12月21日


「ソフトSM☆」

***



「三連休だっていうのに、学校にいるなんてさすが生徒会長様だね」
生徒会室でひとりパソコンに向かっていた朱理は顔を上げた。
「今年中にまとめておきたい資料があったので。月曜には終業式ですし、帰省になりますから」
「ふうん」
カツカツと足音を立てながら朱理のいるデスクへと歩み寄ってくる男を朱理は無表情に視線を向ける。
「片瀬先生はどうされたんですか。こんなところに」
生徒会の顧問でもない片瀬智紀。
そう問いながら朱理は智紀の回答に興味はなかった。おおよその見当はつく。
「偶然―――朱理くんの姿を見たから追ってきたってわけ」
「いいんですか。三枝先輩にばれたら困るんじゃないんですか。あのひとはこういうの好きじゃないでしょう」
「そうだろうね。ま、ただ今日は朱理くんを慰めてあげにきただけだよ」
「片瀬先生に慰めてもらうようないわれはないと思いますが」
一応は教師相手なので作業の手は休めていた。
傍らに来た智紀が緩く口元に笑みを浮かべ朱理を見下ろすとその顎を掴み上げた。
「相変わらずだね。さすがわが校のクールビューティな会長様。健気に一匹狼くんを想ってる……なんて片鱗も見せないね」
「野良犬の間違いじゃ?」
否定するでもなく言葉を訂正してくる朱理に智紀は楽しそうに声をたてて笑う。
智紀こそ爽やかな見た目に反するものを持っているなど片鱗も感じられない。
「朱理くん。久しぶりに―――ヤろっか?」
顔を近付け甘く笑う教師に朱理は無言を返した。

***

「ッ」
出そうになった声を噛み殺す。
真っ暗な視界。冷たい机に擦れる肌。後ろ手に縛られた手、そのネクタイが一気に挿入された熱い欲棒の衝撃にギリっと締まる。
「きっつ。昨日は捺くんに挿れてもらわなかったんだ?」
笑いを含んだ声が結合部をなぞった。
「……あいつはどっちかっていうとネコのほうが多いですよ」
「確かに。捺くんにしょっちゅう挿れられていたら緩くなってそうだもんね、ココ」
すでに智紀のものが挿入されている状況だというのに、無理やり指がねじ込まれる。
また声が出そうになり、耐える朱理。
机の上に上半身をうつぶせにし、後ろから貫いている状況だから朱理の表情が見えることはないが、智紀はまるでどんな表情をしているかわかっているかのように楽しそうに目を細めた。
「朱理くん、気持ちいい?」
まだ動いてはいない。だが無理やりねじ込まれた指はふちを押し広げるように動く。
そしてもう片方の手が尻を這い、爪を立てた。
「捺くん知らないからたまにもの足りないんじゃない?」
「……あいつはバカだけどわりとテクはありますから十分満足してますよ」
喋り出す前に浅く息を吐き深く息を吸い込む。
声の調子は変わらず、否変えようとしない様子が智紀をより一層楽しくさせていることに朱理は気づいているのかいないのか。
気づいていたとしてもそれこそそれを変えるつもりがなかった。
「ヤリチンビッチくんだもんね。無駄に巨根だし。でもやっぱもの足りないときだってあるだろ? ほら」
朱理のココ、こんなに硬くなってる。
と、智紀が朱理の半身を握り、強く力を込めた。
普通なら萎えるほどの強さに、朱理の半身は濁った露を垂らす。
「まさかクールビューティな会長が実はドMなんて知らないもんね、みんな」
智紀は指をひきぬくと、むき出しの朱理の上半身に指を這わせていく。上へと移動させ首筋、そして頭へと行きその髪を掴み引っ張った。
「俺別にドSってわけじゃないけど、朱理くんとヤるのは好きだよ」
気分転換にはいいしね。
と、智紀は朱理の耳元に唇を寄せて囁いた。
「……俺はどちらでも」
「まぁ好きじゃない相手以外とのセックスなんてそんなもんだよね」
「……」
「それかひどくされて喜んでる朱理くんのムービーでも撮って、野良ワンコくんに見せてあげよっか。そうしたら、君に興味もってくれるかもしれないよ」
「ドン引きされるのが落ちです」
「そりゃそうだ」
智紀が吹きだしひとしきり笑うと、縛った朱理の手を掴み背中に折り曲げ押し付け―――腰を動かしだした。
「とりあえず、楽しもうか。ね?」
言葉は優しい。
だけど律動とともにはじまる愛撫が優しいものでないことはこれまでの経験でよく知っている。
「―――」
朱理は唇をひき結び耐え。
だがかわりに耐えきれないように半身から蜜はとろとろと溢れ落ちていくのだった。


*おわり*

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