思い出の…。  


「ねぇサクラ、私何時までここに入院してなきゃいけないの?」

「綱手様方の命令。病院戻りの回数が多いからよ。最低でも後2日は入院してもらうからね!」

こんな暇なところに後2日もいなきゃいけないとか……苦痛以外の何者でもない。

「鬼ー!」

「何とでも!とにかく、大人しくしててよね?」

それだけ言うとさっさと病室を後にするサクラ。


……こうなったら抜け出してやろうか……なんて思っていると。


コンコン…

「…誰ですか?」

「……。」

返事がない。もしかしてサクラかな?私の考えてることばれたのか?

「……どうぞー。」


カラ…


「…っ、あなた!」

「…こんなちは、ってばよ。」

確かこの人は私が意識を取り戻した日に病院にいた……金髪君。


ス…、と俺が姫に近付くたびに無意識に怯えているのが分かる。

「あー…座ってもいいってば?」

「ぇ…あ、うん。」

…って、何okしちゃってるの自分んんんん!!こんな得体の知れないやつと一緒にいたら何が起きるか……っ!
でも、なんでだろ。この人が隣にいるの……嫌じゃない。

「まずは自己紹介からだよな。俺はうずまきナルト。16歳、サクラちゃんの知り合いだ。」

サクラの知り合い?…あぁ、そういうことか。

「私は姫。ナルト君か、よろしくね。この間は心配してくれてありがとうね。
今日はどうして私のところへ?」

「あー…呼び捨てでいい。そっちのほうが聞きなれてるしな。
見舞いに来たのは姫の事が気になったからだってば。…迷惑だったか?」

どうにも口調が統一できない。いつもの姫じゃないからどう接すればいいのか分からない。

「そんなことないよ。むしろ嬉しい、です。」

「……本当に忘れちまったんだな。」

「ぇ?」

ふいにナルトから発せられた意味不明な言葉に思わず顔を上げてみればそこにあったのは悲しそうなナルトの顔。


「ナル…"カラ…ン"……?」

「わりっ、落としちまった。」

そういってナルトが拾い上げたのは随分と古い、ボロボロの手裏剣だった。


「その手裏剣、随分と古いね。大切なものか何か?」
「…まぁ、な。今は使ってねぇんだけど俺にとってこれは思い出の品なんだ。」


思い出の手裏剣…?

「俺ってばアカデミーの頃はクラスの奴からすげー嫌われててさ。これは手裏剣授業のとき、全部隠されて授業をサボってた俺に……。」


あれ?私、この話知ってるって言うか……これ、さっきの――……!!


「クラスのある女の子がくれたんだってば。"この授業嫌いだからあげる"なんていいわけまでして。」


ごめん、それ言い訳じゃなくてマジです。でも、じゃあー―…


「その日以来、この手裏剣は俺の宝物なんだ。」


本当はこんな話、姫にするつもりはなかった。ただ、姫に見てもらいたくてわざと落として……。

姫は何にも覚えてないって分かってるのに。


「その子は…今、どうしてるの?」

だから、この質問をされたときは一瞬驚いた。何て答えればいいんだろう。


「立派な忍になって元気にしてるってば。…ただ、聞いた話じゃ大事なものを失くしたって……。」


大事な……もの?


「…っ、俺幼時あるからもう行くってば。」

「あっ…、」



"ナルト、また明日。"



「っ!!?」

「……?どうかしたってば?」

「あ、ううん。また、ね。」

「!!…また来てもいいのか?」

「…ナルトく、…ナルトの負担にならないのなら。」


「…またくる。」


パタン



私今、何であんなこと言っちゃったんだろ。それに、なると昔貰った手裏剣の話……あれってやっぱり……。


「じゃあ私が手裏剣を上げた相手ってナルトなの?…大事なものを失くしたって……一体…。」


相変わらず頭がずきずきと痛む。けど今はそれ以上に心も……痛い。



私は一体……




「何を失くしたって言うの……!?」






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