ともくん、お誕生日だよ!B
「いいの?」
「よくないんですか」
「んーん。じゃあこんなことしてもいい?」
ふ、と首筋に息が吹きかかり舐められた。
「……智紀さん」
「なにー」
爽やかな笑みのくせに意地悪そうな目をした智紀さんが楽しげに俺の目を覗き込む。
なにそんな期待してるっぽい顔してんだよ。
「俺ケーキだけじゃなくケーキも食べたいんだけどな?」
内心苦笑しつつ、俺は智紀さんの首筋に顔を埋めた。
「それはいいんですけど、誕生日は智紀さんなんだし、俺にさせてください」
「……は?」
きょとんとした声を聞きながらされたのと同じように舌を這わせる。
「なに、千裕がシてくれんの」
「……誕生日だし」
「じゃあ俺の自分で挿れてくれんの?」
首筋に吸いつく俺の耳元で囁かれて、生温かい吐息に背筋がぞくりとした。
「……智紀さんの御希望なら」
「……ちーくん、なんか変なものでも食った?」
「なんでですか」
「だってさーいつもならイヤだっていうじゃん」
「……だから今日は智紀さんの誕生日だから特別ですよ」
「そうなの?」
「です。それとも拒否ったほうがいいんですか」
「そういうわけじゃないよ。ツンツンしてる千裕も可愛いけどこうして素直な千裕も可愛いから」
耳孔に舌が這う。
―――今日は素直にって言う話だったけど、いますっげぇ押し退けたくなった。
ヤバいような気がして不安になった俺を助けるように俺のスマホが鳴りだした。
「智紀さん、ちょっと待ってください」
「はーい」
そう言って俺を抱きかかえたままテーブルの上から俺のスマホを取って渡す。
どうやらこのまま喋らなきゃないらしい。
スマホを見ると捺くんからだった。
……ヤバい。
智紀さんがじっと見てる中でしかたなく電話を取る。
「もしも」
『やっほー! 千裕くん〜! どう、智紀さん? 千裕くんのデレ攻撃に驚いてんじゃねーの?? それともデレデレしまくってる?!』
「……」
捺くん、声すっげー大きい。
ちらり見ると智紀さんがにこにこと俺のことを見つめている。
それが不気味だ。
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