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「んっ……ふ、ぁ……っ」

頭の中がグラグラする。
最初からハイペースなキスは最初から熱くなっていた身体をもっと熱くさせて、なにも考えられなくさせる。
互いの舌が快楽を貪るように激しく絡みあって、唾液の交わる音が脳髄に響く。
何度も角度を変えて深く咥内を侵して、犯されて。
あの夜が俺のもとにやってくる。
いまは朝なのに。
外の明るさもどうでもいいくらい、俺はキスに夢中になってた。
重なった身体。
腰のあたりに当たる硬い感触。それは俺もだけど智紀さんのもで。

「っ……は……、んっ」

俺の背中に腕が回って背筋を撫でる。
それだけでさえおかしいくらいに身体が疼いてしかたない。
舌を吸い上げられ、甘噛みされ、背中に這う手と、もう片方ズボンの中へもぐりこんでくる手。
尻を撫でる手に背筋が震え、割れ目に指が潜り込もうとして思わず唇を離してしまった。
激しいキスだったこと表すように俺と智紀さんの間に銀糸がひく。
キスの最中は閉じてた目。
開けてしまえば明るい部屋の中だという当たり前のことを再認識して顔が熱くなる。
我にかえって羞恥に智紀さんから離れようとしたら首に回った腕に引き寄せられた。

「まだ、だめだよ」

足りない、と笑う声とともにまた唇が合わさる。
朝っぱらから、とか、明るいのに、とか、頭の中をぐるぐる回る。
でも結局引きずられる。
おかしいってわかってるけど、止まらなかった。
角度を何度も変えながらキスを深くしていって、舌だけじゃなく身体も隙間なく密着して、絡む。
キスしたままふたり横向きになって、智紀さんの手がベルトを緩める。
それに気づいてるのに抵抗できなかった。
どうかしてる。
変だって自分でもわかってる。
だけどどうしようもないくらいに滾ってしまってる自分の半身を諌める方法がわからない。
潜り込んでくる手を払いのけることもできなかった。

「ん……っ、ぁ……っ」

自分じゃない他人の手に触れられて身体がびくつく。
キスしていただけなのに自分の身体がどう反応してるかなんてわかりきってるし、キスの合間に見えた智紀さんの目が楽しげに潤んでいるのが見えて逃げるように目を閉じた。

「千裕」

下唇を甘噛みして囁く声が聞こえるけど、目を開いて目を合わせてしまったら恥ずかしさで死にそうで俯く。
本当に自分のバカさやヘタレさに呆れる。

「千裕」

可笑しそうに笑いながら俺の耳元で繰り返す声。
手はやわやわと俺のを包み込んで緩く上下してる。

「今日は素直だな。どーして?」
「……知りません……っ」

顔上げてよ、と言われても無理。
素直だなんて言われたら逃げたくなって、それを察知したらしい智紀さんにまた強く抱きしめられた。

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