助ける。  




いつも通り過密な暗部の任務を終えた俺は夜中の3時すぎにいつぶりか分からない自宅へ戻った。
…カギはもちろん閉めてあるので心なしかホコリくさい。

「…姫のやつ、平気かな。」

3日前、姫に俺の正体をバラしたあの日以来姫に会っていない。
あっちが入院してたし…様子を見に行っても面会謝絶になっていた。

…そもそも。

「表の姿でもケンカしたままだったな。」

どうして姫に本当のことを話してしまったのかいまだに自分でもわからない。
だが結果として俺は2度もあいつを傷つけた。

別にただの仲間であってそれ以上でもないのに……

なぜか姫のあの悲しそうな顔が頭から離れない。


「…つーか明日表の任務じゃん。退院してたら一緒になるよな。
…とりあえず、まずは謝ってそれから――…誰だっ!?」

「俺だよ。」

「シカマル。」

「5代目様が至急来て欲しいとこのことだ。」

「綱手が…?」


このとき俺は なぜか嫌な予感がした。









*

「姫が攫われた。」

「「!」」

「犯人は今現在ナルトが暗部の任務で追っている2人組。」

「…!イラーとライラかっ。」

「そうだ。」

イラーとライラは元木の葉の忍だったが、3年前突然里を抜けた。
ところがここ最近奴らが里に戻ってきたとの情報が入っていて、見つかり次第、暗殺するよう依頼を受けていた。

「どうして姫をっ。」

「…理由は分からない。だが、姫の前にも2,3人、あいつと似たような顔立ちの忍が行方不明になっている。
このことから見ても敵の狙いは姫だと見ていいだろう。」

「けど5代目様、どうして行方不明って発覚したんですか?」

それもそうだ。もしかしたらただ単に修行とかで外に出ているだけかもしれない。

「…実は夕方、キバが姫がスパーの前で独り言を言っていたそうでな。
その後突然どこかへ行ってしまったそうなんだ。
不審に思って後を付けていったら姫が森の空き家に入り、念のために私の元へ報告しに来たのだ。」

なるほどな、そこで感じた匂いを俺たちが追ってる奴らの匂いと照合させた結果、イラーとライラの匂いにたどり着いたわけか。

「キバには適当にごまかしておいたから安心しろ。」

「…だがどうするナルト。あの2人はお前の追っている奴らだが、姫がいるなら「関係ない。」

あいつ一人のために任務を捨てるわけには行かないからな。


「そういうと分かっていたよ。ナルト、シカマル…じゃなかったな。
狐、影鹿、今から明日の夜までに姫を奪還し、イラーとライラを暗殺しろ。」


「「御意。」」


フ…


「ったく、問題が起きたと思えばまた姫か。そういうところは父親そっくりに育ったんだな。
そしてあの負けん気の強さは母親譲り…。あんな娘を相手に出来るのはこの木の葉でも3人はいないだろうな。
……早く帰って来い。」


そういった綱手の手には姫のプロフィールが握られていた…。


「狐と影鹿には姫のことは話さない方が良さそうだな…。」

「綱手様、それでいいんですか?シカマルはともかく、ナルト君には…。」

「シズネ、いたのか。
…個人の事を勝手に話すのはよくないだろう。それに…姫の過去は色々複雑だ。」

「確かに…ナルトくんが聞いたらますます姫ちゃんとの距離があいちゃいますもんね。」

「あのナルトに自ら正体をバラさせたほどの女だ。まさかとは思っていたが……類は友を呼ぶものだ。
だが姫自身もこの事実は知らないだろう。
本人に話してその上で後は姫自身が決めれば良いだけの事だ。」









*

「…なぁ狐。」

「何だ。」

…影鹿が任務の移動中に自分から声を掛けてくるなんて珍しいな…。

「一応お前には言っとく。俺姫に告られた。」

「……。」

「…で、断った。その矢先のこれだ。もしかしたら…。」

「無駄口たたく暇があるなら走れ。」


このとき俺はなぜか無性に腹が立った。


どうしてかは分からないが……


姫がシカマルを好きだったというその事実が……


どうしようもなく嫌だった。








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