仲直り。  




「やっと捕まえた。」

「やっとって…別にそこまで長い距離じゃないじゃん!」


どうしよう…怖くてナルトの顔が見れない…。
距離をとろうにも穴の中は狭いし、って言うか動けないし…。


「俺がどんだけ走ったと思ってるわけ?」

「し…知らないよ、そんなこと!第一…「ごめん。」

「!」

「…今のは病院で姫を傷つけた分。
あと、暗部だってばらしたときに傷つけたことも…ごめん。」


……ナルト。


「俺は口が上手いわけじゃないから優しく諭すように話すとかは出来ない。
それが結果的に2度も姫を傷つけて……。」

「……バカじゃないの、ナルト。」

「は?」


今、こいつ俺に向かってバカって言ったか!?
人が下手に出て謝ってるからって……!!


「私のほうがごめんなさい、よ。」

「!」


さっきイラーから聞いた話……

それは私の両親の命を奪った九尾事件のこと。
里を襲った九尾……その九尾がなるとの中に封印されていると言う事実。

里はこのことを秘密にし、ナルトの同級生世代の子達は皆ナルトの仲に九尾が眠っていることを知らない。
知っている大人たちが子供たちに"あの子に"近づいてはいけない"といっているそうだ。


この話を聞いたときはただただショックだった。
どうすればいいのか分からなくなった。

とにかく、


ナルトに会いたくなかった。



「私、イラーからナルトのこと聞いた。」

「……。」

「ナルトの中に九尾が眠っていて、それが原因で里の大人たちに忌み嫌われていることも…。」


イラーの話を聞いてナルトを許せるか、と聞かれたら分からない。

それに、私自身の秘密についても全く知らないことばかりで混乱している状況なのだ。


でも………


「だからと言って私がナルトを嫌いになる理由にはならない。」

「姫…。」


本来ならナルトに私の両親は九尾事件で死んだことを伝えなければならないのに……。

そんなことを利けば自分の中にいる九尾に対してナルトはどう思うのだろうか……。


もしそれで私と距離を置かれたら?


そう思うとどうしてもそれを言い出せず、結局

ナルトの中に九尾がいることを知ったけど私はナルトを嫌いにならない、

なんて言うごまかししか思い浮かばなかった。


「私さ、自分が弱いこと自覚してるのにそれを棚に上げて怪我をいつも人のせいにして…
結局逃げてた。でもナルトは強くて…バカだけど最後には敵を必ず倒しちゃって…、羨ましかったんだ、私。」


ナルトは大事な仲間だ。
九尾は確かに憎い。でもだからと言ってナルトをうらむのは筋違いもいいところだ。
だってナルトだって結局は九尾事件の被害者なのだから。

私の両親の話でこれ以上ナルトを苦しめる真似はしたくない。


「それでこの前シカマルに言われたの。私には私にしか出来ないことがきっとあるって。
ちゃんとその答えを見つけられた。

だからもうナルトたちの足手まといにはならないから。」


「……本当、バカだろ。」

「え?」

「本物の足手まといなら俺は姫を助けたりしない。
姫が迷わず先人きって敵の居場所を教えてくれるから俺らも動きやすいんだ。
それにおとりになってる間に作戦だって立てられる…。
シカマルの言うことももちろんだが、今までの姫が足手まといなんてことはないから……
そんな風に言うな。」

そういったナルトの顔はなぜか悲しそうで……

突然私の身体を引き寄せると同時に自分のほうへ抱き寄せた。
元々狭いから密着していたとはいえこうも発揮抱きしめられると恥ずかしい。



「ど…どうしたの!?いつものナルトじゃないみたい…っ。
……なる「いつもの俺って、"ってばよ"って騒いでる俺か?」


…うーん、そういわれてみればどっちなんだろ。
最近じゃ暗部姿のナルトとと接することが多いからなー。

それに、最近本当の姿知ったばかりだからそんなこと言われても分かるわけがない。





「ナルトとシカマルは確かに暗部だ。だが同時に姫、お前たちの仲間でもある。
あいつらが暗部をやっているのには理由がある。本性を隠すのにも、な。
だからあいつらが自分から本当のことを明かしたお前にはあいつらを信じてもらいたいんだ。
表の姿も裏の姿も……その全部があいつらだ。」





ふいにこの前綱手様に言われたことを思い出した。

そうだ、私の取り柄はこのバカみたいに最後まで人を信じる心だ。
疑ったり本物偽者なんて区別したり……


そんなの私らしくない。


「どっちもナルトでしょ?どっちかであり続ける必要なんてないんだし、いいじゃん!
ただ、暗くしょげてるナルトは何か表でも裏でもらしくないって思っただけ。」


「……!
生意気だと、姫のくせに。」


私はナルトに抱えられてまま穴から脱出し、そしてそのまま病院へと連れて行かれた。




「…ま、これで無事仲直りって事?」

「…さぁな。」


かすかにナルトが笑ったように見えたのは




気のせいということにしておこう。





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