12月15日


「紘一さん大好きなので、智紀さんとの夜の大人な会話がみたいです (*´∇`*)」
「智紀の大人っぽいトコ.........が、見たいです!」
「紘一さんに会いたいです。クリスマスも仕事だろうなぁと思うので、智紀をプレゼントして癒してあげたいです。」

***

*社会人一年目の智紀です。


「今帰りか?」
エレベーターに乗り込んだ途端、話しかけられる。
日曜の夜9時。
てっきり誰もいないだろうと思っていたのによりによってな先客がいた。
「そうです」
地下駐車場へのボタンしか押されていなかったから一階のボタンを押そうとすれば、
「送ってやる」
と言われ、そのままボタンを押した。
「いやー未来の社長に一介の新入社員が送っていただくのは恐縮すぎて……。電車も普通にある時間ですのでご遠慮しますー」
「乗れ」
「……」
一瞬口を開きかけて、すぐに止めた。
この時間、それも日曜で社内にいる人間なんて限られている。
ほとんどいないと言っていい。
すぐに一階へ到着してエレベーターのドアが開き、しばらくして閉じた。
地下駐車場に着くと当然のように俺より先に下りて歩き出す背中を追う。
12月中旬の寒さに身ぶるいしつつ、見慣れすぎた車に乗り込んだ。
特に会話はないままエンジン音が響きだし。
「……あの、ここ会社の駐車場なんですけど」
「だから?」
悪びれるそぶりもなくまた唇を重ねてくる男にため息しか出てこない。
本当にアンタはゆくゆくはこの会社の社長だけど、俺はただの新入社員。
こんなところ見られたら大目玉食らうのは俺なんだけど。
いろいろと言いたいことは多々ある。
だけど、だ。
「えらく大人しいな」
俺から離れていき車を発進させる紘一さんが薄く笑った。
「まー、最近忙しいので疲れてるんです」
だからアンタの相手もいちいちできないって話です。
最後は言葉には出さなかったけどきっと伝わっているだろう。
喉を鳴らすのが聞こえてきて、ついで手が俺の顔へと伸びてきた。
その手が俺の目を覆う。
「じゃあ寝てろ。あとで起こしてやる」
手が数秒して離れていくのを眺め、迷ったのは一瞬ですぐに瞼を閉じた。

***

「……ん」
ぽたり、と頬に水滴が落ちる感触に目が覚めた。
背中にスプリングを感じ、自分が仰向けに寝てることに気づく。
そして瞼を開ければ目の前に紘一さん。
「なんだ起きたのか」
「なんだって―――っ、ん」
目に映った紘一さんの髪は濡れていてどうみても室内着だった。
ということはここはもしかしなくても紘一さんの自室ってことだ。
なんでだよ、って考えている間に唇が塞がれ舌が挿ってくる。
厚い舌に絡め取られ吸われてってしてるうちに下半身にも手が伸びてくる。
焦らすそぶりもなくファスナーを下ろし中へと差し込まれる手にさすがに紘一さんの肩を押した。
「……っ、ちょ、ちょ、ストップ!」
「なんだ」
「いやいや、俺疲れてるって言わなかったっけ?」
「言ったな」
「寝てろって言ってくれる優しさがあったんですよね?」
「ああ。すぐに爆睡するくらいだからよほど疲れてるんだろ。ここへ運ぶときも起きなかったしな」
「そうそう、すっげぇ疲れてるんだよ」
「だから二時間は寝かせてやったぞ。俺はもう風呂も入った」
「俺は入ってないし、眠いし、きつい」
なんで爆睡したんだ、俺。
と内心盛大なため息をつきながら、誰がヤるかって視線を返す。
「じゃあ寝てろ。好きにする」
今度はベルトに手をかけ脱がせてこようとするから、またストップをかける。
「寝てる相手とヤって楽しい? 虚しくね?」
「たまにはいいんじゃないか」
「たまにはとか言う問題じゃあないでしょ。ていうか……仮に寝てたとしても身体に負担かかるわけだから明日結局キツイし」
紘一さんだって明日仕事でしょーが、と言えば口角を上げられ、イヤな予感がした。
「身体に負担かかるのは確かだな。だが休みなら問題ないだろ」
「……誰が?」
「俺。それにお前も明日は代休だろ」
「……」
知ってたのかよ。
あーやっぱり疲れてるからって車乗るんじゃなかった。
電車で帰ってれば今頃自分のベッドでゴロゴロ出来てたのに。
後悔先に立たず。
分かってても後悔の波はとてつもなく高く俺を頭から襲う。
そしてリアルでは服を脱がされていき、まさしく今から襲われますな寸前。
「……マジで寝てますから。なにもしませんよ」
「いつものように感じてればいい」
「その言い方だとまるで俺がマグロみたいじゃないですか。いつだって奉仕してあげてるでしょ」
「疲れてるんじゃないのか? それだけ喋れるなら―――」
「寝ます。ぐー……、……ッ」
目を閉じて寝たふり決め込んだ途端、ぬるりと俺の半身が粘膜に覆われた。
いきなりかよ……っ、でも寝てやる。
もちろん本当に寝れるわけはないけど、半ばヤケできつく目を閉じたまま。
そんな俺を嘲笑うようにフェラは激しくなるは冷たいローションぶっかけられて後孔に指いきなり二本も突っ込んでくるわ。
「……っ、く……っ」
あー、ちきしょーって目を開ければ、野獣と目が合い。
―――やっぱり寝よう、と目を閉じなおしたけど結局は、
「……ってえ! だから噛むなって!」
「元気になったな?」
好き勝手にしてくれるこの王様に平伏させられるのだった。

*おわり*

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