小説(クリパー) | ナノ




「す、すまない名前……」
「いや……。わたしこそ気持ち悪いとか言ってごめんなさい……」


ぴくりと静止した帝国イレブン。地獄絵図のような彼らは本来の姿を取り戻し、冷静沈着なイメージへと元通りになった、と思う。
鬼道くんは申し訳なさそうにわたしに誤って来たが、やっぱりベルトとマントが邪魔である。反省しているようにあまり見えない……。


「でも、そしたら名前はどうやって降りるんだ?」
「そうだよね……。ごめんね、迷惑かけて」
「いや、名前が気にすることじゃないさ」



源田くんと佐久間くんが心配してくれている。腕を組んで悩み始める源田くんを見て、それぐらいに一生懸命わたしを助け出そうとしてくれているのだと思うと胸が熱くなった。

でも、なんでわたしのベッドがこうも凍っていたのだろう。

そんな疑問がちらりと脳裏に過ったが、それを洞面くんの発言が遮った。



「あのー……。僕思うんですけど、普通にデスゾーンとかのジャンプ力さえあれば名前先輩のベッドにすぐたどり着けると思うんですけど……」
「あっ……」



洞面くんのひらめきに思わず感嘆の声をあげたのは鬼道くんだった。わたしも、なぜ早く気付かなかったのだろうとハッとする。



「さすが洞面だぜ。やっぱ頭キレてんなー」
「そういう成神はバカだけどね」
「あ?うるせーな」



2人の後ろに暗雲が立ちこめる様子にビクビクしていると、短パンの寺門くんが鬼道くんに声をかけた。




「よし鬼道、デスゾーンをやらせてくれ」
「わかった。いけ!佐久間、洞面、寺門!デスゾーン開始だ!」




パチン!
と指を鳴らすと同時に、3人は走り出してジャンプをした。そこでボールを囲むように三人は回転し始める。
しかし、3回転したところで3人はトライアングルの中央でぶつかってしまい、ぐしゃりと床に落ちてしまった。




「くっ……!普通ならボールが真ん中にあるけれど、今回は無いからぶつかってしまった」
「ちくしょう!御神足に傷がついたぜ」
「もー、痛いじゃないですか!」


「デスゾーン失敗か……。他にいい方法はないのか!?」
「それなら鬼道、中心になるものを投げてくれないか?そうしたら成功するかもしれない!」



佐久間くんがそう言うと、鬼道くんは辺りを見回した。
そしてなにかを見つけたらしく、目で合図をして指をまた鳴らした。





デスゾーン、開始!
そういうと同時に高く放り投げたのは、メイドのフィギュアだった。
もう少し違うものだと思っていたため、思わず拍子抜けしてしまう。
下にいるみんなを見てみると、咲山くんが一生懸命笑い堪えようと肩を振るわせているのが見えた。


メイドのフィギュアを囲んで回転し始めるデスゾーン組。
こ、これは……



「メイドゾーン……」



思わずそう呟くと、くるくると回転していた3人は一旦回転するのをやめ、床に着地してしまった。
そしてすぐに鬼道くんへ抗議を訴える。


「なんでフィギュアなんて投げるんだ!」
「一気にやる気無くしちゃったじゃないですか!」
「い、いや身体が勝手に……。そこら辺にあったから……」

「ウガアアアア!小生から名前殿に捧げようとしたフィギュアがー!」



みんなが着地したということはフィギュアも同時に落ちたことになるので、無残にもフィギュアは床に落ちてしまった。
そのフィギュアに駆け寄り、大野くんはあたふたと騒ぎ始める。



「うおおおー!手が折れているー!」
「大野くん……」



大野くんはそんなにフィギュアが壊れてしまったことにショックだったのか地団駄を踏み始める。
アースフェイク並みに揺さぶられる床。地震が起きたときのようにぐらぐらと揺れ始めた。



「や、やめろ大伝!そんなことしたら氷が……!おいハゲなんとかしろ!」
「俺かよー!?俺地震苦手だから腰抜けて立てねえんだよ!咲山、お前がなんとかしろよな!」



ピシピシと足下の氷が割れている音がする。
これはやばい、と思った矢先だった。


「き、きゃああああああ!」


右のほうの足下の氷が割れ始め、バランスを崩したベッドは傾き始める。わたしはそのままベッドと一緒にバランスを崩した。


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