12月11日


"向井捺、黒崎修悟、光谷朱理の3人が遊んでいて、たまたま三枝千裕がその場を通りかかる。三枝千裕がどこに行くのか気になってあとをつけてみると、クリスマスプレゼントを選びにお店へ向かったようだった。
ちーくんの行動を誰かが観察してる感じのものが読みたいです。"


***


「あれ、ちーくんだ」
デパートの紳士服売り場。優斗さんへのクリスマスプレゼントを物色してたらちーくん発見した。
「ちーくん? 知り合いか?」
時計見てたクロが訊いてくる。
なんでかついてきたクロと、そして少し離れたところに朱理もいた。
「あー智紀さんってわかるだろ? あの人の恋人」
「へー」
俺が智紀さんのところでバイトしていたこともあって、クロと朱理は智紀さんに面識はある。
「ちーくんもプレゼント買いにきたのかな」
「優斗さんもだけど、あの智紀さんへのプレゼントもなかなか難しそうだな」
「優斗さんも智紀さんもなんでも喜んでくれるだろ。駄犬と違って」
クロが智紀さんってなんでも持ってそうだよなーと言ってたら朱理が来て冷めた眼差しでクロを見た。
「……駄犬って誰のことだよ」
「お前だろ」
あ?、と眉を寄せたクロに朱理のかわりに言ってやった。
ああ?と唸るクロを放っておいてちーくんのほうに向かう。
ネクタイを真剣な眼差しで見ていて、声かけようとしたらそれより先に店員がちーくんに声をかけた。
「贈り物ですか?」
「え、あ、はい」
ちーくんは気まずそうにソワソワしてる。
俺より年上だけど、ちーくんって可愛いよな。
頭の回転も早いし喋ってると知的な印象も受けるしかっこいいイメージあるんだけど、智紀さんが絡むと妙に可愛くなるっていうか。
ツンデレってこういうのかー……としみじみ思う。
本人には言えないけど。
ちーくんは女性店員に相手の年齢や雰囲気なんかを訊かれてる。
「……30代なんですけど……。……スーツの着こなしとかオシャレかな。品があるような……。あ、でも見た目若いんですけど。爽やかな感じで」
よく身につけている色合いなんかを尋ねられてちーくんは真面目に答えてる。
数本のネクタイを選んで自分で当ててみて、悩んでってしてるちーくん。
「……これってデレだな」
まず間違いない!
たまーに智紀さんとちーくんとごはん食べるときがあって、そのときわりとちーくんって智紀さんに対してそっけないっていうか、俺や優斗さんのようにイチャイチャはしてない。
智紀さんがよくちーくんはツンデレって言うけど。本当……に、これは。
「これはいかがでしょう?」
「あー……イメージ的にはこっちかな」
店員さんがオススメしてくれるけど、結局ちーくんは自分が選んだ二本で迷っているようだ。
確かにちーくんが選んだ二本が智紀さんにはよく似合いそうなもので。
ちーくんって智紀さんのことよく見てるんだなぁって思うし、やっぱり好きなんだなーって実感。
そのあとちーくんは迷いに迷ってようやく一本選んだ。
店員がレジへと向かう。そのあとに続くちーくんが振り返って。
「……あ」
「やほ〜、ちーくん」
目があって、ちーくんが固まった。
「さっきのネクタイ、クリスマスプレゼント? すっげー智紀さんに似合いそうだね」
そう言えばちーくんは一気に顔を赤くして一歩後退りした。
俺と喋ってるときはわりと余裕ある雰囲気なのにいまのちーくんはすっげー初々しくてつい顔が緩んだ。
「ちーくん、なんだかんだ智紀さんのこと大好きだよね」
ちょっとからかってみたくてニヤニヤと言えば、ちーくんは、
「いや、違うんだ。いつもお世話になってるからで、さっきのネクタイはお歳暮的な……!」
なんて必至でいい訳する。
お歳暮って、って吹きだしてしまう俺にちーくんはまたさらに顔を赤くして。
ツンデレのデレが最強ってわかるなぁ。
俺もちょっとツンデレってみようかな。
でも優斗さん相手にツンできねーしな!
なんてことを考えながら、そのあとはちーくんをクロたちに紹介して一緒に飯を食いにいったのだった。


☆おわり☆

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