懐かしい夢。
「それじゃあ暫くは検査があるから入院ね。あと今日は色々聞いてごめん。」
「ううん、皆の事を確認する検査なんでしょ?楽な検査だからいいよ。」
「そう、じゃあまた明日。…お休みなさい。」
バタン…
「あれ?今…。」
私、今の言葉…どこかで――……
母さんと父さんが死ぬ直前よりもずっと後……
つい最近聞いたような――…。
「…っ!?ま、頭も痛いから今日は寝よ。」
そして私は夢を見た。
今より少し前の……私がまだアカデミー生だったころの夢。
「じゃあ今日は手裏剣を使って修行をしてもらう。各自、自分の手裏剣は持っているな?」
「「「はーーい。」」」
ったく、めんどくさいなー手裏剣修行。
ノーコンな私には苦痛以外の何者でもないし……早く終わんないかなぁー。
ヒソ…
「ん?」
「おい、上手くいったか?」
「あぁ、…殺気あいつの手裏剣は全部隠しておいたから。」
「これであいつはまた先生にしかられてダメのレッテル貼られるな!」
何、コソコソしてるんだろ。…あいつの手裏剣全部隠したとか言ってたけど……
要は程度の低いいじめってことか。
「くだらな。」
「ほらそこ!ちゃんと参加しないか!」
「「は…はいっ!」」
「姫もだぞ。」
「…うん。」
…あいつって一体誰の事だろ。手裏剣全部隠されたって事は今頃なくて困ってるよね。
「しょうがない……サクラ、いの。」
「何?」
「ちょっとトイレ言ってくるから先生に何か言われたらよろしく。」
アカデミーのクラスのこの気配は皆覚えてる。
一人だけ……遠くにいる子がいるからその子かな?
ったく、手裏剣盗まれたなら先生に言えばいいのに世話が焼けるなー。
*
ザッ…
「だ、誰だってば!?」
「あんた、手裏剣隠されたんだって?」
あれ?どうしてこのこの顔だけもやがかかってるんだ?
他の子達は皆顔まで鮮明に覚えているのに……
「おっ、お前に関係ねーってば!第一俺は…っ「はい。」
「……ぇ。」
「あげる、それ。」
相変わらず顔にもやがかかっていて思い出せない。
それに、名前も。何も思い出せない。
「い、いらねーよ!」
「私この授業嫌いだから受けたくないの。
でも君は違うでしょ?だからこんなところで一人でいじけてるんでしょ?
それに、何か会ったときに手裏剣が一個もない忍者とかダサいんだから貰っときなさいって。」
あぁそうだ、その言葉でこの子は私の手から喜んで知り県を奪って……それで――…。
「いよっしゃーー!!当たったってばよ!」
「そごいじゃないか!…がここまで出来るとはな!」
どうして名前が……顔が思い出せないの?
「へへっ。」
「何であいつ手裏剣持ってるんだよっ。」
「見つけられるわけがないはずなのに……。」
「あ、おーい、そこのお前!」
「……へ?」
どうやら少年が呼んだのは私らしい。
「この手裏剣ありがとな!俺ってば一生大事に持っておくってばよ!
あ、そうだっ。名前!名前教えてくれってば!」
「え、ぁ…名前?私の名前は――……。」
「……はっ!!…はぁっ、…はぁっ…。」
今のは……夢?
「アカデミーのころとか…随分懐かしい夢を見たなー。」
でもどうしてあの子の顔と名前が思い出せないんだろう。
「んー…手裏剣あげたことは確かに覚えてるのになー。って言うかそんな子ならますます忘れないはずだし……。
あ、そういえばチョウジの横にいた子も顔ぼやけてたな…。
まだ10年もたってないのに忘れちゃうとか……私最悪じゃーん。」
……でも、何でだろ。
「私、何か大切なもの忘れてる気がするんだよなぁー。」
それはまるで
心にぽっかり穴が開いた
そんな感覚。
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