捕まえた。
「…ったく、助けに来たのに逃げるか普通。本当ありえねー女。」
ま、暗殺対象を影鹿に任せて姫を追いかけてる俺もどうかしてる、か。
「相変わらず逃げ足は速いことで…。」
*
やばいやばいやばい!!!
どんどんナルトが近づいてるよーー!
って言うか逃げ切れるわけないよね、そもそもの話。
元々ナルトより足が遅いってのに今のナルトは暗部姿だ。
つまりいつもよりも足がお早いわけでして……。
「でも、今捕まりでもしたら……。」
イラーが教えてくれた真実とやら。
それが嘘かどうかなんて今は確かめる手立てがないけれど
もし本当なら、私は――…。
「うぁっ!?」
ガクッ
何でこんなときに完治したはずの足が痛み出すのーー!?
無理すればまだ傷口開くかも、なんて言われはしたけど……
私そんなに無理はしてないはず…?
「…痛い。」
地味にお腹も減ってきた。
ライラのせいでスーパーによって買い物しようと思ってた計画を潰されたし……
半日くらい食べてないんじゃないのかな?
あー…お腹へって動く気失せてきちゃったよー。
「って言うか、次ナルトと会ったら仲直りしようって決めてたのに…。
イラーからあんな話聞いちゃったとはいえ表の姿では会いたくないとか言ってられないし……。」
何か私っていつも逃げてばっかりな気がする。
サク…
「見つけた。」
*
「…どういうつもりだ、どうして殺さない。」
「殺す前に色々聞かなきゃならねー事思い出したからな。
姫を誘拐した目的とお前らが木の葉を抜け、そして再び戻ってきた理由を。」
「くくく……木の葉の忍は本当にアホばかりだな。
そんなに知りたいのなら自分の力で姫とやらについて調べればいいだろう。」
忍法、影縫いの術
「……これはっ…!!ライラ!!」
ようやく朝日が昇ってきたおかげで陰真似が自由に使える。
「お前が何も話さないのなら息子を殺す。
それでも何も話さないのならもういい。姫を調べれば分かるならいくらでも調べてやるよ。」
「…里を抜けたその日より、私たちは命を捨てたも同然。
今ここで姫の秘密をぶちまけるくらいなら私は貴様もろともに死ぬ!!!……爆っ!」
そういうや否やイラーは自爆した。と同時にライラの方からも爆音が。
おそらく2人共、常に起爆札を身に着けていていざと言うときに情報を漏らさないようにしていたのだろう。
…ここにいたらさっき埋め込んだとか言うか爆札にもいんかしかねないな。
姫にはナルトがついてるし……
俺は先に戻って今の事を5代目に伝えて――……
それから少し、姫について調べるか。
*
ドォオオ…ン
けたたましい爆音が後方から聞こえる。おそらく、シカマルのところ…。
だが、今はそんなことに構っていられる余裕はない。
「…っ!」
この声は間違いなくナルトの声だ。
すぐ後ろにいるのは分かっているのに怖くて振り向けない。
「姫、」
最後の悪あがきで私は痛む足を引きずって前へ進む。
と、次の瞬間
ズザァアアァァアァ!!!
「!!?」
どうしてこんな所に落とし穴なんてあるのよぉおおお!!!
重力に逆らわず真っ逆さまに落ちていく。
しかしいつまで経っても痛みはこない。
「っ……って、」
そこでふいに私は誰かに抱きしめられていることに気付いた。
だけどそんなことする相手は一人しかいない。
「いつまで呆けてるんだよ、ばか。」
「っ…ナルト。」
どうやら私が落ちる瞬間に助けてくれたらしい。
焦っていたせいか、面がはずれて顔がばっちり見えている。
「相変わらずバカでアホでドジで逃げ足だけが速くて……
でも、やっと捕まえた。」
あぁ、もう逃げられない。
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