CLOWN×CLOWN


臆病者×コイン×嫌な駆け引き


「フェイタン!あなた何てこと言うの!」

パクは少しヒステリクになてたね。
あいつはピエロ好き過ぎる。

「何であんなこと言ったんだ?」

ウボーは呆れてた。

「ナッツが怒るのも当然だぜ」

フィンクスはおこてたよ。
なんであいつが怒るね。

「さっさと謝ってこいよ」
「ナッツならすぐ許してくれるぞ」

ノブナガとフランクリンはわらてた。
ノブナガの笑いはワタシが叩かれたことをおもしろがたので、フランクリンのは苦笑。

とにかくどいつもこいつも、うるさかた。


「だから来てやたよ」
「…そっか」

ピエロは、いつもの修行場に座てた。手の中でコインをコロコロ転がしながら。
少しだけど、雨が降てる中。
いつも何人かに囲まれてるそいつはその時だけ、ひとりぼちだたね。

「…冷たいね、家戻るよ」
「…僕は、もう少し…」
「………」

ワタシは黙て、ピエロの隣にすわた。
雨はだんだん強くなて、そのうちどしゃぶりになた。
でもピエロはうごかなかた。ちとも。全然。
ワタシのことも、まだ一度も見てない。

「…ワタシ、」
「フェイくん、僕はね、当然君達に生きてほしいと思ってるよ」
「…わかてるね。わかてるけど、あんなこと言てしまた」
「ああ、それは僕のせいだから…もう、いいんだよ。僕が君を不安にさせてしまったせいだもの」

だから、ごめんね。

そう言てピエロは、やとワタシを見たね。
そして、きとすかり冷え切たワタシの頬を撫でて、泣きそうな顔した。
でもピエロの頬をつたてたのは、雨だけだた。

「つい、カッとなっちゃったんだ」
「お前でも感情抑えられないことあるか」
「そりゃあるよ。必ず後で、こうして自己嫌悪に陥るわけだけど」
「馬鹿ね」
「うん」

鋭い雨が肌に突き刺さる。
いつもふわとしてるピエロの髪はぺしゃんこになて、頬に張り付いてる。
ワタシは黙て、その髪を耳にかけてやた。
驚いた顔をするピエロと目が合う。
ついとさに逸らすと、濡れて肌にぴたり張り付いたピエロのシャツが目にはいた。
生地の薄いそれからは、肌が透けて見えてる。

「――っ!早く、家入るよ」
「君だけお戻り。僕はまだ…」
「ワタシがわるかたね!」
「!」
「お前悪くないよ。頭冷やす必要も、自己嫌悪する必要もないね」
「フェイ君…」
「だから早く戻るよ」

無理やり取ったピエロの手は、ワタシよりもずっと冷たかた。
それにおもてたより、ちいさかた。

「…戦い方も、教えたくないならいいね。ワタシ達、自分でどうにかするよ」
「………」

引張ると、ピエロは遅いながらにもちゃんとついてきた。
よたよたよたよた。
その度、地面の泥水がびちゃびちゃはねる。
ワタシその音と雨の音だけ聞きながら、前見て歩いてた。
でも突然、後ろにぐんとひぱられて進まなくなた。
ピエロが、立ちどまたから。

「ピエロ」
「クラウンだよ」

どちでもいいね。

「…どうしたね」
「…戦い方なんて、僕は教えたくない」
「だから…」
「でも、教えなかったとしても…僕は後悔すると思う」
「…どち選んでも後悔するいうことか」
「うん」
「なら教えるね」
「でもその一歩も、なかなか踏み出せない。怖いよ」
「…じゃあどうするね」
「コインにしよう」

そう言うとピエロは、いつもみたいにどこからともなく―――
じゃなく、びしょびしょのズボンのポケットからコインを出した。
見たことない模様。どこで使えるね、それ。

「表なら、僕は明日から、君たちが知るべきことの全てを教えよう。で…裏なら、今まで通りで」

ワタシが頷いたの見ると、ピエロはコインを真上にはじいた。
くるくる回りながら、コインはあまり飛ばずすぐピエロの手の甲に落ちる。
同時に、ピエロはそこにもう片方の手をかぶせた。

「どっちだろうね」

そうピエロはわらた。
でもワタシ、わかてるよ。
コインは…

「「表」」

ワタシとピエロの声がかさなた。
すごい、透視?と、ピエロは雨でびしょ濡れの顔で、また笑う。

透視?そんなんじゃないね。
これだけ雨降てても、ワタシわかるよ。
見えたよ、お前のイカサマ。

「じゃあ明日から…新たな修行、始めますか」

白々しいね。
なんでこんな回りくどいことする。


そのコイン、表しか書かれてなかたね。


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