綺麗なお姉さんは好きですか?A


いつもと違う感触。
口紅塗ってるから、ちょっと違和感。
そして距離がゼロになって微かに香ってきた香水の匂い。
それもいつもと違って女性らしい香りだ。
作りものだけど長い髪とか、本当に女のひとみたいに感じる。
でも入り込んでくる舌はいつもと変わらずで、それが―――興奮した。
俺も文化祭とかで女装させられたことあったけど、自分じゃ全然楽しくねぇし。
でも好きな相手が女装してるとなると違う。
いや別に女のほうがいいとかそういうんじゃなくて、ただ単純に優斗さん綺麗だし、いつもと違うのが新鮮で。
ああ、やっぱコスプレプレイって楽しいよな、うん。
背中に手を回して深いキスを交わす。
身体はもちろん優斗さんだけど、背中から下へと手を落としていったらスカートなわけで。
男ならスカートの中に手突っ込みたい、と思うのは当然だ!
スカートの裾から手を差し込んで太股に触れると少しだけ優斗さんが身動ぎして、俺の舌を甘噛みすると離れていった。

「捺くん、ベッド行こう?」
「行く!!」

先にシャワーって考えもしたけど、こんな綺麗なお姉さん優斗さんを待たせられるわけねぇ!
俺は優斗さんと手を繋いで寝室へと向かった。
ほんのちょっとの距離でテンションがどんどん上がっていく。
そして寝室のドアを開けたら―――。

「……おお」

寝室にはいくつかのキャンドルが置かれていて、ジャックオーランタンまである。

「どうしたのこれ。智紀さん?」
「……そう。衣装と一緒にいろいろ持ってきて」

本当にアイツばかじゃないのかな、ってぼそり優斗さんが呟いてため息をついた。
ばかっていうか、智紀さんまじでイベント大好きだよな。
でも今回は俺的には大歓迎。
寝室はキャンドルの灯りで妙なムードが漂ってるし―――第一に綺麗なお姉さんの優斗さんが見れたわけだし。

「いいじゃん。なんかすっげぇ面白いし」

ベッドに乗って優斗さんの腰を引き寄せる。
俺に跨り、上から見下ろす優斗さんはキャンドルの柔らかな光のせいで妙に艶やかで明るいリビングで見たときよりも妖しい色気が漂ってるように感じるっていうか。
優斗さんはふっと微笑んで、俺を押し倒した。
ベッドに沈められながら流れ落ちてくる長い髪がベールのように俺の頬にかかってくる。

「まぁ……たまにはこういうのも確かに面白いかもしれないね」

悪戯に動き出す指がシャツをめくり上げて素肌に触れてきた。

「……優斗さん」
「なに?」

俺の上に乗って、俺の首筋に顔を埋めながら肌をくすぐってくる。
それは別に普段と変わるわけじゃないんだけど、やっぱ視覚的に全然違うから……。

「襲われてる気分」

美人な優斗お姉さんが俺に跨って、いろいろご奉仕―――って、いや男ってだってみんなバカだろ!
でもまじでなんか倒錯的な感じがするっていうか、あああ、いま優斗さんちょっとスカートパンチラ気味なのかなーとか、気になる。
優斗さんは顔を上げて上目遣いに俺を見るとくすくす笑い出す。

「確かに襲ってはいるけど。そんなに俺の女装気にいった? ココ、もうすごい反応してるね」

悪戯気に俺を見つめられて大きく頷いてしまう。

「うん! すっげぇ悪戯されたい」

女装しちゃってる優斗さん見た瞬間から反応しはじめていた息子はもうガチガチ。
ねだるように顔を近づけ優斗さんの額にキスをすると、同じようにキスを返され囁かれた。

「いっぱい悪戯してあげるね」

長い髪をかき上げながら微笑む優斗さんに一段と息子が大きくなったのは言うまでもない。

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