Mother's Day C
今日は母の日で、そんで今度みんなで家族旅行に行こうってなって。
俺のヤキモチがすっげぇしょうもないもんだっていまさらわかる。
優斗さんとお袋が喋ってるときに覚えた違和感の正体がわかってため息。
俺ってマジでガキだな。
優斗さんに釣り合うような男になんていつかなれるんだろうか。
皿に山盛り、味が混ざりそうな盛り方で料理詰め込んでからテーブルに戻った。
「遊園地が近場にある温泉付きの宿に決定だな」
「7月の連休に行くから、ちゃんと予定開けておきなさいよ」
もう日程まで決まったのか。
取ってきた料理を早速食べ始める俺にお袋が言ってきて、優斗さん見ると「楽しみだね」と笑うから「うん」って笑い返した。
それから旅行の話がしばらく続いた。
みんなそれぞれ行きたい場所言って、多数決取ったり。
その間にも何回も料理取りにいって食べた。
あっというまに時間は経っていってお腹も満腹どころじゃなかった。
「食べ過ぎたー」
「ほんっと、食べ過ぎたわ」
「最後にソフトクリーム食べなきゃ」
お腹一杯苦しいのに、まだそんなこと言うお袋と頷く姉貴に、男たちはドン引き。
そうして充分に満足して店を出た。
「今日は本当にありがとう」
「いえ、俺こそ本当に楽しかったです。また買い物ご一緒させてください」
「もちろんよ〜」
「優斗くん、あの私ともぜひ」
「はい、お義父さん」
5月の中旬、そんなにもう夜も寒くはない。
親父とお袋と喋ってる優斗さんのそばで俺は姉貴とむっちゃんたちと旅行の話してた。
寒すぎず暑くもない夜の空気が心地いい。
満腹さに眠気も感じて大きく欠伸して、
「それじゃあ、また」
と俺と優斗さんは親父たちと別れた。
***
「楽しかったね」
「うん。ローストビーフ美味しかった」
「捺くん、かなり食べてたよね」
「肉大好きだもん」
あれウマかったまた食べたいって気にいった料理を思い出しながら言う俺を穏やかな目で優斗さんが見てる。
その優しい眼差しがくすぐったくって大好きで道の往来じゃなかったらくっつきたくなる。
日曜の夜だけど人は多くて、手だけでも繋げたらいいのになぁって思うけど実行に移すには微妙。
俺は別に気にしないけど、どこで誰が見てるかわかんねぇし。
それでも―――ってやっぱりガキな俺は繋ぎはしないけどそっと指先で優斗さんの指先に触れた。
すぐに気づいた優斗さんが甘さを増した視線を俺に向ける。
そしてぎゅっと軽く指先を握って目を細めた。
「今日は一緒にお風呂はいろっか」
キスしたいなーもっと触れたいなーなんて見つめてたのに気づいたのかどうなのか。
優斗さんがこっそりと耳元で囁いてきて大きく頷いた。
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