CLOWN×CLOWN


団長×お手本×いつかのお菓子


「ナッツ」
「あ、クロロくん!目覚めたんだ」
「ああ。俺以外はまだだけど」

どうしてピエロにとて利益のないイカサマしたのか。
聞けないまま、ワタシ達さきまでいた家に戻た。

それで扉を開けたすぐそこに、クロロがいた。
何もないそこで。きとピエロの帰り待てたよ。

「どう?具合悪いとかない?」
「問題ない。それよりナッツ、びしょ濡れじゃないか。早く着替えないと風邪引くぞ」
「え、でも僕マチちゃんとシャルくんが目覚めるまでここいたいんだけど…」
「じゃあサーカスに戻らなくても、パクの服でも借りればいいだろ」
「ええ、駄目だよ僕、これでも体中仕込みだらけだから。人の服じゃちょっと…」
「ならサーカスに戻れ。二人なら大丈夫だから。とにかく着替えるのが先」
「この雨の中もっかい歩けって?」
「………」

さすがのクロロもだまたね。

――――コンコンコンコン
そのタイミングをみはからたかのようなノク。
ワタシたち立ってるところの、後ろの扉。
ノクなんて、そんな律儀なことするやつ流星街にいるね?
というかこの家訪ねてくる人間なんかがいるわけ―――

「はいどうぞー」

…開けやがたね。
ピエロの奴、自分の家でもないくせに開けやがたね。
見ろ、クロロもびくりしてるよ。

「おや、ナッツ、もう濡れてしまっているのかい?」
「団長!」

扉の前にいたの、小太りのオサン―――あのサーカスの"団長"だた。たしかピエロの育て親。傘さしてて、もう一本畳んだ傘ももてて、ピエロのこと見て、こまたようにわらた。

「せっかく傘を持ってきたんだけど、遅かったかな」
「いいえ!そんなことないです、うれしい」
「…お前、何でピエロここにいるてわかたね」

さきまでしょんぼりしてたのが嘘みたいに笑うピエロが気に入らなくて、そいつにつかかた。
でもワタシ、何もまちがたことはいてない。ピエロは今日初めてここに来た。サーカスの連中と連絡とたりもしてない。ピエロがどこにいるかなんて、誰にもわからないはずね。

「うん?ああ、もしかして君がフェイ君かな。綺麗な黒髪に可愛らしいしゃべり方≠フフェイ君」
「!」
「君たちのことは、ナッツがよく話してるよ。いつもこの子がお世話になっているね、ありがとう」
「べ、別に…」
「そっちの子は…クロロ君、かな。黒真珠のような目をもった大人びた雰囲気≠フクロロ君」
「…ああ、たぶん俺がそのクロロだ」
「うんうん。おお、そうだ!僕としたことが自己紹介を忘れてたね。僕はあのサーカスの団長を務めているアーモンドというものだよ。どうぞよろしく」

笑顔といしょに差し出されたのは、棒にささた飴。
それが、九本。

「中にもいるんだろう、お友達。警戒して出てきてくれないようだけど、後で渡しておいてくれないかい」
「………」
「大丈夫だよ、賞味期限は切れていないし毒も入ってない」
「そんな心配してない」
「そうかい」
「…ああ」

クロロの表情はなんだか複雑だた。
それ、危険なのか?ワタシあんまり、それにそんなの感じないけど。
でもけきょくクロロ、それ受けとた。「渡しとく」て返事もしてたね。

「…ナッツ」
「ん?」
「傘も手に入ったんだし、やっぱり戻った方がいい。着替えないと」
「でも…」
「ナッツには、ゆっくり休んでほしい。あの二人は俺がちゃんと看とくから、心配しなくていい」

クロロ、なぜささとピエロ帰そうとするね。
ワタシの質問、まだこの男答えてないよ。はぐらかされたままね。

「今日は助かった、ありがとうナッツ」
「…わかった。また明日ね」
「ああ」
「フェイくんも、すぐ着替えるんだよ」
「…わかてるよ」

最後にピエロ、私の頭少しだけ撫でて男から傘受け取て出ていた。
扉がしまて、ワタシはクロロ睨みつけた。でもクロロは苦笑いしながら肩すくめるだけ。(ピエロがよくする仕草のマネね)意味がわからない。

「…なんでここがわかったのか、具体的なことは俺にはわからない」
「………」
「でも、きっとわかるもんなんだろ。そういう力があれば」
「…?あの男、強いね?」
「ああ」
「なんでわかるね」
「ナッツに芸や戦う術なんかを教えてるのは、あの男だろうから」
「!」
「そうじゃなくてもたぶん、ナッツにとってすべての手本があいつだ。しゃべり方も、振る舞いも、やることも言うことも。何もかも一緒」

つまりあいつはナッツの師だ。
ナッツの師が弱いわけがない。そうだろう?
そうクロロは言た。そしてワタシは頷いた。その通りだと思たよ。

「だけど…あいつはまた、ナッツとは違うと思う。敵にはならないだろうが、あまり関わらないほうがいい」
「…それは勘ね?」
「ああ」

なるほど、だからクロロささとあいつ追い返したのか。

「…そういえばピエロ、戦いの修行明日から始める言てたよ」
「!結局ナッツが折れたんだな」
「………」

そう、ワタシそれが気になてたはず。
すかり忘れてた。

「一体何言ったらナッツは了承したんだ?『お願いv』って上目づかいで首傾げておねだりか?」
「…するわけないね」
「そうか、あいつそういうの好きそうだけど」

今それ言いながら自らやてみせたお前にびくりよワタシ。

「…コインね」
「コイン?」
「表ならワタシたちに戦い方教える、裏なら教えない」
「なるほど…そうか、いいな、その方法」

今度から俺たちの間でも意見が割れた時はそうするか。
なんて、何か新しいルールができてしまいそうね。

「でもピエロ、イカサマしたよ」
「イカサマ?」
「コイン、どちも表だたね」
「どっちも、表…?表だと、教えることになるんだよな?」
「そうね」

クロロは顎に手を置いて考え事を始めた。
そしてそれからしばらくもしないうちに「とりあえず、そのイカサマには気付いてないフリをしてろ」とだけ言た。
あの意図はやぱりクロロでもわからなかたらしい。

「あいつがすることだ、何も問題はないだろ」
「…まぁ、そうね」

それからクロロは、もらた飴を他の奴らに渡しにいた。

「…なんかあのオッサン随分胡散臭ぇみてぇだが…それ、大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だ」
「なんで言いきれんだよ。ナッツがくれるもんとは違うんだぞ」
「賞味期限は切れてないし毒も入ってないって言ってただろ?」
「…だから、」
「俺はあの頃、あいつのその言葉を無条件で信じた。結果、それは間違いじゃなかった。もしそれ食ってお前が死んだら、俺のことは呪い殺せばいい」
「…意味わかんねぇ」



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