仲間なのに…。  



「どういうこと!?シカマルも暗部なの!?」

「今から説明するって言ってんだろ。」

「おい狐、これは一体…「今はその名で呼ぶな。」


狐……って、もしかしてナルトの事?
確か暗部では本来の名とは別の名が与えられるんだっけ…?

って言うかシカマル…いつもよりも声が低い?


「姫にはチャクラを見ただけで俺たちが誰だか分かるみたいだ。
…姫曰く、一人一人微妙にチャクラ感じが違うんだと。
仮面をはずせ。全てを話す。」


カタ…


「…本当にシカマルだ。」

「何で姫がこんな時間にこんなところに?病院にいるはずだろ。」

うっ…やっぱそうくるよね。
勝手に抜け出したって言ったらやっぱり怒るかな?
シカマルに起こられたらショックで寝込むわー。

「抜け出した挙句口寄せしたら暴走してここまで来たんだと。
…それより、時間がねぇから話すぞ、一度しかいわねぇからな。
俺は普段は下忍としてバカみたいに騒いでいるが裏では暗部の仕事をやっている。
もちろん、実力は上忍以上だ。表で弱い振りしておけば怪しまれないからな。
このことは他の奴らに知られるわけには行かない。
もし姫が俺たちの存在を誰かに話せばそのときは容赦なく殺す。」


……目が…本気だ。
いつものふざけたナルトの姿からは想像も出来ないくらい……本物の殺気だ。

冷たくて……恐ろしくて……とても悲しそうな目――…。


「ナルト、少しは抑えろ。
…何でナルトがに俺たちの事を話したのかの詳しい事情はしらねぇが今言ったことは全て真実だし、口外するな。
言い方時は悪いが…普段姫が接している俺たちは演技だ。」

「…どうして、嘘をつくの?
私たち…仲間でしょっ!?同じ火の意志を持った…っ!!」

なのに……どうしてそんな平然とした顔をしていられるの?
皆を騙して…実力もあるのに演技までして……。


「姫の気持ちも分からなくはないが、俺たちにも暗部でいなきゃならない目的がある。
暗部は本当の姿を決して人に晒してはならない…。
確かに、あいつらは俺達の大事な仲間だ。だが、それだけだ。
目的のために秘密にしろと言うのであれば話すことはない。」

「…めんどくせーがそういうことだ。安心しろ。
別に信頼してないわけじゃない。今ナルトが言っただろ?
暗部は本当の姿を人に晒してはならない…それが掟だ。」


……掟?

私たち仲間はその掟よりも大事じゃないってことなの?


「ナルトは……カカシ先生が私たちに教えてくれたこと、忘れちゃったの…?」

「……。」


「ルールや掟を守ることは忍にとって大事なことだけど……仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ、…って。
なのに……。」


「ナルト、やっぱ姫に話したのは間違いだったんじゃ…。
今からでも記憶を消してやったほうがいいんじゃねぇのか?」

「…言っただろ。こいつの能力は俺らの想像以上だ。
例え記憶を消したとしても感覚が覚えてる。
それがリンクして繋がって余計な騒ぎになるくらいならはじめからバラして口止めしたほうがいい。」


…あのナルトが人をこんな風に判断するなんて珍しいな。
まぁ、記憶操作自体難しいから一歩間違えれば姫が俺たちの事を忘れると言う事態にもなりかねない…。

だからと言って他にもごまかす手段はいくらでもあるのに……。


「姫を信じる…って言うのか。」

「こいつは仲間だと信じた奴の言葉は最後まで守る。
それだけがこいつの唯一の長所だからな。」

……ここまで信頼してるとは…もう何も言えねぇな。


「…ねぇ、」

「何だ。」

「最後に…一つ、質問させて。

ナルトとシカマルは……私を――…皆を騙して心は痛まないの?
何も…感じないの?」


何、失礼なこと聞いてんのよ私は。
ナルトとシカマルは木の葉でも五本の指に入るくらいの仲間想いで――…


「あぁ、感じないし痛まない。暗部に感情なんていらないからな。」

「ま、それは同感だな。」



――…時が止まる感覚、体中の力が抜け…どこか別の世界にいるような……そんな感覚。




「さて、無駄話は終わりだ。これが姫の知りたかった真実だ。
早く病院に戻れ。…最初にも言ったが口外したそのときは容赦なくお前を殺す。」


「…はぁ、俺が送ってく。
足、まだ痛むだろ?抱えていくが暴れるなよ?

……今日の事は全て忘れろ。そして今後、表でも極力俺たちに関わるな。
…めんどくせーがそれが姫のためだ。」


私はこのシカマルの言葉に何も返すことが出来なかった。

何も答えられず、何も話さず……



気がついたら私は病院のベッドの中にいた。








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