいます、なんて…とてもじゃないが公に出来なかったんだ。"

「何だよそれ……そんなのお前らの都合だろ!?
事実の隠蔽なんて…「やめろシカマル。隠蔽なんて俺らだってよくやるだろ。」

「……っ。」


"そしてもう一つ。確かにあいつは性質変化を3つもっているがそれには強い封印がかかっている。
だから普段は水遁以外はからっきしだ。"


「…なるほど、姫が俺に言ってた自分にしか出来ないことってその3つを封印を解いて使えるようにするってことだったのか?」

"それは少し違うな。あいつは俺を使って周囲に適の居場所をすばやく伝えようとした。
俺は印を結ばなくても出せる守り神……そのことにあいつはまだ気付いていないがな。"

「……でも"だがひとまずこの話はおいておく。先に封印について話をしておくぞ。"

有無を言わせぬその物言い……伊達に長いこと守り神として生きていないというのが分かる。


"まず封印には3段階ある。そしてそのそれぞれにリスクが存在するんだ。"

「リスク?」

"まず封印の第一段階は俺にしか解けないようになっている。そしてそのリスクは……限定的な記憶喪失。"


「「!!!」」


これで姫が記憶をなくした根本は分かった。しかし……


「限定的といったが、どうして俺たち2人だったんだ?」

"忘れる対象はその人物…すなわちあのバカ女の頭に最後に思い浮かんだ人物。
ま、ご丁寧にあのジジィは俺の存在も忘れるように組み込んだみたいだがな。
…どうしてお前たちが最後に思い浮かんだのか、なんていうのは記憶が戻ってから本人に聞くことだな。"


「戻るのか……記憶は。」

"当たり前だろ。…とりあえず封印の第一段階でのリスクは記憶喪失。
だがそれによってあいつのチャクラ量は増え、コントロール率も大幅に上がる。それに3つの性質変化が使いこなせるようになるな。
封印がなければ元の血筋は一級品なんだ、強いぜ。"


つまり、普段弱い弱いとばかり思っていたが実際はそんなもんじゃないってことか。


「…その先はどうやって封印を説いていくんだ。」

"第二段階が解除できたらそのときに失った記憶が戻り、同時に俺との口寄せ契約が切れる。
リスクは一時的に忍術が使えなくなる…が、1週間もすれば戻るらしい。"

「…口寄せ契約が切れる?どういうことだ?」

"サキからの伝言でな。封印の第二段階までは何があっても口寄せの形をとるように言われてんだ。
幼いあいつが契約もなしに俺をコントロールできるわけがないと、サキは分かっていたんだろうな。"


……なるほど、封印によって普段の何分の一しか力が出せなければ先祖代々の守り神なんて使いこなせるわけがないってことか。


"第三段階は……うずまき一族の証として髪が赤くなり、回復力も格段に上がるが……そのリスクは死とされている。"


「「!?」」

"だが、第三段階に限ってのみ、そのリスクが起きるやつと起きないやつがいる。そしてここが一番重要なところだ。
…第二第三段階の封印を解けるのは同じうずまき一族の血を引き、チャクラ量が常人のそれよりも上な者だけだ。"

「…うずまき一族の人間…。」

俺は木の葉の忍として生きているけれど、この身体には確かにうずまき一族である母ちゃんの血が流れている。


俺が……唯一姫の封印を解いてやれる人間……。


"…俺がお前たちに真実を話し、なおかつ必要といった理由がこれで分かっただろ。"

「……よ。」

"あ?"

「…やってやるよ、俺が姫の封印を解く。」






だから、頼む。



俺を思い出してくれ。






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