ケーキと一緒にA


うわああああ、まじで恥ずかしい!
っていうか、俺バカじゃねーの!?

「……」
「……」

あああ、やっぱり智紀さんのアドバイスなんて真に受けなきゃよかったあ!

『この前生クリームプレイしたんだけど、楽しかったよー』

なんて!
智紀さんは変態だからいいんだろうけど、俺たちノーマルカップルだし!
あああ、やばい、優斗さんが固まってるー!

「一緒に?」
「へ?! あ、う、やっぱいい―――……っぅんっ」

さっきのナシナシ!って首を振ろうとしたら優斗さんの手がケーキに伸びてきてイチゴをひとつとったかと思うと俺の口に押し込んできた。
反射的に噛んで、甘酸っぱいイチゴの味が広がる。

「ッ、ン!!」

そのまま食べようとしてたらいきなり後頭部に手がまわされて唇を塞がれた。
俺の口の中のイチゴが優斗さんの舌に持っていかれる。
かと思ったらまた押し込まれて―――って、ふたりでキスしながら食べてる状態で。
苦しいし食べにくいし、なんか口の端から唾液とかイチゴの果汁とかめちゃくちゃこぼれまくってる。
ようやく食べ終えたころには軽く息があがって、心臓はバクバクだ。
優斗さんは濡れた口元を指でぬぐって、舐めて―――って、色気ハンパないんですが!

「ん、美味しい」
「……っ」
「一緒に食べていいんだよね?」
「……は、はい」

いや、俺が言ったんだけど!
でも優斗さんはきっと乗ってこないと思ったんだけど、なんでこんなに積極的ー!?
焦る俺からケーキをとって、テーブルに乗せた優斗さんはまた一個イチゴを俺に咥えさせてさっきと同じように食べ始めた。
やっぱきつい、のにだんだん気持ちよくなってくるから不思議だ。
さっきよりはちょっと食べるコツもわかって夢中になってたらソファに押し倒されてバスローブの前をはだけさせられた。

「んん、っ……はぁ」

イチゴの味と優斗さんの味と、なんか全部合わさって頭の中がくらくらする。
俺に跨った優斗さんはケーキから今度は生クリームを指ですくうと……。

「……っ、冷たっ」

俺の胸にこすりつけてきた。
生クリームの冷たさと、ありえないところに塗られて身体がびくつく。

「美味しそうだね」

にっこり笑う優斗さん……だけどなんか、ちょっと怒ってるような?

「……あの……優斗さんまじでするの?」
「なんで? 捺くんから言いだしたんだよね」
「そ、そうだけど……」
「捺くん」
「なに?」
「これ、誰の入れ知恵?」
「へ?」
「捺くんが考えたプレイ?」
「……え……っと」

実はこれは……って実はもなにもなく智紀さんの提案だ。
この前クリスマスパーティしたときに、酔っぱらった智紀さんが最近恋人として楽しかった生クリームプレイを延々語りだして。
俺と優斗さんは付き合い長いし、たまには変わったこともしてみたほうがいいとか言われて。
ちょうどクリスマスだし、プレゼントの一環で俺込みでケーキを食べてみるとかなんて進められて。
(正直智紀さんの恋人くんいろいろさせられて気の毒だなぁとは思いつつ。そんなプレイ優斗さんドン引きしそうとか思いつつ)
ナイナイって思ってたけど―――ちょっと面白そうかなぁなんて思ってしまった俺がいたのも事実で……。

「あ、あの、その……智紀さんが」

ぼそぼそっと言えば、優斗さんが笑いながらため息をついた。



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