12月8日


もしもパラレルで、社会人智捺(捺智)の休日の1コマとかよんでみたいです(^^)


***


「智紀さん、お疲れ〜」
元気な声でオフィスに入ってきたのはスーツ姿の捺。
就職した会社が俺の会社のわりと近くだったためこうして帰社後寄るのはよくあることだった。
一時期ここでバイトもしていたし勝手知ったる、だ。
「お疲れ」
「はい、差し入れー」
近くのカフェで買ってきたらしいコーヒーがデスクに置かれた。
ありがとう、と一口飲めばばっちりいつもの俺のチョイスと同じ。
「もうすぐ終わる」
「りょーかい。晩飯どーする?」
「家なら鍋。食べて帰るなら中華かな」
「全然違うじゃん」
くすくす笑いながら捺は自分の分のコーヒーを飲んでいる。
「鍋は材料切って全部入れてしまえばあとは火にかけるだけだろ? 野菜もたくさんとれるし手軽で今の時期にはぴったり。家に帰ってゆっくり食いたいなって考えると鍋が浮かぶわけ」
「ふーん。でも家まで帰る前にお腹空いたなーって考えるといますぐ食べたいのは中華、って?」
「アタリ」
夜八時を回って腹も減ってくる。家に帰って準備してとなれば10時近くになるしなぁ。
「捺くんはどっちがいーい?」
メールチェックを終わらせてパソコンをシャットダウンする。
コーヒー飲みながら片肘ついて捺を眺める。
社会人になって二年目。スーツ姿もすっかり様になった捺は昔と変わらず綺麗な顔をしていて、わざとらしく目を閉じて悩むふりをした。
「んーそうだなぁ。その辺のコンビニで肉まん買ってー食べてー、家帰って鍋」
今日まだ月曜だし、なんとなく家でゆっくりしたくね?
と捺はまだ幼さの残る屈託のない笑みを浮かべた。
「そうだねー。そうするか。俺はピザまん」
「俺もピザまん追加ー! あとカレーまんも食いたい」
「お前、それじゃ鍋に辿りつく前に腹いっぱいになるんじゃないの」
「若いからヘーキ。智紀さんもたくさん食べないと体力つかないよー。もういい歳してんだから」
「俺この前27歳に見られたよ?」
「見た目だけは若いもんねー」
「心も若いです」
「どーかなぁ。最近智くんのエッチおっさんくさいっつーかねちっこいし、って昔からか」
「テクニックがあるーって言って。若さに突っ走る捺くんとは違うです」
「俺だってテクあるっつーの。あーあ、せっかく鍋のあとお風呂入って今日は俺がご奉仕してあげよーと思ってたのに。やる気なくなってきたな。智紀さんに上乗ってもらおうかな」
「俺会社に泊まろうかな」
「ジョーダン」
笑いながら言い合う。戸締りをして、
「なーつ」
と呼べば「はい、俺補充」と唇を寄せた。
触れて、絡めて。
ほんの、数十秒。ほんの、だ。
「じゃー帰りますか」
「おー! 帰って智紀さんに奉仕してもらおー!」
「……しないって」
そうして俺たちはオフィスを後にしたのだった。


☆おわり☆

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