12月10日


「積極的なちーくん」
「友達と飲んで酔って帰ってきたちーくんが智紀さんに珍しく甘えてかわいいこと言っちゃう話とか‥‥☆」
「甘々でエロエロな雰囲気がいいです(笑)」
「泥酔ちーくん」「ラブラブで」
「女子社員と楽しそうにしゃべってる智紀を目撃してしまい嫉妬のあまり酔っぱらった勢いで「俺の事ホンとに好きなんですかっ?」って詰め寄るちーくん。」
「ちーくん発情中♪」
「襲い受けなちーくんにともきさん戸惑いつつ、エロらぶ突入」
「ともきさんとちーくんのラブ甘がみたいです!」

***



「智紀さん、俺のこと好きなんですか?」
ピンポーンとインターホンが鳴ったのは深夜だった。
夜中に誰だって、モニターに映っていたのは千裕だ。
そして部屋に上げてソファーに座らせてコーヒーを飲んだ千裕の言葉がそれだった。
こんばんは、と部屋に来たときの千裕からはアルコールの匂いがぷんぷんしてたから相当酔ってるんだろってことはわかったいた。
そうじゃなきゃこんな夜中に俺のところに来るわけないしなぁ。
「好きだよ」
それに好きなんですかなんて聞いてくるはずもない。
にっこり、と笑みを浮かべればちょっと焦点のあってない千裕は俺にぐいっと顔を近づけてくる。
あんまり顔近いとキスしたくなるよな。
「ほんとーですか」
「本当です」
にこにこと頷いて、至近距離の千裕にちゅっとキスする。
普段なら少しだけ顔を赤くしていきなりなんですか、とか言いそうな千裕は手を伸ばし俺の首に絡めてきた。
「じゃあキスしてください」
「……」
相当泥酔してるなー。
こんな積極的な千裕滅多にない。
酔いさめたときが凹みそうだな。
そう思うけど―――酔ってるからこそ出てくる本心、俺にそんなにキスしてほしいのか、ってポジティブな俺はうんうん頷いてもちろん遠慮することなく千裕の身体を抱きしめてキスした。
本当にかなりアルコールが入ってるようで咥内に舌を差し込めばアルコールの匂いが鼻孔へ強烈に流れ込んでくる。
熱い咥内と熱い舌は敏感で舌を這わせると身体がしなった。
酔いのせいで緩慢な動きだけど必死で俺の舌を追いかけてくる可愛い千裕の舌。
絡みつかせて吸い上げると甘ったるい声と吐息がこぼれてきた。
「ちーくん、気持ちいい?」
アルコール入りすぎると勃たなかったりするけど、今夜は大丈夫らしい。
「……はい、きもちいぃです」
俺に抱きつく千裕の下半身は反応しはじめていてるのが伝わってきた。
「ともきさん……もっと」
上目遣いでキスをねだってくる千裕が貴重で写メ撮りたくなる。
おねだり通りに深いキスを返しながら服の中へと差し込んで素肌を撫でればビクビクと震える。
嫌がるそぶりはまったくなくて、それどころか体重をかけソファにふたり倒れ込む。
「―――ちーくん、どうしたの。今日は積極的だね」
唾液の糸が引くくらいキスを交わして目を潤ませた千裕の頬に指を滑らせる。
冗談めかして言えば、千裕は「だって」とさらに目を潤ませぎゅーっと俺に抱きついた。
「今日……ともきさん飲み会だったでしょ……俺、みたんです」
「え? なら、声かけてくれればよかったのに」
今日は確かに飲み―――っていうか晄人や職場の子たちと食事に出かけていた。
「……たのしそーだったし……。きれぇなおんなのひととしゃべってるし」
「……」
綺麗な―――社員と言えば、高橋さんだなー。
俺より年上ですでに既婚だけど。
というより、も。
「千裕もしかしてヤキモチ?」
ついにやけてしまう。
俺の首筋に顔を埋めていた千裕が顔を上げたから多少表情を引き締めたけど、まぁでもニヤニヤは押さえれそうにない。
いつもなら不服そうな顔をしそうな千裕は拗ねたように眉を寄せて、頷いた。
「そうですよ。だってお似合いだったし……綺麗なひとだったし……楽しそうだったし……綺麗だったし……お似合いだったし……うらやましい」
「……」
最後の羨ましいは誰に向けた言葉なんだ?と多少疑問に思いつつ、
「バカだなー。俺にはちーくんだけなのに」
と頬にキスすれば、
「しってますけど」
と千裕が唇を尖らせて、
「でも妬けたんです」
なんて―――あーやっぱムービーでも撮っておけばよかったと後悔するレベルのことを言ってきた。
「ほんとーに、俺のこと……好き?」
じーっと俺を見つめてもう一度訊いてくる千裕。
そんな可愛いこと言われて、本気にならないわけがない。
「好き、に決まってるだろ」
ちゃんと真っ直ぐ言ってあげるとようやく嬉しそうに顔をほころばせた。
そしてもちろんそこからはいつもより激しく互いの身体を求めあった。


―――で。

「……ッテェ……。うあ、なんだ声も掠れてる……。つか、ってぇ」

翌朝目覚めた千裕は頭を抱えつつ腰を摩りつつ、喘ぎすぎて掠れた声で呻いていた。
それから、睨まれた。
「ちょっと……智紀さんなんでいるんですか。てか、なんで俺。一体俺になにしたんですか」
いやいやいやいや。
散々俺が煽られねだられたんですけど。
なんて本当のことをもちろん言ったんだけど。
「なんにせよ、加減ってものがあるでしょう」
と何故か俺は説教をされたのだった。

―――まぁいいけど、実は昨日最中にムービー……っと、これは極秘事項だ。


☆おわり☆

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