かかったワナ。
ライラについていって歩くこと10分。人通りの少ない道に出る。
この先に本当にママとやらがいるのか……少しばかり警戒しておいたほうがいいかもね。
「ねぇライラ。ママは何処にいるの?」
「あそこ。」
そう指差した先には確かに家がある。人が住んでいるようには見えないが…。
でも人の気配はあるからそれがライラの言うママなのだろう。
「…どうしてライラは一人でママのところへ行きたくないの?」
「ままにいわれたの。おとなの人といっしょにきなさい、って。」
大人の人と一緒に…?子供を使った新手の犯罪か?
……なんて、この木の葉でそんなことすればすぐ捕まるわね。
「ママは大人の人を連れてきて何をしたいのかな?」
「しらない。でも、おとなをつれてくるとままはよろこぶ。
つれてこなかったときは、すごくおこるからヤだ。」
何でかは分からないけどライラの母親は子供を使って何かしていると言うことだけは分かる。
これでライラが私にママのところへ着て欲しいといった理由は分かった。
あとは……。
「ついた。ままよんでくる。まっててね。」
とてとてと家の中へ入っていくライラ。
…どうする。このまま逃げるべきか?
いや、それでもしライラが母親から暴力でも振るわれたら元も子もない。
何かあっても一般人相手なら私い一人で十分対応できるし……。
事の次第は後で綱手様に報告に行くか。
……しかし、何か変だ。
家の中にいるであろうライラの母親の気配はまるで全身から吐き気を催すような……
そんな嫌な気配を放っている。
「おねえちゃん、ままがきてほしいって。」
「っ…分かったわ。」
とにかく今はライラを守るためにその母親とやらと会うべきね。
ヒタ……ヒタ…
「ままー、つれてきたよ!」
『…お前、名は?』
「…姫です。あの…『ほぅ…。やっとか。』
…やっと?
『偉いぞライラ。さすが私の子供。』
「えへへ…ままがほめてくれた。」
…とてもそんな雰囲気じゃないって言うのに子供は無邪気でいいわね…!
ジリ…
「ライラを使って大人たちをここへ集めてるそうね。
…目的は何なの?あなたの名は!?」
瞬間、後ろに気配を感じたと思えば意識が遠のく……
だが妙だ、この空間には私とライラとその母親しかいない。
母親は私の目の前にいる。…子供がこんなにすばやく動けるわけ……っ!!
「らい、ら…!?」
『あぁそうだ、一つだけ教えてやろう。私の名はイラー。この子はライラ、18歳さ。』
ドサッ
「あーらら、最後まで聞こえたのかねー。
つーかバカだろこの女。俺の事完全に可哀想な子供としか思ってなかったよ。
…ま、おいげで楽にここまでこれたけどさ。」
『噂通りの子、ってわけね。それにしても、やはり18歳の姿をしたお前はいつ見ても素晴らしいな。』
「それよりも母さん、本当にこいつで間違いないの?」
『あぁ、この子があの2人の子供。…早くその眠れる力を私に見せて欲しいわ……姫。』
暗闇に悪魔の声が響くとき、
「母さんのためなら俺は何でもするからね。」
木の葉に悪夢が舞い落ちん……。
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