30 そして?


あえて、外して指を動かしていた。
なにをって前立腺をだ。
ようやく三本の指を飲み込むくらいに広げた後孔は蠢くように俺の指を締めつけてくる。
わずかに眉を寄せた夾はギラギラとした目で俺を睨んでいた。
おっかない眼差しだけど怖くはない。
もっと睨んでくれてもいーのに、なんて思う俺はおかしいのか。

「気持ちいい?」

笑顔で笑いかけると、

「いい加減にしろよ?」

って低い声が返ってくる。

でも少し掠れて熱を帯びているその声にもともと緩んでた口元がさらに緩んで、唐突に蹴られた。
そんな強くってわけでもないけど開いていた右足が腹部を蹴ってきて、ちょっと後にのけぞって自然と指が抜けた。
ローションのせいでちゅぽん、と空気を含んだ水音が抜けた瞬間した。

「えー俺頑張ってんのに。気持ちよくなかった?」

俺を蹴ってきた脚を掴んで太股に唇を寄せながら指を再挿入する。
ご機嫌をとるように前立腺を擦りあげてみたらひと際きつく中が締まる。
は、と艶のある息を吐きだし夾は目を眇めるとまた右足を動かして今度は俺の肩を押す。
ぐぐっとわりと強めに押され後手をついたら夾が身体を起こしてきた。
視界が反転して仰向けになった俺に夾が跨る。

「指はもういい」

飽きた、とでも言うように夾が腰を上げて、硬く張りつめた俺の半身を握った。
ぬるり、とした感触が半身から伝わる。
夾の手によって夾の後孔に宛がわれた俺の半身。
その先端がぬるぬると生温かいぬめりに擦られて硬度が増すのを感じた。
朱に染まった夾の引き締まった肌。その腹部がこれからの衝撃を予測してか少し震えて力が込められるのが見て取れて。

「挿れるぞ?」

あれ、どっちが上だっけ? ってくらいの男らしい言葉とともに俺の半身が少しづつ熱に包まれていく。
狭い熱い夾の中にゆっくりと沈んでいく。
自ら腰を落として俺のを飲みこんでいく夾の口元には挑発するような笑みが浮かんでいて、その男らしいのに色香が漂う様に、悔しいけど頭の中のネジがボンボン抜けてくのを感じた。
あー……、ガンガン突きまくりたい。
ぐぐ、っと俺の全部が飲み込まれる。
俺と夾の肌が境なく触れあって、視線が絡み合う。
ぺろり、と夾は自分の唇を軽く舐めると腰を動かし始めた。

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