CLOWN×CLOWN


お子様×ビンタ×戦う方法


今日は久しぶりに、嫌な日だたね。

「ここが、パクちゃんの家?」
「ええ。私とマチと、シャルとクロロの家」

ピエロがクロロを、パクがマチを、ウボーがシャルを、それぞれ背負てクロロたちの家にいた。
今日の修行は中止ね。
目覚めないちび三人、みなで看ることにしたから。

「じゃあ三人は寝かせておいて…と、他に体調が悪い子はいない?」
「悪いどころか、なーんか調子いいぜ?力が湧いてくるっつーか…」

三人に毛布を掛け終わたピエロの問いに、ノブナガが自分の手見ながら答えた。
それに、他のみなも頷く。
ワタシにもあるね、その変な感覚。力溢れるのわかる。

たぶんこれは、あいつらの言てたネン=c
けどワタシたちは断片的にその言葉を知てるてだけで、その言葉の意味知らない。
この感覚が何なのか理解することは、できなかた。

―――でもきと、ピエロは知てる。
ネン≠ェ何なのかも、ワタシたちに何が起こたのかも。
けどピエロはそれを言おうとしない。
イライラしてじと睨んでやると、少し不自然に顔を逸らされた。

「…あんな連中に絡まれるようなことは、よくあるの?」
「時々ね」

ワタシたちが何を聞きたいか、わかてるくせに。わざとそうやて話逸らす。
しばらく沈黙が続く。
それから少しして、痺れを切らしたノブナガが口開いた。

「ナッツ、俺達に戦い方を教えてくれ」

沈黙になたあたりから、ピエロは黙てずと窓の外見てた。
そしてノブナガの方振り向くこともせず、まるで聞こえていないかのよに沈黙を貫いてる。
つまり無視ね。

ピエロからは、体の作り方やナイフの扱い方は教わても、それの応用―――戦い方は、教わていなかたよ。
というかワタシ達は、そいつにそんなスキルがあると思てなかた。

いくら速く動けても、高く飛べても、それと戦う≠トことはまたくの別物ね。
サーカスのピエロにそれの必要もない。
だからワタシ達は、その教えを要求したこともなかた。

でもワタシ達は今日、ピエロにそのスキルがあること知た。
知てるなら、教えろ。

ノブナガだけじゃないね。
みな、そうおもたね。

「ナッツ…」
「…僕らのサーカスは、よくスラムの地を回るんだ」

そいつの眼はワタシ達を見てなかた。
それはワタシ達通り過ぎた、どこかに。

「そうするとね、自然といろんな危険が纏わりついてくる。スラムに近づけば近づくほど、治安なんてものはなくなるから。なら自分達を守る術を身につけることは、必然だった」
「それで…」
「ああ。でもそれは、本当に最低限のもの。ただ守る≠スめだけのもの」
「………」
「…君達には、できるかな。得た力を、争いを生むためじゃない、人を傷つけるためじゃない、ただ守る≠スめだけに使うこと」

…何を言てる。
甘い、甘過ぎる。

このピエロは、きれいすぎるね。
こいつの言葉は綺麗事ばかりよ。

苛々する。

「言てる意味わからないね。守る≠セけじゃ、勝てないよ」
「僕は君たちが勝者であってほしいなんて思わない。ただ、普通に、普通の子供として、」
「そんなの無理だてわかてるはずね」

やとピエロの目が、ワタシを見た。
裏側が透けて見えそうな、澄んだエメラルド。
それがゆらゆら揺れていた。
…動揺を隠しきれてないね。

自分で無茶言てること、わかてるねこのピエロ。
わかていながら、なぜ言う。

「ワタシ達もとつよかたら、今、クロロたちは倒れてないかもしれないね。
 もとつよかたら、ワタシ達自分であいつら何とかできたかもしれないね。
 さき、お前がこなかたら、ワタシ達死んでたかもしれないね。
 クロロが前に言てた、ワタシ達の生存確率が変わるて、そういうことよ」
「わかってる、わかってるよ…!でも…!」
「わかてるならなぜしない!いたい何が怖いね!」
「っ!」

何に怯えてる。
なぜそれ言わない。

…やぱり苛々する。

「…ピエロは、ワタシ達に生きてほしくない思てるね」
「!?」
「おいフェイタン!?お前何言って―――」

パシン。

フィンクスの言葉が、中途半端に終わた。
ワタシの頬が、変な音立てたから。
いや、音が出たのはピエロの手の方?
…わからないね。

とにかく顔が、少しだけひりひりするよ。

「フェイ君、僕は今、すごくすごく、怒ってるよ」
「…あんまりそう見えないね」
「でも怒ってる。でも、ごめんね」

ひりひりする方の頬を、すと撫でられた。
でもそれはすぐ離れる。
思わず捕まえたくなる衝動を、何とか堪えた。

おこてる理由はなんとなくわかる。
でも謝る理由がわからない。

それからピエロは、「少し頭冷やすよ」てだけ言て部屋出てた。
ワタシ黙て、それ見てた。



…ピエロのあんな悲しそうな顔、初めて見たね。

やぱり今日は、嫌な日。


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