12月6日


"捺がこっそり自慰してたのを優人に見られて…みたいな"
"やっぱり優捺が大好きです。なので…ゆーとさんの敬語責めとかいかがでしょうか?お医者さんごっこしちゃうんです。でも!捺くんは看護婦さんではなくて患者さん希望です。"


***


「な、なんだこりゃぁああ!」
今日は土曜日。だけど優斗さんは休日出勤な上に夜は飲み会ってことで帰りは遅い。
俺はひとりで夕飯食って、だらーだら過ごしてたらバカクロからメールが来た。
すごいの見つけた、っていうアドレス付きでメール。
クリックしたらまさかのゲイAV動画。
そして、そのゲイビのタチのほうが―――、
『ここ、そんなに気持ちいい?』
声が、めっちゃ優斗さんに似てる。顔は全然似てねえのに。
っていうか、あれ俺高校のころそういや偶然見たゲイビも確か優斗さんに似た……もしや同じ男優か!?
そんなことを思い出しながらも動画を見ながら、クロのバカに『見てんじゃねぇよ! ボケ! バカ! 朱理にチクるからな』ってメール返信した。
すぐにクロから電話かかってきたけど無視。
『っ、ぁ、やばい、イキそうだ』
「……」
目を閉じて聞くとマジで優斗さんだな。
あーー……ヤバイ、ムラムラしてくる。
最近優斗さん仕事忙しいからイチャイチャはしてるけど、あんまりヤってないしなぁ。
あ〜……ヤベ……。
顔は似てないから声だけ聴いてたら―――勃ってきた。
「……ちょっとだけ」
勃ったら抜かなきゃだろ。身体に悪いし!!
ひとりでスルのなんて久しぶりだな。
恐る恐ると下半身に手を伸ばす。いつだってMAXな俺の相棒をとりだすと手で包み込む。
動画再生させて、PCデスクに突っ伏して、オナってる。とか、アホか。
そうは思うけどしょうがない!
ぐちぐちと擦りあげながら優斗さんに似た声の男優のセリフ聴きながら、優斗さんのことを考えて。
あー気持ちイ―――……。
ガチャ、とドアが開いた。
「……」
「……」
部屋の中に響いてんのはゲイビの喘ぎ声。
見開いた目に映るのは優斗さんで、スーツ姿の優斗さんは首を傾げて微笑んだ。
「―――ただいま」
「お、おかえり」
びっくりしすぎて身体固まったまま、手も息子握って固まったまま。
ど、どうしよう。動画止めたいけど、利き手は息子掴んでるし。
いやでも動画止めようかどうしよう。
「早かったね……」
「うん。二次会は断ったから」
「そ、そうなんだ〜」
「捺くん。どうかした? うつぶせになっちゃって」
「……」
俺は突っ伏した状態で顔だけ横向けて優斗さんを見てるっていう格好だ。
多分優斗さん……気づいてる? 気づいてない?
いや、ゲイビ流れてるしな。
「ちょ、ちょっと気分が」
「大丈夫?」
「う、うん」
「俺が診てあげよっか?」
「……は?」
優斗さんが俺の傍に来て膝をつく。自然俺を見上げる形。
「今日はどこが気になりますか?」
「へ、え」
「こちらを向いてくださいね。診察できないので」
「……」
え、まさかのお医者さんごっこ?! どうした、優斗さん!?
軽く焦る俺にお構いなしに、優斗さんが俺の座ってる椅子をくるりと動かしてしまう。
ということは息子を握ってる俺の姿がさらされるってことで。
「ここ硬くなってますね? ここが痛いんですか?」
「え、え……ッ」
優斗さんの手が俺の手ごと包み込む。
驚きでちょっと萎えた俺のを覗き込むように顔を近付けてくる。
「いつからこんな状態なんですか?」
「……え、えっと……ほんの少し前からです」
なんでいきなりお医者さんごっこか意味わかんねぇけど、真面目な顔をして俺の息子を見つめてる優斗さんに仕方なく羞恥を耐えて言ってみる。
「そうですか。濡れてますね。なにかな」
なにかなってそりゃ先走りだっていう。
「んっ」
唐突に舐められた。
「どんな感じですか?」
「……もうちょっと舐めてもらわないとよくわからないかも」
「そうですね」
真面目に頷いて優斗さんがぺろぺろと舐めてくる。
……優斗さんマジで今日どうしたんだろ。気持ちいいけど、って、あ。
酒臭い。
いつも以上に、ってことにいまさら気づいた。
俺のを舐めてくる優斗さんから酒の匂いが強烈に立ち上ってきてる。
「痛くないですか?」
「だ、大丈夫です」
俺の息子の前で喋られると吐息が吹きかかってむずむずするー!
「そうですか」
「……え、おわり? 優斗さん」
「先生」
「え?」
「私のことは優斗さんと呼んでください」
「は、はい……先生」
「向井さん。もう大丈夫なんですよね?」
「だ、大丈夫じゃないかも。治療してもらわないと苦しいです」
まさかこんな中途半端なところでやめるとかねーだろ!
マジで苦しいわ!!
「先生。俺、もっと治療してほしいです」
「そうですか。そんなに苦しいんですか?」
「はい!」
「じゃあ注射しなくちゃいけませんね」
「……はい!」
優斗さんどんだけ酒飲んだんだろ。
ここまでぶっ壊れてんの、なかなか珍しい。ああああムービー撮りてー!
「じゃあ向井さん大きく脚を開いてください」
「は、はい」
そうして俺たちはお医者さんごっこを続けたのだった。


☆おわりまーす☆

おまけ:

「……頭いたっ」
朝目が覚めると頭がガンガンして起き上がろうとしたけどまたベッドに倒れ込む。
そばには捺くんがいてホッとする―――けど、俺昨日どうやって帰ってきたっけ。
休日出勤の上に飲み会で。俺は早く帰りたくって抜けだすタイミングを見計らいながらも、まわりに合わせていつもよりハイペースに酒を飲んだ。
記憶にあるのは佐川が鼻炎がひどくて耳鼻科に行ったら美人女医でお医者さんごっこをしたかったとかいうどうでもいい話と、飲みすぎて意識朦朧としながら店を出てタクシーに乗った。
そこまでだった。
「……注射」
ふと、呟いて、首を傾げる。注射して、って捺くんが半泣きで言ってた気がするけどなんだろう。夢でも見たかな、俺。
そういやインフルエンザの予防接種に行かなきゃな。
そして時計を見ればまだ朝の5時。
今日は日曜だし起きるには早い。
安らかな寝息を立てている捺くんの身体を抱きよせて、もう一度眠りにつくため目を閉じた。


☆おわり☆

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