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「気持ちいい?」

ぬるぬるとした感触に半身から先走りが溢れまくってるのがわかる。
強弱をつけて上下してくる手の動きに、熱い吐息がこぼれ顔を伏せながら小さく頷いた。
智紀さんの胸元に頭を押し付けたような状態になっている俺の髪を智紀さんが撫でる。

「本当に今日は素直だな」

くすくすと笑う声に、より一層羞恥とらしくない自分に焦ってまた逃げようとした。

「それも可愛いけど」
「……っ」

鈴口を指先でひっかかれ腰がびくつく。
そして、そのまま俺は布団から畳へとはみ出した。
イコール俺のから智紀さんの手が離れた状態になって、俺の半身は空気にさらされ小さく脈打った。

「……え」

逃げようとしたけど、別に嫌だったわけじゃないし。
いや、でも。

「ちょっと待ってて」

なんて反応すればいいのかわからずに躊躇いながら一旦パンツごとズボンを引きあげた。
身体はせっかくの快感を逃してしまって疼いてしかたない。
智紀さんは一言そう言うと隣室に行ってしまった。

「可愛いちーくんに煽られちゃってそのまま食べちゃいそうだったけど」

乱れた浴衣のまますぐに何かを持って戻ってきた。
はい、と渡され反射的に受け取ってそれを見る。
二つの大きさの異なる薄いパッケージ。
一つは正方形で、もう一つは長方形。
一つは見覚えのあるもので、もう一つは―――。

「コンドーム……と、ローション……?」
「そ。ここ旅館だからねー。そういうの置いてるわけないしね。よかったよ、それだけでもあって」
「……そうなんですか?」

まるでたまたま持ってたっていう言い方につい訊き返してた。

「なにが?」
「……いや……智紀さんいつも常備してそうだし」
「ああ、こういうの? ま、いつなにがあってもいいように持ってたりはするけど」

俺えらいでしょ、と発言に対して合わない爽やかな笑顔を浮かべてる。

「それ自慢するところですか」
「えー、だって人生なにが起こるかわかんないしさ。だってほら実際こうやって」

布団に座り、智紀さんが俺の手を引っ張って、俺は流されるように布団の上にあおむけにさせられた。
そして智紀さんが跨って、

「必要な時に使える」

俺が布団に落としたゴムを手にしてひらひらと振りながら目を細めた。

「……でも」
「んー?」

今度はその手が俺のズボンのベルトにかかってベルトを外して、前をくつろがせてく。

「今日は最初っから……使うつもりだったんなら……」

別に"たまたま"持ってたわけじゃないだろうし。
俺の言葉に智紀さんは不思議そうに目をしばたたかせて喉を鳴らした。

「なんかちーくん、誤解してない?」
「……なにを、ですか」
「その言い方だとまるで俺がちーくんとこういうことを最初からするつもりだったって言ってるように聞こえる」

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